『劇場版ドクターX』田村監督、亡きライバルと築いた唯一無二の世界観 12年の歴史で幕「夢を叶えてくれた」
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年12月14日 12時4分
西田さんや一徳さんは、映画をたくさん経験されているので「テレビと映画は違うんだよ」ということを教えてくれた気がします。テレビドラマという枠を意識するのではなく、連ドラがより面白くなればという感じで撮っていたので、逆に言うと、テレビと映画の境界はあまり関係ないと思っていました。テレビの制約がある中で、映画でも通用するような、大画面でも見られるようなものを撮っているつもりで常にいるので、一徳さんとは「別に意識していませんよ」という会話はしました。
逆に、西田さんは「映画は監督のものだ」とおっしゃってくれたので、テレビの時よりもスムーズに言うこと聞いてくれました(笑)テレビでは、いい意味で演出家に挑んでくるじゃないですか。12年経っても全く変わらないし、どの演出家に対しても全力勝負だったと思うんです。面白くすることが自分の仕事だと思っていらっしゃっていましたし、私たちもバランスとかを考えなきゃいけないので、いい意味の勝負があるわけです。なので、映画の時はいつもよりこちら側を尊重してくれている感じがしました。
映画が完成した後、西田さんが「映画としてすごいよ」と褒めてくださり、 嬉しくもあり、照れる部分もありました。「やっぱり映画は違うんだ」ということを教えてくださいました。
Q:西田さんといえば、撮影現場でアドリブが多かったことでも知られています。田村監督は、西田さんのアドリブをある種の挑戦状として捉えていたのでしょうか?
いいえ。西田さんは、面白いことをやろうとしていただけだと思うんです。もちろん、セリフを変えることはこちらが計算していたものを全部壊すわけですから、演出家にとっては挑戦状です。シリーズ当初は私も若かったですし、他の監督さんも「ちゃんとやってくださいよ」と思っていた部分はあったはずです。それは、山田洋二さんのような大ベテランでも変わらない。役者さんたちも、(アドリブが)来ることに慣れていれば、面白くなります。私の場合は、最後まで慣れはしませんでした。そういう意味では、馴れ合いにならない緊張感っていうのはありました。
米倉さんもそういうエネルギーがある方なんです。完璧に覚えて、自分の中でやるんですけど、彼女のすごいところは、緊張感が常にあるんです。戦っているわけではないけど、馴れ合いには絶対ならないんです。テレビドラマから妥協するシーンが一つもないので、大門未知子はこの人じゃなきゃできなかったのかなと本当に思います。
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