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ティルダ・スウィントン、終末ミュージカル映画で美声披露【第49回トロント国際映画祭】

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年9月15日 23時32分

 ドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』『ルック・オブ・サイレンス』で評価されたジョシュア・オッペンハイマー監督初となる劇映画『ジ・エンド(原題) / The End』のカナダプレミアが、第49回トロント国際映画祭で行われた。環境破壊によって社会が崩壊し、もはや一家族しか生き延びていないらしい終末の世界を舞台にしたミュージカルで、母親役のティルダ・スウィントンらが美声を披露している。

 彼らは岩塩坑の奥深くに豪奢な部屋を作って生き延びており、登場人物は母(ティルダ)、エネルギー企業の元大物の父(マイケル・シャノン)、世界を知らずそこで産まれ育った息子(『1917 命をかけた伝令』のジョージ・マッケイ)ら。息子は父についての本を執筆しており、母は壁の絵画のレイアウトに頭を悩ませている。終末に似合わぬ丁寧な暮らしをしている家族の前に、外の世界で一人生き延びてきた女性(ドラマ「オビ=ワン・ケノービ」のモーゼス・イングラム)が現れたことで、彼らは自分たちが目を背け続けたことに向き合わざるを得なくなる姿を描いている。

 上映に登壇したオッペンハイマー監督は「あらすじは風刺映画的だが、実際には本作のユーモアが風刺的ではないことに驚かれた方も多いと思う。本作のユーモアはとても真摯なものだ」と切り出す。「最初はこの家族が悪者に思えるだろうが、次第に“自分の家族”になる。そして皆さん自身にとっての映画になる。映画の中に自分を見いだし、緊急の問題としてコネクトできるようにすることは、『アクト・オブ・キリング』『ルック・オブ・サイレンス』でも努力したこと」と劇映画においてもポリシーを貫いたと語っていた。徹底的に統一されたトーンに妙に浮世離れした美しい歌声のミュージカルシーンと、不思議な魅力がある作品だ。(編集部・市川遥)

第49回トロント国際映画祭は現地時間15日まで開催

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