【デブサミ2014】13-A-5 レポート 「成功と失敗の狭間に横たわる2つのマネジメント」

CodeZine / 2014年3月25日 14時0分

DevLOVE関西 中村洋氏

 『アジャイルサムライ』や『SCRUM BOOT CAMP』などの書籍が続々と世に出て読まれるようになり、また勉強会や各種イベントでも『スクラム』を題材にしたものが数多く開かれ、さまざまな議論が各地で積み重ねられてきました。関西大阪方面で、数多くの組織をスクラムマスターとして渡り歩いてきた中村氏もその一人。本稿は『マネジメント』の観点から、氏が取り組んできたことや直面した課題、工夫した点について事例を交えて講演したセッションのレポートです。

DevLOVE関西 中村洋氏


■ビジネスを円滑に進めるための2つのマネジメント

 中村氏は冒頭、『マネジメント』という言葉の定義について参加者に問い掛けました。『特定の誰かだけでなく、全員が何らかのマネジメントに関わることが大事』とした上で、2つの『マネジメント』について話し始めました。

 1つは『期待マネジメント』。中村氏はこれについて『関係者が互いに持っている期待を明らかにし、適切に調整すること』と定義しました。そしてもう一つは『モチベーションのマネジメント』。こちらは『関係者のやる気、士気を維持していくこと』と定義。

 昨今のビジネス環境では、局面におけるビジネス解を出す『意思決定』が遅れてしまうことイコール、ビジネスにおいて置き去りにされてしまう、ということも多々見受けられます。チームを率いるリーダーはその際にまずやるべきことを把握し、適宜指揮を取っていくことになるかと思いますが、昨今現場では日々の業務で見つかった課題がそのままタスクとなる流れとなる(即ち、リーダーが把握していないところからタスクが発生する)ケースも多く見られ、なかなか全ての事象を常に把握していられるかどうかは難しくなって来ています。こういった状況でうまく物事を進めていくために、人間系・気持ちの面双方の管理で進めていくことが大事なのだ、と中村氏は語ります。

●期待マネジメント

 期待マネジメントについては、「こんなことはないでしょうか?」と切り出してそのポイントを説明。仕事において依頼者が「ここまでやってくれるはずだ」と思っていたものの、どこかの段階でズレが生じてしまう。その過程で調整を挟まなかったがために残念な結果になってしまった、というケースです。これに対して中村氏は『ドラッカー風エクササイズ』を紹介し、以下に掲げたポイントについて、チームメンバーや経営者や関わる人"全員"と、"面倒であっても"すり合わせを行っていく、また一度やってOKという訳ではなく、定期的に継続して行っていくことが大事なのだと説きました。

自分は何が得意なのか?
積極性や"自分の武器"となるものを見つけ出していく 自分はどうやって貢献するつもりか?
チームでの目標やゴールを理解した上で、自分の武器を明らかにし、ポイントを見つけていく 自分が大切に思う価値は何か?
家族やお金、キャリア、綺麗なコード等の"こだわり"を見つけていく チームメンバーは自分にどんな成果を期待していると思うか?
お互いの期待を表明してすり合わせていく ●モチベーションマネジメント

 一方、モチベーションマネジメントについて中村氏は「何気ない一言で乱高下するもの。またそのきっかけとなる"鍵穴"も人によって違ってきます。またモチベーションを上げる"鍵穴"は他人が持っているものではなく、本人にのみしか行えません。周りは手助けするのみです」と説明しました。

 では、その手助けをするにはどうすれば良いか? 「成長する土壌を作ることでサポートができます。これに尽きる」と中村氏は続けてポイントを力説しました。

 またその他のポイントとしては『自分の調子と相談する。無理な時にはすっぱり諦める』『凹んだ時のために、"調子を上げるスイッチ"を見つけておく』『良いことがあったときは褒めるのではなく、"一緒にできたね"と一緒になって喜ぶ』といった点を挙げました。最後の点については"サーヴァント(奉仕する)リーダーシップ"と呼ばれているものでもあり、お仕着せではなく共感することで「その先にある光景を一緒に行くために、もうちょっと頑張ろうよ」という風になれるのだそうです。

 最後に中村氏は「期待マネジメントは、普段あまり行わないであろう"互いに期待を表明すること"を行うわけで、タフなクエスチョンになると思います。また、モチベーションマネジメントについても"俺もこうだったからお前も"という風に持っていくのも危険です。チームメンバー各人の思いや表明が違った上でどういった対応を行っていくかが重要です。また、メンバーそれぞれのモチベーションの源泉を考えてみる(どういう時にモチベーションが上がり、また下がるのか)のもぜひやってみてもらいたいです」とセッションを総括。

 少しでも現場を良くしたい、前進させたいと思って取り組みを続け、コミュニティで隣の現場を知り、知識の広さを知り、次に『深さを知りたい』とフリーへの転身を図った中村氏。「現場は前進できそうでしょうか?」と参加者の皆さんに最後に問い掛け、発表を終えました。

■発表資料

DevLOVE甲子園「成功と失敗の狭間に横たわる2つのマネジメント」_yohhatu

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