第21回東京フィルメックス最優秀作品賞はアゼルバイジャンの新鋭による『死ぬ間際』

シネマトゥデイ 映画情報 / 2020年11月7日 21時5分

後列左から審査委員の万田邦敏監督、クリス・フジワラ、トム・メス、エリック・ニアリ、坂本安美、前列左から池田暁監督、春本雄二郎監督

 アジア映画の祭典「第21回東京フィルメックス」授賞式が7日に有楽町朝日ホールで行われ、アゼルバイジャンの新鋭ヒラル・バイダロフ監督の長編劇映画第2作『死ぬ間際』がコンペティション部門の最優秀作品賞を受賞した。

 本映画祭のコンペティション部門は、アジアの新進作家が2019年から2020年にかけて製作した作品の中から12作品を上映。審査委員長の万田邦敏(映画監督)をはじめ、映画評論家のクリス・フジワラ、アンスティチュ・フランセ日本で映画プログラム主任を務める坂本安美、プロデューサーのエリック・ニアリ、映画評論家のトム・メスら5人の国際審査員が各賞を選定した。

 最優秀作品賞に選ばれた『死ぬ間際』はアゼルバイジャン、メキシコ 、アメリカの合作映画。バイラロフ監督は、『ニーチェの馬』などのハンガリーの名匠タル・ベーラの薫陶(くんとう)を受けた新鋭で、彼にとっては長編劇映画第2作となる。行く先々で死の影に追われる主人公の一日の旅を荒涼とした中央アジアの風景を背景に描き、見る者にさまざまな謎を投げかける。ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品された。

 ビデオメッセージでコメントを寄せたバイラロフ監督は「皆さま、そして審査員の皆さま、この選択をしてくださったこと、わたしの作品を選んでくださったことをとてもうれしく思います。お客さまの中には、初めてアゼルバイジャンの映画を観たと言ってくださった方がいたと聞いてうれしく思います。市山(尚三)ディレクターをはじめ、わたしの作品を招待すると決めてくださった皆さんにあらためてお礼を申し上げたいと思います」と受賞の喜びを噛みしめた。

 審査員長の万田監督は、同作を最優秀作品賞に選んだ理由について以下のように述べた。

 「作品は、本質的にこの世の中でひとりぼっちの人間。小津安二郎が笠智衆に『ひとりぼっちかぁ』という風に言わせた人間のさみしさ。それでもなお、このひとりぼっちの人間が、この世界で誰かとつながるためには一体何が必要なのかというテーマを、非常に寓意的な、神話を思わせるような時間の重層、出来事の連なり(をもって描いた)。それからものすごく知的な、それから中央アジアのとんでもない大自然。見渡す限りの地平線があって。そこに白い霧が流れて画面が真っ白になって、その霧がさっと抜けていくと、大きな木がいつの間にか立っていて。その木の前に男と女が肩を寄せ合って立っているというように、映画監督なら誰もが一度は撮ってみたいと思わせるような画面。それからところどころに見られるユーモアを交えながら、最終的には人と人がもう一度つながるためには愛が必要なんだという、単純な答えにいきつくわけですが。それでもこの映画は、そこに行き着くまでをとても見事に描いていると思いました。審査員の5人がそれぞれ興味を持ってこの作品を推しました」

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