1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

元カレからのロミオメールは、もはや文化遺産…消去するのは文化の損失だ【カレー沢薫 アクマの辞典 第9回】

ココロニプロロ / 2018年4月6日 10時25分

元カレからのロミオメールは、もはや文化遺産…消去するのは文化の損失だ【カレー沢薫 アクマの辞典 第9回】



OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」
このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!


第9回 アクマの辞典 ラ行






【ロ】
「ロミオメール」(ろみおめーる)
恋人と別れたことによりポエムの才能に目覚めたならプラスと言える



今回のテーマはラ行から「ロミオメール」だ。

ロミオメール、というのを皆さんはご存知だろうか、主に何故か別れた瞬間、ポエムの才能に目覚めてしまった元カレから送られてくる、自分に泥酔しているメールのことを指す。逆に元カノから送られてくるのは「ジュリエットメール」である。

「ロミオ」と称される通り、大体別れた原因は己の浮気やギャンブル癖だったりするのだが、何故か彼の中では「運命に引き裂かれた」というようなストーリーになっており「俺は愛の翼広げて待っているから、いつでも帰ってきていいんだよ、素直になりな」と、いつのまにか許す側に回っているため、こちらは「も、もしかして私たち(立場が)入れ替わっちゃってる~!?」と驚愕するしかない。

こんなメールを、愛情が残っていない相手から送られてきたら、怒りと不愉快さで爆発必至であり、すぐさま消去されるものがほとんどだろう。
しかし、ロミオメールはポエムとしての完成度は高いのだ。
この作品を、怒りに任せて、ゴミ箱に捨ててしまうのは、大きな文化の損失である。そんな己の感情より「文化財の保存」を優先してくれた者たちのおかげで、今でも多くのロミオメールが現存している。
ちなみに保存方法は「ネットに晒す」である。

ロミオメールのみならず、どれだけ心を込めたメールでも、相手から「どうでもいい奴」と思われていたら、全て「爆笑メール」として、晒していいものとされてしまうのだ。
逆に好きな相手からなら、タイトル欄に「りょ」としか書かれていないメールでも、保護る、そんなものである。

そんな、人の無慈悲さのおかげで、今でも「ロミオメール まとめ」などで検索すれば、多くの文化遺産を鑑賞できる。

昔は私もこの美術鑑賞を趣味としていた時期があるが、今はもう見られない。
人間関係、特に他人の恋愛のいざこざを笑って見られるのは、心身ともに元気がある若い時だけなのである。
だから今はもう、ロミオメールは胃にもたれてしまい、見ることができず、「ギャンブルの借金で困っている人」など、あっさりしたものしか鑑賞することができない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください