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柳葉敏郎、『室井慎次』は『踊る大捜査線』ではないと明言

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年10月10日 8時6分

 そして、室井が変わったのはこの段階ではないと断言する。「青島と出会ったときです。彼と湾岸署のみんなによって、考え方が明らかに変わった。いや、変わったというより、自分の奥底にあったものに改めて気づいたんだと思うんです。室井は青島によって、人間らしい感じ方や考え方に改めさせてもらったんだと思います」と、当時の室井の心境を語る。そして青島と室井は、それぞれの立場で正しいことをしようと“約束”を交わした。シリーズ全体を貫くそれを、室井は違えたのか?

 「室井は偉くなれなかったけど、それは形としてであって、青島が人間として感じて、納得してくれることには、向かっていると思います」ときっぱり。「青島の期待には応えたいでしょうね。彼が、室井の人生において、大きな分岐点になったのは間違いないので」と、“約束”への思いを明かした。

 室井は、柳葉にとっては「親友」だという。「ふつうに、人が“親友”という存在に感じる思いを、室井に感じています。わかりやすく言えば、室井は信じることを貫き通していく強い気持ちを持った男なんですが、上やら周りやらからいろいろ言われて、屈辱的な思いも敗北感も味わったと思うんです。その環境の中でどう突き進めるのかと、室井は奮闘しました。現実は厳しいと思いますが、少しでもその思いを抱えて、柳葉も突き進んでいきたいなと思っています。それは、室井を演じて、その生き方を見て、教わりました」と語る。だが「『もうちょっとやり方はあったんじゃねえの?』とは思いますけど」と笑った。

 変わらないものはまだある。室井の眉間のシワだ。トレードマークであるスーツとコートは封印したものの、今作の告知チラシなどでは、彼の眉間のシワがかなりクローズアップされている。連ドラ当時から彼の特徴の1つとして語られ、湾岸署の恩田すみれ(深津絵里)からも突っ込まれていた。「これは当初から自然にあって、取っても取れないものです。それを君塚さんが脚本に取り入れてくださった。俺はその通りに演じただけで、特に意識してないです。周りが室井をそういうイメージでとらえてるんだな、くらいですよ」

 今作を見終わった柳葉が感じた大きな感情は、「悔しさ」だったという。彼が感じたその思いは、当然、偉くなれなかったという表面的なことから発生しているのではないだろう。「ファンの方には申し訳ない部分もありますが、僕は今作を『踊る大捜査線』シリーズとは思ってないんです。室井という男の生きざまを徹底して描きました」ときっぱり宣言した柳葉。それが何を意味するのか、ぜひ劇場で確認してほしい。(取材・文:早川あゆみ)

映画『室井慎次 敗れざる者』は10月11日より全国公開
映画『室井慎次 生き続ける者』は11月15日より全国公開

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