「光る君へ」最終回、まひろと道長の“別れ”の裏側 チーフ演出・中島由貴「撮っていて泣けた」
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年12月15日 21時0分
「二日に渡って二人のシーンを撮りました。まずは、まひろが道長の手を取って涙しているのだけれど、声だけは元気というか、不安を感じさせないように語りかける。このシーンを撮り続けている間、もうずっと感動していて気持ちとしてはずっと泣いていた感じです。翌日は、ワンシーンの中で数日経過していく設定で、道長は日にちを追うごとに弱っていき、まひろは毎晩彼のもとに通っては不安を与えないように、死なせないようにお話を聞かせる……というシーン。演技なのですが、柄本さんの痩せ具合も相まって、本当に一人の人間が死に向かって行く様をまひろと見届けるような気持ちになってしまい、ここも泣きながら撮っていました」
死にゆく道長を目の当たりにしながら、まひろが「声だけは元気」に努めようとするのは、ドラマを通じて描かれていた「時に思っていることと言っていることが裏腹」であるまひろの人物像を顕著に表したものだという。
「人ってそんなに簡単に答えが出ないもの。このドラマでは常にまひろと道長の感情が行ったり来たりしていて、1+1=2というようには描いていません。二人ともあまり気持ちをストレートに出すことがないのです。特にまひろは文学者ということもあってめんどくさい人。だから道長ともどうしてもすっきりしないやり取りになっていくのですが、でもそれが人だよね、と。もちろん、大河なので史実とは向き合わなければいけないのだけれど、大石さんも(歴史ドラマというより)“人間ドラマ”として書いてくださっている」と前置きしながら、本シーンの意図をこう語る。
「まひろが道長に水を飲ませる後半のシーンでは、まひろは憎まれ口をききながら道長を生かそうとする。死にゆく道長に対して厳しいことを言ってでも生かしたい、という思いがまひろにはあるので、あえてお互い笑っちゃうくらいの明るい方向の芝居をお願いしました。前半はあるブロックの本番で吉高さんが柄本さんの手を握った時に、顔を伏せたんです。やっぱり手を握ったら万感の思いが溢れてきちゃうよねと思ったので、吉高さんに“今、道長の手を握った時に気持ちがグッとなったよね。彼には(まひろの姿が)見えていないから、泣いてもいい”という話をして。だけど、声は泣いていない体で喋ってほしいと。もうすぐ死んでしまう愛しい男を目の前にして、まひろがボロボロ泣きながら自分の感情を抑えつつ話しかける姿は、ものすごく感動的でした」
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