なぜ今『ベルサイユのばら』なのか?完全新作劇場アニメ化の意味
シネマトゥデイ 映画情報 / 2025年1月23日 7時40分
不朽の名作漫画「ベルサイユのばら」を完全新作で劇場アニメ化した吉村愛監督が、「ベルサイユのばら」を今映画化する意義などについて語った。
累計発行部数は2,000万部を突破する池田理代子の人気コミック「ベルサイユのばら」の連載が「週刊マーガレット」でスタートしたのは1972年のこと。これまで宝塚歌劇団による舞台、テレビアニメなどに展開され、社会現象ともいうべき爆発的な人気を集めた同作だが、完全新作での劇場アニメとして制作されるのは意外にも今回が初となる。
革命期のフランスで懸命に生きる人々の、愛と人生を鮮やかに描き出した本作。抑圧された、不自由な時代の中で、身分や性別を乗り越え、自身の手で人生を選びとり、フランス革命へと飛び込んでいくオスカル(・フランソワ・ド・ジャルジェ)の気高い精神、生きざまは、当時の読者の共感と憧れを一身に集めた。そして原作の連載開始から50年以上たった今でも色あせないメッセージが浮かび上がってくる。
「『ベルサイユのばら』には当時の女性が社会に出ること、自分の道を切り開くこと、自我に目覚めるということに対する共感が広がってヒットしたという時代背景があると思います」と切り出した吉村監督は、「今の時代でも共通する普遍的なテーマだと思います。女性自身、まだ抑圧された社会の中にいて、そこから自分で切り拓き、信念を持って歩んでいく。そのことに観客の皆様も共感していただけると思います」。
決して色あせないテーマを描き、今だからこそ見るべき作品。「今回の劇場アニメでは、原作のメッセージ性をシンプルに表現しています。そういう意味では共感してもらいやすい作品だと思いますし、感じ取ってもらえる部分も多いのではないかと思います」。
またリサーチ・企画開発には時間をかけ、映像も没入感あふれるものとなっている。「やはり映像にするにあたって、知らないものは動かせない。そこはちゃんと調べようというところから始まって、衣装も衣装考証の先生に入ってもらい、当時の貴族が着ていた服を教えてもらったり、当時どういう生活だったのか、生活スタイル、礼儀作法、儀式などを調べたりしました。それは絵コンテを描く段階になっても、ギリギリまでみんなでずっと調べていました」。
フランス革命を背景にした歴史ドラマを、約2時間の劇場アニメの尺にどのように収めていくか、ということは苦労した点だった。「原作のすべては入らないので、シナリオ段階から削っていく作業を行いました」と明かす吉村監督。そこで何を取捨選択するべきかを意識したとのことで、「オスカルがメインになるんですが、原作の前半ではマリー・アントワネットが主役として描かれている。2人の女性の子ども時代から大人になるまでを描けば、対比にもなるし、そこに恋のエピソードも必然的に入ってくるということで、2人をメインにしてストーリーを組み立てていきました」と明かした。
2人のキャラクターの物語に絞ったことによって、かけ足感もなく、キャラクターに感情移入できる内容となっている。「脚本の金春智子さんが技術的にいろんな手を尽くしてくださいました。単純にやるとダイジェスト感が出てしまうので、ここが恋した瞬間とか、恋する理由づけ、筋の通し方といったことを、きちんと丁寧に描いてくださった。足りないところは、原作の違うシーンのところから補って、ちゃんと肉付けをつけてくださっているので、ストーリーとして1本筋が通っている形になったと思います」と語った。令和の時代によみがえった劇場アニメ『ベルサイユのばら』は、今だからこそ見るべき意味のある作品に仕上がっている。(取材・文:壬生智裕)
劇場アニメ『ベルサイユのばら』は1月31日より全国公開
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