アリ・アスターを虜にした『オオカミの家』監督コンビ、新作は予測不能な“闇鍋”映画!『ハイパーボリア人』公開決定
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年11月18日 11時2分
『ミッドサマー』のアリ・アスター監督が絶賛したストップモーション・アニメーション映画『オオカミの家』のクリストバル・レオン&ホアキン・コシーニャ監督コンビによる最新作「Los Hiperbooreos」が、『ハイパーボリア人』の邦題で2025年2月8日より全国公開されることが決定した。
本作は、チリの鬼才監督デュオが『オオカミの家』に続いて制作した長編第2作。タイトルの『ハイパーボリア人』とは、ギリシア神話やハワード・フィリップス・ラヴクラフトらの創作による「クトゥルフ神話」に登場する架空の民族のこと。本作では、太古の昔に宇宙からやってきて地球を支配していた半神の巨人たちと説明され、チリという国との驚くべき関係も明かされる。
女優で臨床心理学者でもあるアントーニア(アント)・ギーセンは、謎の幻聴に悩まされるゲーム好きの患者の訪問を受ける。彼の話を友人の映画監督レオン&コシーニャにすると、2人はその幻聴は実在したチリの外交官にして詩人、そしてヒトラーの信奉者でもあったミゲル・セラーノの言葉であることに気づき、これを元にアントの主演映画を撮ろうと提案する。2人に言われるがまま、セラーノの人生を振り返る映画の撮影を始めるアントだったが、いつしか謎の階層に迷い込み、チリの政治家ハイメ・グスマンから、国を揺るがすほどの脅威が記録された映画フィルムを探す指令を受ける。カギとなる名前は“メタルヘッド”。探索を始めるアントだったが、やがて絶対の危機が彼女を待ち受ける。
レオン&コシーニャ監督は、『オオカミの家』の制作に5年を費やした反動から、次はスピーディーに実写映画を作ろうと本作の制作をスタート。実在した親ナチ文化人ミゲル・セラーノや、チリの政治家ハイメ・グスマンを登場させ、チリの現代史やナチス・ドイツをモチーフにする一方、主演俳優のアントーニア・ギーセンや、レオン&コシーニャ監督が実名で登場することで、現実と虚構、過去と現在の境界を巧妙に見失わせる。
また、20世紀初頭にトリック撮影を駆使した映像世界を生み出したフランスのジョルジュ・メリエスやスペインのセグンド・デ・チョーモンをリスペクトする二人。『ハイパーボリア人』では実写、影絵、アニメ、人形、16mmフィルム、ビデオ、デジタル……と最初から最後まで何が飛び出すかわからない“闇鍋”映画を生み出した。
本作は、今年5月に開催された第77回カンヌ国際映画祭の監督週間でワールドプレミアされ、その後、第57回シッチェス・カタロニア国際映画祭や第41回ミュンヘン国際映画祭といった各地の映画祭でも上映された。批評家たちからは「没入体験型の野心的で実験的なサイコドラマ」(screendaily)、「政治的健忘症に警鐘を鳴らす痛烈な作品」(The Film Stage)、と熱量高く評価されている。
なお、本作とあわせて短編『名前のノート』が同時上映されることも決定。ピノチェト軍事政権下で行方不明になった未成年者たちを追悼するアニメーションで、世界4大アニメーションフェスティバルである第48回オタワ国際アニメーション映画祭に出品された。(編集部・倉本拓弥)
『ハイパーボリア人』『名前のノート』は2月8日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
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