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「10年経つのにまだ恋愛できない」 雨宮まみの“穴の底でお待ちしています” 第16回

ココロニプロロ / 2015年1月22日 10時15分

私は恋愛のことを考えると、ときどき絶望的な気持ちになりますし、年々、好きになれる人の数は減っていきつつも、それでも好きになる人というのはそれはもう相当、自分の中では世界でいちばんぐらい素敵な人なわけですから、だめになるとすごくがっかりしますし、引きずります。「こないだのあの人、どうなったの?」「最近、彼氏いるの?」と聞かれただけで、涙が出そうになったりします。この程度の受け答えを普通にできないなんて、と、自分に苛立ったりもします。

恋愛は、それが不得意な人間にとっては、なかなかやっかいなものですが、そのやっかいさは、ちょっとした得意/不得意によるものだと私は思います。惚れっぽいとか、惚れっぽくないとかもありますし、年齢が上になるにつれ、なかなかときめきにくくなるというのもある気がします。チャンスを逃している原因や、自分の悪いクセがあるならそれを直そうとするのは大事なことだと思いますが、寂しさや孤独感から自分を責めてしまうのは、いちばん良くないことです。

自分を責めていると、そこを責める人が寄ってくるんですよね。「あなたはこういうところがあるから愛されないんだ」って、そこを責めに責めながら、好き勝手して去っていく。トリさんの元の旦那さんは、ちょっとそういうところのある人だったのではないでしょうか。トリさんにこんなひどいことをしておいて(トリさんはフェアに「彼には彼バージョンの物語がある」と書かれていますが)、のうのうと幸せそうに生きているのも、引きずってしまう原因かもしれません。「あの人は幸せになれているから、悪くないんじゃないか」「幸せになれていない私に問題があったんじゃないか」と、因果応報的に考えてしまう。

因果応報って、ないんですよ。言い切りますけど、ないです。ひどいことして、普通に、何にも失わずに生きてる人、いっぱいいます。逆にすごく優しくて何も悪いことなんかしてない人が、ひどい目に遭うこともある。だから、前の旦那さんが正しかったわけでも、トリさんが間違ってたわけでもないし、トリさんはそんなことを考えなくても良くて、ただ自分が負った傷がまだ痛んでいる、という事実を知っているだけで十分なのではないでしょうか。

恨む気持ちや憎しみが残っている場合も、けっこうひきずったりしますが、それは新たな恋愛への障害にはなりません。だから、むかつく! とか、元旦那この野郎! とかたまにむしゃくしゃしながらも、「そのせいで恋愛ができないのでは」とは、考えなくてもいいと思います。むしろそういう感情の凹凸が、人を惹き付けるフックになったりしますから、恋愛というのは本当にわけのわからない世界です。だって、トリさんの元旦那さんのような人が、何度も結婚相手に出会えていたりするわけですしね。

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