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擬人化、擬猫化。働かない男も擬猫化すれば…【カレー沢薫「猫と男」 第5回】

ココロニプロロ / 2017年4月28日 10時15分

擬人化、擬猫化。働かない男も擬猫化すれば…【カレー沢薫「猫と男」 第5回】

擬人化、擬猫化。働かない男も擬猫化すれば…【カレー沢薫「猫と男」 第5回】

OL兼漫画家として唯一無二の作風で活躍するカレー沢薫さんの連載コラム登場!徹底した猫至上主義の価値観で考える「猫と男」とは?その辺のダメ男に引っかかっている女性陣。出会いがないと嘆いているあなた。猫の前では男なんて無価値かも? 第5回「擬人化、擬猫化」

「擬人化」という文化を知っているだろうか。
読んで字の如く人でないものを人の形にすることである。またクソオタ話かよと思われるかもしれないが、あの鳥獣戯画パイセンさえそうなのだ。つまり鳥獣戯画はジャンル「擬人化」として平安時代のコミケに出ていたということである、おそらく壁サーだっただろう。
今有名な擬人化モノと言えば「けものフレンズ」だ。私は未見なのだがウィキペディアによると「萌え擬人化された野生動物」たちによるアニメだったようだ。
また、懐かしのアニメ「3丁目のタマ うちのタマ知りませんか?」も最近擬人化され、その姿は公式HPなどで見れる。

もちろんそれが好きな人もいるだろうから、これは、一おキャット様原理主義過激派テロ組織個人の意見と思って欲しいのだが「猫を人間にする」という行為は「改悪」の例文として辞書に載せて良いのではないかと思う。

その擬人化のデザインが良いとか悪いとか言う問題ではない、大体クオリティの高い美少女やイケメンにされている、しかしそれでも猫に勝るデザインは存在しないのだ。

猫と言うのは見れば見るほど「正気か」という感想しか出てこないし、三日に一度は「猫とは本当に存在する生き物なのか」と悩む。こんなカワイイ生き物が、自然界に存在していいわけがない気がするのだ。
おそらく、猫をデザインした神は、猫を作ったと同時に、ピストルでこめかみを打ち抜いて死んだと思う。これは生物ではない兵器(ウェポン)だ。

よって私も二次元のイケメンは大好きだが、どうしても猫の擬人化を見ると、猫は猫のままが良いと思ってしまう。

しかしそんな時「逆に考えるんだ」という声が聞こえた。
今のはジョジョの奇妙な冒険のジョナサンの父親の声であり、ただのクソオタ話だ。

つまり猫の擬人化を苦々しく思うより、男を擬猫化すれば良いのだ。
するとどうだろう、男の全てが許せ、全てが魅力となるのだ。
どれだけ働かなかろうが、家事をしなかろうが、相手は猫だ、腹も立たない、むしろ腹を立てるほうがおかしい。
また猫の可愛さは年齢に左右されない。おっさんだから可愛くないということはまずない。子猫から老猫まで、一瞬たりとも可愛くない瞬間がないのだ。
もちろん、大きくても小さくても、痩せていようが太っていようがかわいい。臭いのももはや味だ。

我々はたまに、会社の嫌いな奴や、気の合わない姑のことを、いかに気に入らないか一日中考えてしまうことがある。

しかし気に入らないものはどれだけ考えても気に入らない、それよりも一秒でも多く最初から気に入っているものか、気に入りそうなことを考えたほうが良いだろう。

プロフィール

カレー沢薫
OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。

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