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「恋愛感情を向けられると気持ち悪い」 雨宮まみの“穴の底でお待ちしています” 第18回

ココロニプロロ / 2015年2月24日 10時15分

でも、この選択について考えるたび、私は「選択とか、無茶言うなよ」という気持ちになるんですよね。私は38歳で独身ですが、初対面の人に「人生これからどうするつもりなんですか?」とか、平気で言われたりするんですよ。怖いでしょ。こんな目に遭うの嫌だから、スープさんのように「結婚したい」と思う人がいるのも頷けます。私だってこんなこと言われたくない。「結婚していない」ことは、他人から見れば私の「自己責任」なんです。する気があれば、できるチャンスはあったはずだ、とみんな思ってる。確かにお見合いとかもしましたから、チャンスはありましたよね。でも、私は結婚はしたいと思ったけど、「この人としたい」と思う人と、するチャンスはなかったんです。

そんなことを「自己責任」みたいに言われると、けっこう気持ち悪いんですよね。私にはそれは、「選ばなきゃ結婚できるんだから、選ぶなよ」と言っているようにしか聞こえません。実際に「もう選んでる場合じゃないでしょ」と言われたことすらあります。すごい圧力です。圧力というか、自分が結婚しているというだけで、他人にここまで言っていいと思えるその神経……。結婚ってそんなに正義なんですか? って訊きたいですよ。独身を「選択」しているという意識は、私にはありません。何もしなかったわけではないし、それなりに努力はした。ただ、「どうしても嫌なことはしない」という選択をした結果が今です。それだけのことです。スープさんの「処女」という状態も、これに近いものがあるのではないかと勝手に想像しています。

世間の目と自分の感覚の間で悩んでいても、結局、どうしても嫌なことを我慢することは、多分できないと思います。できないというか、どうしても嫌なことをする状況ほどつらいことって、ないです。がんばって好きになろうとしても、なれないものはなれないです。

私がスープさんの文章を読んでいて、好きだなと思ったのは、振っておきながらそれを自信の拠り所にしているという、ちゃっかりしたところを嘘偽りなく書かれているところです。正直だし、チャーミングだなと思います。スープさんの書かれた文章の中で、いちばんずるくて矛盾しているところなのに、そこが魅力的なんですよね。

自分で思う自分の良さと、他人が見る自分の良さって、違うんですよ。それを受け入れるのはけっこう難しいし、時間もかかりますが、信頼している人に言われると案外すんなり受け入れられたりもします。「自分は誰からも、正しく理解されていない」というつらさが、誰かの一言で救われたりもします。恋や愛が難しかったら、同性でもいいから友情や尊敬や信頼といった方面から人間関係を考えてみるのはどうでしょうか。もしかすると、そういうところから「自分の見られ方」や、「思われ方」への強烈な嫌悪感がほどけるきっかけが掴めるかもしれません。

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