「光る君へ」竜星涼、隆家のマインドの強さの理由を解釈 「誰かと比べているうちはうまくいかない」
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年10月13日 20時52分
13日放送・第39回では伊周が、これまでの呪詛がわが身に返って来たかのように病に倒れ衰弱し、この世を去った。伊周は「俺が何をした……父も母も妹もあっという間に死んだ……。俺は奪われつくして死ぬのか……」と無念の思いを口にし、息子の道雅(福崎那由他)に「左大臣(道長)には従うな」「低い官位に甘んじるぐらいなら出家せよ」と言い残し、最後にはかつて父、母、定子(高畑充希)と雪遊びをした幸せな日々を思い返しながら死んでいった。竜星は息絶え絶えの兄に対して涙ながらに「敦康親王様のことはわたしにお任せください。安心して旅立たれませ」「あの世で栄華を極めなさいませ」と言葉をかけた。兄を看取った隆家の心情を、竜星はこう振り返る。
「唯一の家族だった兄貴が亡くなる。本当にあのセリフの通りなのかなと思いましたけどね。自分のせいで兄の人生を狂わせてしまったかもしれない贖罪の念はありつつ、だからこそ“あの世では自分の好きなような道を歩んでほしい”と。あのシーンは、本当に……兄貴がようやく楽になるっていう気持ちもあったんじゃないかと思います。ここまで恨んで恨んで恨んで……っていうのを原動力に生きていて、最後には楽しかった頃を思い出して死んでいく。ようやく自分の好きだった兄貴に戻ったのかなっていう、そういう最期だったような気もしますね」
その伊周を演じた三浦とは、「ああいう(緊迫した)シーンが多かったので、よく喋るという感じではなく、お芝居の中で会話するっていう感じでしたかね」と言い、最も印象深かったシーンとして先の伊周の最期を挙げる。
「その後、ききょう(清少納言/ファーストサマーウイカ)もそうですけれど、伊周側の人間たちはずっと人を恨んでそれを根源に生きているので、何でもそうですけど、誰かと比較しているうちはやっぱりうまくいかないと思うんです。自分がどうするか、自分がどう変わるか。兄貴は変われなかった。おそらく自分でどうにかしたくてもできなかったんだろうと思うんですけど。それが中関白家の貴族の長男の生きざまのような気もしますけどね。父の遺志を継いでいたから、そこから出られなかったプライドみたいな。それを奪われても地を這って強く生きられたのが隆家だった、ということでしょうか」
ところで、竜星自身にも過去に誰かと比較して進めずにいることはあったのか?
「10代から20代前半ぐらいの若いころは、きっと皆、同年代、同世代の俳優をライバルとして、比較するものじゃないですか? でも、やっぱりそこじゃなくて、 自分がどういう風になっていきたいかとか、自分自身と向き合った時に、初めてより多くの方に見ていただけるような存在になるのかなという気がします」
伊周の最期では「隆家の中で一つの区切りというか、人生の第2章が始まるような感覚もありました」ともいう竜星。伊周の死後、隆家は兄との約束通り、彼に代わって定子の皇子である敦康親王(片岡千之助)の後見を道長に申し出ると同時に、「敦康さまの後見となりましても、左大臣様にお仕えしたいと願っております。どうかそのことをお認め下さいますよう伏してお願い申し上げます」と道長に忠誠を誓った。ここでも隆家は「わたしは兄と違います」と主張していたが、今後彼がいかにして自分らしく生きていくのか。その行く末を見届けたい。(取材・文 編集部・石井百合子)
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