東映・白倉伸一郎P、「ボルテスV」実写映画化に「フェイクニュースかと…」フィリピンの俳優&スタッフから学んだ“愛”の大切さ
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年10月18日 7時10分
人気ロボットアニメ「超電磁マシーン ボルテスV」(1977~1978)をフィリピンで実写化した映画『ボルテスV レガシー』(10月18日全国公開)のエグゼクティブ・プロデューサーを務めた、東映の白倉伸一郎がメールインタビューに応じ、原作をリスペクトする現地の人々によって製作された実写版の魅力や、半世紀にわたって愛される「ボルテスV」について語った。
「超電磁マシーン ボルテスV」は、主人公・健一をはじめとする5名の若者たちが、合体ロボット「ボルテスV」に搭乗し、地球に飛来したボアザン星人の侵略軍に立ち向かう全40話のアニメ作品。日本放送からすぐに海外展開もはじまり、フィリピンでは、親子の離別や差別問題に切り込むストーリーに多くの人々が共感し、現地での作品認知度は94パーセントともいわれ驚異的な認知度を誇る。主題歌「ボルテスVの歌」は“第2の国歌”と言われるまでに浸透した。
アニメ放送から47年、フィリピンで「ボルテスV」が実写化されるという知らせを受けた白倉プロデューサーは「フェイクニュースだと思いました」と驚きを隠せなかったという。撮影がコロナ禍で中断期間に入った際、ラッシュ版(編集が終わっていない状態の映像)で初めて本編映像を観たそうで、「未撮のシーンにはアニメの当該シーンがそのまま貼りつけてあり、原作愛がひしひしと伝わってきました」と当時を振り返る。
「ボルテスV」をはじめ、前後で放送された「超電磁ロボ コン・バトラーV」(1976~1977)と「闘将ダイモス」(1978~1979)は、昭和のアニメブームを支えた長浜忠夫が総監督を務めており、総じて“長浜ロマンロボ”シリーズとも呼ばれている。「ボルテスV」の魅力について、白倉プロデューサーは「『長浜ロマン』と一口に言われていますが、バトルとドラマの絶妙なバランスではないでしょうか」と回答した。
『ボルテスV レガシー』を手がけたマーク・A・レイエス・V監督は、ボルテスVの合体シーンから戦闘シーンまで、原作のエッセンスを余すことなく盛り込み、忠実に再現してみせた。白倉プロデューサーも「ロボットの巨大さ・重厚さから素材感まで存分に表現したCGのクオリティーもさることながら、コックピット描写にも打たれました。俳優・スタッフ・CGが一体となり、バトルをドラマにまで昇華しています」とその出来栄えに舌を巻く。
主題歌「ボルテスVの歌」も日本語のまま使用するなど、フィリピンの人々の“愛”がこれでもかと注がれた『ボルテスV レガシー』。「私たち自身、彼らほどの愛と情熱を持って作品を制作できているだろうか……と自問してしまいます」と白倉プロデューサーは打ち明け、「コロナ禍をものともせず軽々と国境を越えながら本作を実現したフィリピンのチーム。そのバイタリティとフットワーク、そして何より『愛』の大切さを、彼らから教えていただいたと思います」と感心していた。
白倉プロデューサーは2023年7月、東映が新設したキャラクター戦略部の部長に就任。現在は担当役員として、キャラクタービジネスの強化やグローバル展開に向けて動いている。設立から1年が経過したキャラクター戦略部について、白倉プロデューサーは「『誰かがいつかやるだろう』と何十年も先送りにしてきた懸案事項の数々に、中長期VISIONのおかげで一斉に着手できています」と進捗を報告。「制作体制の改革も進めており、作品ということでは放送中の『仮面ライダーガヴ』が最初の成果になります。傍目には従来と何が違うのか分かりづらいかもしれませんが、まだまだ手始め。今年から来年にかけ、どんどん目に見える形で成果が現れてくると思いますのでご期待下さい」と締めくくった。(編集部・倉本拓弥)
※マーク・A・レイエス・V監督の正式表記は「マーク A. レイエス V監督」
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