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「家と会社の往復の日々…熱中できるものが何もない」雨宮まみの“穴の底でお待ちしています” 第33回

ココロニプロロ / 2016年3月24日 13時0分

私は、ふぅかさんと逆で、わりとすぐ何にでも熱中するタイプですが、熱中してもそのうち冷めたり、熱中してもその最中の熱狂以外に残るものがあるわけじゃないので(経験は財産として残りますが、その趣味に使ったお金で保険や個人年金に入っておくほうが、まともな判断なんだろうなーと思ったりはします)、何かに熱中している側でも「これでいいんだろうか」という気持ちはあります。ふぅかさんの周りの、彼氏とデート、コンパ、ヨガなどに明け暮れている同世代の女性も、「楽しいけど、これでいいんだろうか」とふと思う瞬間はあるはずです。「みんなやってるし、自分もやってるけど、これでいいんだろうか?」って。

本物の熱狂というのは、そういう「これでいいんだろうか?」を一瞬忘れさせてくれるもので、大げさな言い方になりますが、人生の虚しさや理不尽さに対し「それがどうした」と言ってくれるようなものだと私は思います。私はその瞬間が大好きなので、見境なくその瞬間のために、時間もお金も突っ込みます。

が、人によって感じ方は違います。みんながみんな、私のようではないし、私が正しいわけでも、一番人生を楽しんでいるわけでもありません。ふぅかさんは、少し私の母に似ています。母は趣味があまりないので「さすがに趣味を持たないと」と思い、パッチワーク教室に通い、腕はいいし真面目なのですごい大きなやつを仕上げたりしているのですが、別にそれが大好きというわけではないようです。強いて言えば、家族と過ごす時間が好きなのでしょうか。どこかに出かけたいとか、遠くに行きたいとか、そういうのはあまりないみたいです。

私から見ると、母は文句のつけようのないほど堅実な人間で、自分のように熱中できるものを探して右往左往しては熱狂フィーバータイムに入って追いかけ回すようなこともしていないし、きっちり家族のために貯金をし、無駄遣いはせず、自分のことや家のこともしっかりやっていて、すごいもんだなぁと思います。そんな母に「今度の連休、そっちに行こうかと思うけど、予定大丈夫?」と訊かれて、「1日だけどうしても行かなくちゃいけない女子プロレスの試合があるから……」と答える私の気まずさといったらないです。なんなんですか、「どうしても行かなきゃいけない女子プロレスの試合」って。お前解説でもやるんかって話ですよ。ただの客なのに。

熱中とか熱狂っていうのは、こんなふうにバカになることなんです。バカをやってる側からすると、楽しいけどこんなにバカでいいんだろうか、という気持ちがあるし、バカになれない側からすると、バカになる楽しさも知らずに生きていっていいのかなぁ、という気持ちがあるのでしょうね。

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