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自らゴジラを熱演『ゴジラVSメガロ』上西監督が込めたアツすぎるVSシリーズ愛

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年6月27日 8時2分

 当然のように上西ゴジラはVSシリーズの流れを汲んでいる。「ゴジラでいちばんこだわったのは顔つきですね。大好きな『ゴジラVSビオランテ』(1989)と『ゴジラVSキングギドラ』(1991)のデザインのいいとこ取りをしようと頑張りました」。造形だけでなく動きにもこだわりは反映された。「ゴジラの手の向きと動きは、VSシリーズでスーツアクターをされていた薩摩剣八郎さんの演技を踏襲しました。手のひらは前を向き、つねに前に出ていく“ゴジラ拳法”といわれる動きです」。いっぽう戦い方でこだわったのは原典『ゴジラ対メガロ』だった。「当時はプロレス人気が高かったそうなので、怪獣バトルにプロレス技がたくさん使われています。メガロをやるなら入れないとダメだろうと、ゴジラにドロップキックをさせました(笑)」

 アクション満載の本作だが、ゴジラとメガロにはモーションキャプチャが使われた。「前作の『ゴジラVSガイガンレクス』もそうでしたが、バーチャル・ユーチューバーが使っているVR機器を使ったシンプルなモーキャプを導入しました」と説明する上西監督は、自らゴジラとメガロを熱演した。「1人2役なので、ひとりで殴って殴られる感じ(笑)。自分で動いてアクションを付けるので、絵コンテも作らず台本に文字でコンテを切ってすませました」。メガロを前作のガイガンレクスと差別化させるため、何度も動きを試しながらモーキャプに臨んだそうだ。

 何気ない日常に突然、怪獣という異物が出現する。その光景は『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(1999)に代表される平成ガメラシリーズをも彷彿とさせる。「やっぱりガメラも世代ですから。最初は全編を通して人間目線のドキュメンタリー仕立てはどうか、という話もあったんです。最終的にその案は却下しましたが、可能な限りドキュメントタッチにしました」と明かした上西監督は、撮影でもっとも困難だったのがロケだったとふり返る。「街を(CGの)装甲車が走るシーンの撮影など、外ロケは大変でした。ロケ地の許可の申請や人止めなどの交通整理、夏場だったので暑さも堪えました」

 『シン・ゴジラ』でゴジラのモデリングとコンポジター(合成の仕上げ)というVFXの要のパートを担当した上西監督。庵野秀明監督や樋口監督との仕事は、それまでの認識を変える出来事だった。「CGの技術屋として、ずっとお手本にしてきたのはハリウッド映画だったんです。でも『シン・ゴジラ』のお仕事の中で感じたのは、向かうべきゴールがハリウッド以外にあってもいいんじゃないかという価値観。すごく勉強になりました」とふり返る。具体的なコンセプトの部分で影響を受けた作品には『シン・ウルトラマン』(2022)をあげた。「ウルトラマンは、庵野監督が見た当時の記憶を美化して映像化している部分があるんです。自分も小学生の時に見たゴジラを昇華させることを心がけました」。この作品ではモデリングのほかCGスーパーバイザーも担当し、アングル決定までの試行錯誤に関われたことも演出面で勉強になったそうだ。

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