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「極悪女王」が爆発的な反響を呼んだワケ

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年10月9日 5時15分

 プロレスに関しては、プロレススーパーバイザーを務めた長与千種と彼女が設立した団体「マーベラス」の若手レスラーが直接指導を行い、俳優たちはドロップキックやサソリ固めをはじめ、さまざまな技を習得した。長与は「女優を育ててたんじゃなくて、一人の人間、一人のプロレスラーを育ててました」と振り返る。俳優本人たちがリングの上で戦うことで、まるでドキュメンタリーを見るような緊迫感と迫力が備わった。

プロレスというジャンルの魔力

 ビューティ・ペアのジャッキー佐藤とマキ上田、デビル雅美、ジャガー横田、ジャンボ堀、大森ゆかり、クレーン・ユウ、ブル中野……。「極悪女王」には数多くのプロレスラーが実名で登場する。過去の女子プロレスを知っていれば、その分面白いが、プロレスをよく知らない人でも面白く感じるだろう。

 プロレスは、鍛え抜かれたアスリート同士による命がけの戦いだ。劇中で、プロレスの試合は筋書きや結末が決まっていることを示唆する場面が何度も登場するが、結末が決まっているからといって面白くないわけではない。結末が決まっている試合の中で戦いをどう見せるか、自分をどう表現するか、自分と相手をどう輝かせるか。それがプロレスの肝となる。そこには信頼と思いやりも必要だが、嫉妬や憎悪もエネルギーになる。ダンプ松本とクラッシュ・ギャルズが日本中を熱狂させたのは、命を削るような血まみれの抗争でお互いを輝かせたからだ。

 「プロレスは底が丸見えの底なし沼」というプロレス専門紙「週刊ファイト」の元編集長・井上義啓が残した言葉がある。プロレスには仕掛け(底)が丸見えなのに、底なし沼にはまっていくような魔力がある。「極悪女王」は、プロレスが持つ得体のしれないジャンルの魔力に引きずりこまれていく少女たちの姿を描いている作品であり、同時にプロレスをよく知らない人をもプロレスの沼に引きずりこむ力を持つ作品でもある。なお、本作は事実をもとにした物語だが、あくまでフィクションであり、これが事実ではないことを付け加えておく。

 プロレスラーになって命を燃やした女性たちがいて、それに信じられないぐらい熱狂していた人たちがいた。それを俳優たちが体を張って懸命に表現した。だから「極悪女王」には、今ではめったに見られない人々と時代のエネルギーが充満していて、それが現代の人々を惹きつけるのだろう。

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