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「やられるほうが悪い」と、簡単に言ってはいけない理由…【石井ゆかりの幸福論】

ココロニプロロ / 2021年1月25日 18時45分

また、経験によって、その管理運用の方針は大きく変わります。
たとえば、子供の頃の経済的な環境は、大人になってからのその人の経済活動を大きく左右します。性的な問題で傷を負わされた人は、その後長く、「ゲートを閉ざした状態」になることは珍しくありません。
外界に向かってデリケートな部分を「ひらいた」とき、私たちは傷を負うリスクを引き受けることになります。そして、実際に、傷を負ってしまうことがあるのです。これは、若いうちだけでなく、いくつになっても起こりえます。

ゲートから何が入ってきて、何が出て行くのか。
私たちは、ゲートの開け閉めだけはある程度自分でできますが、「門をたたいてくる相手」を、管理することはできません。
どんな人に愛を告白されるのか、いつどんな人がオレオレ詐欺の電話をかけてくるのか、自分を口説いている相手は本気なのか遊びなのか、そうしたことを「コントロール」することはできないのです。「何が来るか」ということ自体は、制御不能なのです。
私たちにできることはただ、「ゲートを開くかどうか」の判断だけです。

オレオレ詐欺の被害に遭った人や、性犯罪の被害者などに「警戒が足りなかった」「やられるほうが悪い」という言葉を投げかける人がいます。
「自分さえしっかりしていれば大丈夫」「他の人が引っかかっても、自分は冷静で賢いから、決して引っかからない」と考える人は、驚くほどたくさんいます。
でも現実には、そうではありません。
人生の「ゲート」を自ら開くとき、私たちは一様にリスクを負うのです。
そして、人生の「ゲート」を開かないときも、私たちは人生のチャンスを逃し、ひとりぼっちで苦しみながら生きることになるリスクを負うのです。
リスクは、どちらにも存在します。
「ノーリスク」で生きることはできないのです。

第8ハウスから「幸福」を考えたとき、まず「リスク」というテーマが浮かびます。
自分の人生に何を容れ、何を拒絶するか、という判断がそこにあるからです。
たとえば、親族からの莫大な遺産を、あえて「受けとらない」という判断をする人がいます。全額を寄付したり、誰かに譲ったりする人は、少なくありません。「受けとることによる、なんらかのリスク」を回避するための判断だったのでしょう。

厳しい親の言うことを聞いて、恋愛を一切拒否して育ち、大人になった人がいます。既に十分いい大人になってしまってから、この人は親に「早く結婚しなさい」と言われ、激しい戸惑いと怒りを感じたそうです。一切のリスクを回避するために、「ゲート」を完全に閉ざして生きてきたため、それをどのように開けばいいのか、わからなくなってしまった、ということなのだと思います。ゲートの開き方は、経験によって学び取られなければならないのです。

一方、育った環境からの影響で、自尊心が非常に低く、「何でも受け入れてしまう」という人もいます。人からの「求め」や人からの褒め言葉を、渇いた人が塩水を飲むように、ずっとごくごく飲み続けてしまうのです。渇きはおさまらず、心には痛みが蓄積していきます。ゲートが開きっぱなしで、「受け入れることのリスク」が一切回避されないまま、傷つき続けてしまう人は、決して少なくありません。

……後編へ続きます。

>>次回もお楽しみに(2021年2月25日更新)


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