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結婚していれば、本当に幸せ? 結婚という形よりも大事なことは…【石井ゆかりの幸福論】

ココロニプロロ / 2020年12月25日 18時45分

ただ、こんなことを私は想定します。
パートナーシップによって幸福になる条件のひとつ、それは、お互いの関係の中で、「缶詰が開く」体験があることです。

人の心の中には、固く閉じている場所がたくさんあります。
でも、閉じた場所の中に格納されたものは、そのままでは成長しないのです。
ナカミが腐敗して膨張し、どうにもならなくなることもあります。
そして、その「閉ざされた場所」「缶詰」を、一人で開けることは、なかなか難しいのです。

ある人と出会い、生きる時間を共有する中で、その「缶詰」のようなものが開きます。
中にはそもそも「隠しておきたかったもの」「触れたくなかったもの」が入っているので、ちょっと困った事態になる場合も、よくあります。
自分一人では状況を収拾できず、出会えたその人に手をかしてもらうことになります。
そのとき、幸福に向かうためのパートナーシップが結ばれます。

白雪姫のガラスの棺が壊れる瞬間、鉢かづき姫のかぶった鉢が壊れる瞬間、シンデレラの片方の靴が脱げてしまう瞬間などは、まさに、「缶詰が開く」瞬間です。これらは初潮や破瓜のメタファーだと解釈されることも多いようです。でも、それ以外にも「バランスが崩れる」「缶詰がふくれてはじける」瞬間は、人生の中でたくさんあります。

私たちが成長を重ね、他者と巡り会ったとき、なんらかのきっかけで、心の中で閉ざされていた部分が開かれます。それは一見、トラブルのように見えることもしばしばです。ですがその瞬間にこそ、奇跡のような「関わり」が生じ、新しい人格と関係性が生まれ出すのです。こうした体験は、人生の中でたった一度のことではなく、何度も繰り返されていくことなのではないでしょうか。

「美女と野獣」で野獣の顔から王子の顔に変わる瞬間や、おやゆび姫が死にそうなツバメを介抱するくだりなどは、「一人では収拾できなくなった状況を、助けてもらう」体験に重なります。内なる弱さや醜さが現れ出ても、それに向き合ってくれる「誰か」が現れたとき、私たちは相手を初めて、「もう一つの自分の生命」として認識し始めるものなのかもしれません。

そんなことは怖くてできない、と思われるでしょうか。
でも、時々「心の機が熟す」と、そんなことが自然に起こる場合も、少なくないようです。


>>次回もお楽しみに(2021年1月25日更新)


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