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これは不器用に生きる、あなた自身のラブストーリー…映画『生きてるだけで、愛。』

ココロニプロロ / 2018年11月9日 16時55分

■強烈キャラの痛いお姉さん登場
それは寧子の前に、津奈木の元カノ・安堂(仲 里依紗)が現れたこと。津奈木に未練がある安堂は、寧子と別れさせて彼を取り戻すべく、寧子の社会復帰と自立を手助けしようとするのです。



寧子は外の世界と関わらざるを得なくなり、安堂の紹介で半ば強制的にカフェバーでのバイトをスタートすることに。

この安堂のキャラクターがまた強烈で。パッと見、仕事がデキるきれいなお姉さん風なのですが、ヨリを戻すためにとにかく必死。

自分は正しいと思い込み、人の話を聞かずに突っ走る様はあまりにも痛々しく、これまた「身近にいそう」もしくは「いつぞやの私?」という気持ちにさせられます。

彼女は他人の心の痛みに鈍感で、自分の痛みには敏感な人。だから上から目線で相手が傷つくようなことをまくしたてますが、自分が同じ目に遭うことは許せません。



安堂=他人の心の痛みに鈍感で、自分の痛みには敏感。
寧子=自分だけでなく、他人の気持ちにも敏感。
津奈木=鈍感なふりをして心を閉ざし、人に対して肯定も否定もしない。

その3者の違いも興味深く、こんな人は嫌とか、共感できるけどしたくない、なんて気分にさせられたりも。

■一瞬でもわかり合えたと信じたい
時に過呼吸気味に話す寧子のセリフには、いくつもの名言があるのですが、その1つが「私は、私と別れることができない」です。

仕事、恋人、友達……たとえ全てを捨ててもつきまとう“自分”を持て余している人は少なくないでしょう。

普段、そのことを忘れたふりをしながら過ごしている私たちだって苦しいのだから、自分でもコントロールできないほどのエネルギーを持つ“自分”と向き合い続ける寧子が「生きてるだけで、ほんと疲れる」のは当然かもしれません。



そして、満身創痍になりながらも「自分という存在」をわかってほしい、一瞬でも誰かとわかり合えたと思える瞬間を信じたい、とばかりにもがく寧子を、力の限り抱きしめたくなるのは津奈木だけではないはず。

――もう一生、誰にもわかってもらえなくてもいいから。(あなただけには)わかってほしい。私のことを。

そんな彼女の心の叫びが伝わるラストシーンの美しさは格別です。そこにあるのは真実の愛なのか、それとも……。

最後に、この映画に寄せられた漫画家・鳥飼茜さんの言葉をお届けします。

「いつも言葉が通じていない『私』と誰かの合間に生きてる思いが行き交う、たった一息の間が描かれている。それはとても美しいから、最後の一瞬まで逃さず見届けて欲しい。」


【STORY】


生きてるだけで、ほんと疲れる。鬱が招く過眠症のせいで引きこもり状態の寧子と、出版社でゴシップ記事の執筆に明け暮れながら寧子との同棲を続けている津奈木。そこへ津奈木の元カノが現れたことから、寧子は外の世界と関わらざるを得なくなり、二人の関係にも変化が訪れるが……。


11月9日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー!
『生きてるだけで、愛。』
出演:趣里、菅田将暉、田中哲司、西田尚美/松重豊/石橋静河、織田梨沙/仲 里依紗
原作:本谷有希子『生きてるだけで、愛。』(新潮文庫刊)
監督・脚本:関根光才
配給:クロックワークス

©2018『生きてるだけで、愛。』製作委員会
『生きてるだけで、愛。』

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