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『グラディエーターII』ポール・メスカル&デンゼル・ワシントンの演技論 リドリー・スコットの目を盗んでリハーサル

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年11月15日 18時5分

 ポールが演じたのは、第1弾『グラディエーター』には少年として登場したマキシマス(ラッセル・クロウ)とルッシラ(コニー・ニールセン)の息子ルシアスだ。『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』では帝位継承者であるために命を狙われ、ローマ帝国を追われたルシアスが、成長し、妻を殺したローマ帝国軍への復讐を胸にグラディエーター=剣闘士となる姿を追う。

 グラディエーターとしての体作りの過程では、心理面でも大きな変化があったとポールは言う。「毎日ジムで過ごして、他の人を傷つけることができるような体──これって変な言い方かな(笑)──になると、興味深いことが起きた。ホルモンのせいかわからないけど、“ゾーンに入る”みたいな感じで。コロセウム(円形闘技場)も怖くなかったし、完全に世間知らずだと思うけど(笑)、元UFCファイターやボクサー相手に戦って勝てると思うようになった。僕はただの俳優なのに(笑)」

 一方のデンゼルが演じたのは、ルシアスの復讐心に目を付け、グラディエーターの世界へと誘う謎の奴隷商人マクリヌス。カリスマ的でありながら、どす黒い野望を秘めた狡猾な男だ。「自分の役柄がどんなものか掘り下げる前に、監督と脚本に惹かれた。だから、“この役だったから”やることにしたとは言えない。脚本を読んで、監督を知り、共演者を知り、そして役を掘り下げる。その時初めて『僕はこれか!』みたいな(笑)。『なるほど、ルシアスを操るのか』と。マクリヌスに何が起こるのか、彼はどうしてそのようなのか、誰がかつて彼を操り、利用したのか。そして、彼が自分の身に二度と起こさないと決めていることは何なのか、と。そうした何百万の問いを考えていく」(デンゼル)

 「役については、『ピーン! こういうことか!』と理解する瞬間が常にあるとは限らない。その段階ではまだ答えられないこともある。ただ、セットに全てを持ち込んで、そしてやるんだ。セットに入る前に、自分がやること全ての理由を知るべきではない。なぜなら、それはその場で見つけなければいけないから。今ここで(インタビューで)やっているようにね」(デンゼル)

 デンゼルのこのアプローチには、ポールも100%同意する。「間違いなく、それが演技で一番楽しい部分だ。自分が“ゾーンに入っている時”に、“ゾーンに入っている”人と演技をする。そうすると本当に驚くようなことが起こる。脳の理性的な部分を失い、ただクリエイティブに、ジャズをプレイしているようになるんだ」と語っていた。その言葉通り、ポールとデンゼルの共演シーンは常に変化する力関係も相まってとんでもなくスリリング。本作のハイライトの一つとなっている。(編集部・市川遥)

映画『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』は公開中

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