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1館から100館に!『侍タイムスリッパー』1人11役以上の安田淳一監督「涙腺が緩みます」と感無量

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年9月14日 22時35分

 現在映画ファンの間で大きな話題になっている映画『侍タイムスリッパー』(公開中)の全国拡大公開を記念した舞台あいさつが14日、新宿ピカデリーで開催され、山口馬木也、冨家ノリマサ、沙倉ゆうの、庄野崎謙(崎=たつさき)、井上肇、安藤彰則、安田淳一監督が登壇。安田監督は、シネコンの大スクリーンで満員になった客席を見つめ「応援してくださるお客さんの顔を見ていると涙腺が緩みます」と映画の広がりに感謝していた。

 本作は、落雷によって幕末から現代にタイムスリップしてしまった会津藩士・高坂新左衛門(山口)が、自らの剣の腕を頼りに、時代劇撮影所にて斬られ役として第二の人生を歩む姿を描く。わずか10名足らずのスタッフで、安田監督自身も監督・脚本・編集はもちろん、1人11役以上をこなしながらの撮影という小規模映画。そのため、もとの予定よりも1年近く公開が延びたという。安田監督は「編集が思うようにいかず、今年の4月にも追加撮影を行ったんです」と笑うと「本当の意味での作品の完成は6月ぐらい」と、ぎりぎりまでこだわりぬいた作品であることを強調する。

 そんななか 8月17日に池袋シネマ・ロサの単館上映で封切られると、鑑賞者がSNS等で面白さを伝え大きな話題に。その後、徐々に上映館数が増えていき、9月13日から大手シネコンで拡大上映がスタート。すでに100館以上で上映されることも決まっている。

 安田監督は「こうやってここにいること自体も嬉しいのですが、映画を応援してくださる方々の顔を見ていると、涙腺が緩んできます」と感無量な面持ち。主人公の新左衛門を演じた山口も「毎回たくさんのお客さんが劇場に来てくださっていますが、そのお顔を見ていると『本当にこの映画を愛してくださっているんだな』という気持ちになって自然と涙腺が緩んでくるんです」と思いを伝えると「1館からスタートして全国に飛び出すことができたのですが、そのスピードがあまりにも速いので、ちょっと困惑しています」と正直な胸の内も明かした。

 本作は、カナダのモントリオールで行われた第28回ファンタジア国際映画祭(2024)で最優秀アジア長編映画賞の観客賞金賞を受賞するなど、海外でも評価が高い。今後もスペインのシッチェス映画祭などへの出品が決定している。

 ファンタジア国際映画祭に訪れた安田監督は「痩せた車いすの女性が『わたしはいま人生でハードな時を過ごしていますが、この映画を観て明日から頑張ろうと思ったんです』と泣きながら握手してくれたとき、この映画を作って良かったなと思いました」というエピソードを明かすと「今回大きな器を用意していただきました。これからたくさんの方に、劇場に足を運んでもらわないとあかんなと覚悟を新たにしています。引き続き応援よろしくお願いします」と客席に呼びかけた。(磯部正和)

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