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八木勇征がラブコメ映画で見せた新たな魅力 ラブストーリーの名手が明かす「予想を超えた芝居」

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年11月16日 8時2分

 「今回は八木くん自身も原作を読んで研究してきてくれて。ラブコメ感を出し過ぎるとあざとくなるし、そのさじ加減を探ってくれていた気がします。前半と後半のトーンがかなり異なるので、前半は矢野くんの日常を楽しんで見てもらって、キャラクターを愛してもらう。それがシリアスな後半につながればという話はしました。そうしたメリハリをうまくつけてくれたように思います。クライマックスに差し掛かっていくにつれて矢野くんも成長していくし、 そうした中で吉田さんも周りのみんなもちゃんと成長していく。彼らが矢野くんを温かく見守るように、見てくださる方にも『頑張れ!』という思いになってもらえたらいいなと」

 八木が「研究した」と特に感じられたのが、声。八木自身「ツートーンくらい上げた」と話しているが、これは八木自身の試みだという。

 「具体的にそうしてほしいと話した覚えはなくて、おそらく八木くんが試行錯誤しながら落としどころを探ったんだと思います。彼はアーティストとして歌っているせいか、耳がいいのかなと思いました。声の質感やリズム感がすぐれている印象で。それと、スイッチの入り方。撮影が終わってアフレコの場で久しぶりに会ったとき、普通に入ってくると当然かっこいい八木くんなんだけど、撮影から結構時間が空いていたにもかかわらず、ブースに入ってアフレコを始めた途端、矢野くんになるんですよね」

 新城監督が「予想を超える芝居」と感じたのが、矢野くんが内に秘めた感情を吉田さんに吐露するシーン。「階段でのシーンですが、あそこの八木くんは……思っていた以上の芝居でした。ネタバレになるので詳細は伏せますが、他人と距離を取っていた矢野くんが初めて感情を吐露する。矢野くんが吐露できるようになったということ自体も成長だし、吉田さんとの会話で発信していることが、彼が一人で抱えてきたことの大きさを想像させ、切ないシーンに仕上がった。切ないシーンにしなければいけないと思っていたけれど、あそこまで感情を上げてもらえるとは思っていなくて、シーンを一段上に上げてくれたように思います」

 本作を通じてあらためて感じた八木の魅力について「振幅が広いなと。ポテンシャルっていうのかな」と振り返る新城監督。「歌がうまくて踊れて……とかっこいいところに目が行きがちだと思うんですけど、この作品までキャリアを重ねるなかで、確実に表現力が培われているわけで。取り組み方、理解力。それにとても真面目ですよね。役に真摯に向き合っているところに伸びしろを感じるし、まだまだ新しい面が見られると思う。次にご一緒する時はまた新たなキャラクター、違うテイストの作品で違う八木くんと会いたいと思わせてくれる役者さんです」と八木のさらなる飛躍に期待を寄せている。

 なお、八木自身が「まるで殺陣のよう」と語る矢野くんのアクシデントのシーンは、「痛々しく見え過ぎてもいけない、なおかつクスリとさせるような画を目指した」といい、「それが映画全体のトーンに影響した」とも語っていた。(取材・文:編集部 石井百合子)

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