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『室井慎次』本広克行監督、君塚脚本は“聖書” 想像の数段上をいく内容「簡単には変えられない」

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年12月17日 6時46分

『踊る大捜査線』というだけでザワザワする

 『敗れざる者』公開時に実施したシネマトゥデイのインタビューで、本広監督が語っていた「事件に関しても『こんな解決方法があるんだなあ』と驚いた」という詳細も明かした。それは、松下洸平演じる桜章太郎の箇所だった。「桜が『仮定の話なんですけど』と事件の全貌をしゃべっちゃうんです。2時間ドラマならクライマックスに断崖絶壁で繰り広げられるような壮大なドラマを(笑)。のちに『その仮定の話が正解なんだ!』ってわかる。事件の解決は尺を食いますが、これだとさらっと終わりますよね。自分が考えているより数段上の脚本だって思いました」

 さらに本広監督は、地上波で再放送されていた「踊る大捜査線 THE LAST TV サラリーマン刑事と最後の難事件」と『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』についても、「コメディーやっている傍らで、2・26事件の現代版みたいなことが起きていますからね。それに『THE FINAL』で明らかになる鳥飼誠一(小栗旬)の思いが、すでに『THE LAST TV』に台詞として出てきている。うわー! と思いました」と打ち明けた。「君塚さんに『すごいです』と言いすぎると『うるさい』と言われてしまうので(笑)、僕は勝手に仲間内でしゃべっています。僕は助監督をやっていたころからずっと君塚さんの脚本を持っていて、省略のしかたとか分析していました」

 自身の立場は「料理人」だという。「君塚さんが材料をくれて、僕が料理したものが、亀山さんの口に合っていたんでしょうね。役者さんたちにも納得してもらえて、お客さんにも愛してもらえる料理にできたのかなとは思います」としみじみ。「どれだけ力を入れても、あまり話題にならないまま終わるものもたくさんあります。僕らは、作ったからにはたくさん観てほしい。その点、『踊る』は待っていてくれる方が多いので、うれしいんですよ」と心境を明かす。「『踊る』の場合、役者もスタッフも優秀な人がそろってくれるんです。だからやっていて気持ちいいし、楽しいし、ワクワクします。それくらいすごいコンテンツなんだなと思うと同時に、『踊る』というだけでザワザワしますね。『踊る』だけですよ、『いまやっているんだって?』って周囲の人から聞かれまくるコンテンツは(笑)」(取材・文:早川あゆみ)

『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』は全国公開中

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