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『ドクターX』なぜ劇場版で完結なのか シリーズ生みの親が明かすファイナルへの思い

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年11月24日 7時3分

 完結編にふさわしい映画のポイントは、どんなところにあるのか。

 「完璧な職人であるドクターXですが、絶対誰かに恨まれているとは、ずっと思っていました。ドクターXが復讐される話ですよね。人間、自分が調子悪くなると、医者のせいにしたくなるじゃないですか(笑)。それと、たとえその時にかなわない医術でも未来のテクノロジーが助けてくれるんじゃないか、“人を助けようという思い”は未来に継承されていくだろう、ということです。未知子は人に教えるタイプではないけれど(笑)、(岸部一徳演じる神原)晶さんから受け継いでいることは確実にあるし、何十年後の人が未知子の手術を見て、さらにプラスしてくれるかもしれない。もうドラマとしての続きはないけれど、未来に続く最後になればいいなと思いました」

大門未知子はファンタジー

 未知子という存在は「大嘘ですよね(笑)。ファンタジーです」と内山は語る。「最初のころの未知子は緊張感があるし、どこか怖い感じもあります。まさにデーモンみたいでした。それが、ちょっとずつ変わってきて、自身が病気になって患者の感じる怖さもわかった。そんなふうに変化していく生身の未知子を作ってこれたのは、米倉さんという素晴らしい女優さんと向き合えたからです」と米倉に最大級の感謝を捧げた。

 「ドクターX」シリーズがここまでの人気作になった理由を、どう考えているのだろうか。「恥ずかしいんですけど、本当にわからなくて。失敗した時は自分でも何となくわかるんですけどね。おそらくテレビシリーズが痛快だったからではないでしょうか。日本の9割がサラリーマンですから、未知子の啖呵は気持ちいいですよ」と内山は語る。

 では、テレビシリーズの新作を立ち上げるときに心掛けていたことは何だったのか。「今の医療の問題ですね。職人が生きづらいとか、弱者が切り捨てられるとか。テレビは“今”が大事なので、バージョンアップとかよりも、そこを重視していました」

 ひとりの職人が、颯爽と生き、去っていく痛快な物語。未知子のこだわり、“今”の社会の問題点や疑問点がつめこまれた最後の「ドクターX」に、内山は「これまでの感謝をこめて、笑いと涙をお約束します」と自信をのぞかせていた。(取材・文:早川あゆみ)

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