元宝塚男役トップ・凰稀かなめ、大河ドラマで生きた経験とは?役づくりのため自宅では「すり足」で歩く
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年4月22日 5時0分
「衣装が重いのでだんだん猫背になってしまうのですが、引き上げる筋力は結構あったんだなと。あとはお辞儀。平安時代は目上の人が通るときなどに三つ指を突いてお辞儀をするのですが、宝塚時代にどれぐらいの角度でお辞儀をするのが一番美しく見えるかといった研究、練習を重ねていたので、そういった経験は役立っているように思います」
そして、赤染衛門といえば歌。百人一首には衛門の歌も収められている。凰稀にとって和歌を詠むのは初挑戦となり、ドラマで芸能考証を担当する友吉鶴心の指導を受けるも「初めはまったく思うように詠めなかった」そう。
「和歌は本当にイチからの状態でした。もちろん歌の意味も勉強しましたし、音程や言葉を切るところも決まっていることなどを初めて知りました。一つ一つの言葉を大切にするので、わたしが想像していたイメージと違って、歌うように詠むのではなく“喋る”ことを意識してほしいとご指導いただきました。なおかつ、歌の意味を理解したうえで気持ちを乗せていく。先生に詠んでいただいた音源を聞いて練習したりもしたのですが、気持ちを乗せるというのが難しくて……今も勉強中です」
劇中ではしばしば左大臣家の土御門殿で娘の源倫子(黒木華)が姫たちを集めてサロン(勉強会)を開く場面があったが、衛門はいわゆる先生としての立ち位置。これらの場面では、凰稀自らの判断である決めごとを課していたという。
「衛門のを知的に見せるために意識していたのが喋り方です。若い姫様たちとは違うポジションなので声のトーンは少し落とし、ゆったり喋るようにしていました。所作に関しては、サロンの場に置かれている飲み物やお菓子に手を付けないようにしていたのと、皆が足を崩していても自分はずっと正座で居続ける、といったことも心がけていました」
知的である一方で、時に意外な一面も見せるのが大石脚本のユニークさ。とりわけ第8回「招かれざる者」では衛門が打毬(だきゅう)で直秀(毎熊克哉)の勇姿に目を奪われたことを倫子に明かし、「衛門ったら人妻なのにそんなこと言って……」とのツッコミに「人妻であろうとも、心の中は己だけのものでございます」と大胆な返しをして反響を呼んだ。
「台本をいただいた時に、前半部分はサロンのシーンが多かったので“賢い人”“先生”であるように見せたいと思っていたのですが、打毬のところから少しずつ自由な心を持っていて、可愛らしいところ、乙女な部分も出していけたらと思っていました。衛門は旦那さんとすごく仲が良くて、子供のこともすごく大切にしていて、肝っ玉母ちゃん的な部分もある人だと思うので、そういったところや人間味ある部分は、追い追い見せていきたいです」
衛門と自身の共通点については「思っていることをあまり表には出さず、どちらかというと人を支える側で、しっかりしているところ」だという凰稀。史実では倫子の娘・彰子にまひろと共に女房として仕える展開となるが、今後の見どころについて「まひろが衛門の良きライバルになっていきます。最終的にまひろとどんな関係になるのかはまだわからないんですが、まひろの感性や才能に多少なりとも嫉妬はあるのではないかと思ったりもします」と言い、宮中の女性たちには元宝塚のトップとして共感も。
「宝塚時代に仲間たちと苦楽を共にする意識は大きいですし、良きライバルでもありました。そういう意味では宮中で働く人たちは同志と言えると思いますし、共感できる部分はとても大きいです」と語った。(編集部・石井百合子)
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