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不倫に身を染めるのは“悪女”ではない“馬鹿女”だ… 「泥棒猫」【カレー沢薫 アクマの辞典 】

ココロニプロロ / 2019年2月21日 16時55分

不倫に身を染めるのは“悪女”ではない“馬鹿女”だ… 「泥棒猫」【カレー沢薫 アクマの辞典 】


漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」
このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!

■第28回 アクマの辞典 ダ行



【ド】
➤ 「泥棒猫」(どろぼうねこ)

…おキャット様は人間の男などわざわざ盗らない

今回のテーマから「泥棒猫」である。

これは、本物の泥棒のおキャット様にではなく、人の男を盗る不埒な人間のメスに対して使われることが多い言葉だ。

この言葉には大きな問題がある。まずおキャット様への不敬罪で世が世なら使った時点で斬首だ。
まず人間を、人間より遥かに優れた生き物であるおキャット様に例えている時点で全く悪態として成立していない、カニカマに対し「この松葉ガニ野郎!」と言っているようなものだ。
よってそういう不貞の輩に出会った時は「この泥棒人間」と誤解がないように表現すべきである。
また「泥棒猫」という言葉を使うことにより、ただの盗人から「猫のように悪い女だが魅力的」というイメージにすり替わってしまう恐れがあるのだ。

泥棒でも怪盗とか義賊とか表現してしまうと、カッコよく思えて真似しちゃう奴が出てくるのである。だから一時期暴走族を「珍走団」と呼ぼうとして失敗した過去があるのだ。
つまり「泥棒猫」は、これ以上なく盗人のことを美化した言葉なので「人の物を取っちゃいけません」と教育したいなら即刻禁止用語にすべきである。

人様のパートナーを奪う行為も窃盗と言って良いはずだが、人間が物以下なせいか、正式に婚姻関係を結んでいる相手から奪わない限り、法的に罪に問えない上に、窃盗なら刑事事件だが、不貞は民事である。

その昔、姦通罪と言って不貞も刑事事件だったのだ。
だが、昔の法律は男が作っているため、男に都合が良いものが多く、不貞をして罪に問われるのは妻と間男だけで、なんと夫が愛人を作っても罪には問われないのである。
もちろん戦後「男女不平等だ」となり「男も罪になるようにしろ」という声が上がった。
しかし「だったら姦通罪自体なしにしましょう」という「そこまで男の不倫が罪に問われちゃ困るかよ」という力技で、姦通罪は消滅し、男女共に不貞行為をしても刑事罰に問われることはなくなってしまった。

確かに不倫が罪になるようなら、最近、騎士団長になった島耕作も何回「被告島耕作」になってしまうかわからない。
不倫が刑事罰だったら、不倫ドラマをおいそれとは作れないだろう、このように姦通罪の有無は現実だけではなく創作の世界も大きな影響を与えている。

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