女性の生きづらさを女性監督が撮るリアル

シネマトゥデイ セレブゴシップ / 2020年10月1日 9時13分

キム・ドヨン監督

 韓国で社会現象となったベストセラー小説を映画化した『82年生まれ、キム・ジヨン』で、長編映画デビューを果たしたキム・ドヨン監督が、本作で描かれる男女の不平等や女性として生きることの苦悩や困難について語った。自身も2人の子どもを育てる母であるキム監督が、全ての女性たちへ託したメッセージとはなんなのか。

 原作が発売されたのは2016年。男女平等をうたいながらも、いまだになくなることのない性差別。結婚し、出産すると、仕事を辞めて子どもを育てることを当然とされ、女性たちの人生を制約していく現実を描いた内容は、多くの議論を呼び、韓国で130万部を突破するベストセラーとなった。キム監督もまた、原作に共感した一人だった。「自分が監督するなんて思ってもいなかったです。当時は映画学校に通っていたのですが、主人公に共感することがたくさんあり、すごく好きな本になりました」と初めて本に出会った当時を振り返った。本を読み、自分自身の生き方や環境、そして周囲の人たちを見直すきっかけになったことは、その後映画化する際に重要な柱になったという。

 競争社会の韓国映画界において、これほどのミリオンセラー小説の映画化を、まだ一度も長編映画を撮ったことのない女性監督に託されることは滅多にない。キム監督自身も、オファーがきた時は信じられなかったという。「もちろんプレッシャーは感じました。私にとって初の長編映画ですし、これだけ大きな資本が入った映画というのも初めてでした。でも、恐がらずに一歩前に踏み出せて良かったです」と話した。

 女性監督だからこそできる繊細な表現という期待は、この映画に関わる全ての人が持っているが、監督はそんな期待に見事に応えた。「女性の物語を女性自身が表現することを大切に思っています。女性特有の目線があり、男性とは違う視点がある。女性だからこそ感じるディテールをしっかりと表現したいと思いました」と女性監督が女性の物語を紡ぐ大切さについて語った。そして、女性監督であることのプレッシャーよりも、自分だからこそできる表現に使命感を覚えたという。「女性たちが困難な状況に置かれたり、厳しい現実に直面しても、頼もしく笑い飛ばしたり、女性同士で連帯する力もきちんと描きたいと思いました」という監督の熱意通り、本作には現代社会を生き抜く女性たちの強さが描かれている。

 原作を脚本化するにあたり、軸になるのは現代社会の韓国で追い詰められている主人公ジヨンの姿だった。「出産により、キャリアを断絶された彼女の再就職に向けた努力や挫折を主軸におきました。もう一つの柱として言葉を失った女性たちの物語を描き、二つのストーリーを共存していくようにしました」と言うように、原作にあったエピソードの数々が、主人公の周りで起きた出来事として映画に散りばめられている。

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