プジョー208試乗評価 MT派にはたまらない、コンパクトカーらしさ満点の軽快感【レビュー:プジョー】

CORISM / 2013年2月20日 10時30分

プジョー208

小さくて広いコンパクトカー、プジョー208は原点回帰した!

 プジョーと言えば、1980年台にWRC(世界ラリー選手権)で大活躍したプジョー・205ターボ16を思い出す。直列4気筒ターボ・エンジンをミッドシップに搭載、その大パワーを4WDにして路面に伝えWRCのチャンピオン・カーとなったモンスター・マシン。しかし、モンスター・カーでありながら、コンパクトなスポーツ・ハッチバックのプジョー205のイメージを残した205ターボ16は、他のWRCモンスター・マシンより親しみやすく、より身近に感じたマシンであった。

 その後プジョー205はモデル・チェンジにより206、207、そして今回の試乗車である208に至った。モデル・チェンジしても一貫してハッチバック・スタイルは維持し、いつの時代でもスポーティでありながら、斬新でお洒落な伝統なイメージは新しい208でも引き継いでいる。

 新型プジョー208は取り回しを楽にするため、先代の207より前後のオーバー・ハングを切り詰めボディ・サイズを縮小した。ただ小さくするのではなく「207と比べて、外側を小さく、内側を大きなクルマを作ろう」のコンセプトの元、208のインテリアは、その言葉通り広く、大人4人が乗車しても、ゆとりある室内空間を確保している。

1.2Lとは思えない超軽快な208アリュール

 最初の試乗車はベーシックな208 Allure 5MT。メタボの私でもゆったり座れるファブリックのシートは、包み込むように身体を支え、剛性感も高く良いシートである。ドライバーのポジションから通常より前に設置されたメーターパネルは、室内を広々と感じさせ、メーター・リング、ハンドル、ドアノブなどアクセントとしてクロームを使い、エスプリの効いたインテリアはクラスを越えた上質感がある。

 軽めだが節度感のあるクラッチを踏み、1速に入れて街中に乗り出す。クラッチが繋がった瞬間、期待したよりトルクが少なく「アレ!?」と思ったが、少しでもエンジン回転数が増えれば、気持ち良くタコメーターの針は上昇する。

 新開発の3気筒エンジンはバランサー・シャフトが採用されており、アイドリング時に3気筒だと言われないと気付かない程度の振動で4気筒との大差はない。そんな4気筒の比較より、気に入ったのがエンジンの特性。回転の上昇と正比例してトルクが増えていくスポーティな味付けのエンジン。アクセルを踏むのが気持ち良く、シフト・チェンジを積極的インチェンジすれば運転が楽しい。

 但し、「低速トルクが1.5Lにして物足りない」と、同乗していた編集長に伝えたら「1.2Lですよ」との返答。運転している感覚では1.5Lクラスであったので、私は勘違いをしてしまった。1.2Lでは間違いなくピカイチで、運転を楽しめるエンジンである。

 全長は4メートルを切り(3,960mm)の取り回しの良さも、エンジンの気持ち良さとの相乗効果で、ハンドルを握る事が楽しくなってくる。最高出力82ps/5,750rpm、最大トルク118Nm/2,750rpmとスペック的には目立たないエンジンであるが、車重は1,070kgと軽量ボディには必要充分であり、ハンドリングも軽快そのものだ。プジョー208を最も評価したいポイントでもある。

 全長を切り詰めても、207と同じホイール・ベース(2,540mm)を確保した208の乗り心地は、荒れた路面でも衝撃を受け流し乗員には伝えない。走りの質感が高く、ヨーロッパ車のハッチ・バック車のレベルの高さを感じる事が出来る。このモデルに乗っていると、これ以上大きなクルマは不必要だと思ってしまう程、完成度は高い。

 ベーシックのモデルであるが、ESC(エレクトリックス・スタビリティ・コントロール)を装備し滑りやすい路面や高速道路での安全性を高め、万が一の衝突時には強固のキャビンと共にフロント・エア・バッグ、フロント・サイド・エア・バッグ、カーテン・エア・バッグも装備し、上級車に負けない高い安全性を持っている。

 また、左右独立調整式オート・エアコン、雨滴感知式オート・ワイパー、オート・ヘッドライト、クルーズ・コントロールなど実用性の高い装備は標準装備となっている。フロント・ダッシュボードの中央には7インチのタッチ・スクリーンが装備されオーディオや情報などが表示される。しかしナビゲーションが無いなど、直接的な走行性能に関係無い部分には日本車の方が充実している。

本音の新車評価はCORISM

イージーに乗れる1.6L車だが、大幅車重増で持ち味の軽快感は薄まった

 次に試乗したのが、5ドアの208 Premium。1.6LのATモデルで日本では一番の主力車種であろう。1.2Lで感じた低速トルクの細さは勿論無いが、一方で楽しさは半減している。実用性が高いエンジンで、最高出力120ps/6,000rpm、最大トルク160Nm/4,250rpmであり、どの回転数でもフラットなエンジン特性は、AT車とのマッチングは良い。

 ただ、ATが4速と古く、都内で乗っている限りは多段ミッションの必要性は感じないが、長距離の高速道路使用の多い場面では、快適性と経済性でデメリットになるだろう。

 1.2Lモデルに比較して車両重量が90kgも増加した為に軽快感が減り、より普通のクルマになったが、5ドア実用性の高さを考えると、このモデルには合った特性である。個性が薄まった分だけ、イージーに乗れるクルマに仕上がっている。

MT派限定で、ベストバイは208アリュール! バーゲン価格の208GTもいい!

 最後に試乗したのがシリーズで最も熱い208 GT。1.6Lターボ・エンジンは156ps/6,000rpmの最高出力と、240Nmの最大トルクを1,400rpmから3,500rpmの広い範囲で搾り出す。

 6速MTのシフトフィーリングはダイレクト感があり、一段と引き締まったサスペンションは205/45R17タイヤを履く。1.2Lモデルの2倍もあるエンジン出力は、パワフルでアクセルを踏み続けるのを躊躇するが、208のボディ剛性は高く、しっかり路面に駆動力を伝える。

 乗り心地はカタイといっても、ガマンを強いる程では無い。他の208と同様にハンドリングは、狙ったラインを確実にトレースするのは容易で、前輪駆動である事を忘れてしまうほど楽しい。

 また、高いギヤでも低回転からアクセルを踏むだけで充分に反応する柔軟性のあるエンジンにより、高性能モデルでありながら、シフト・チェンジさぼってもイージーなドライブをする事も出来る。

 ドイツ車と遜色ない性能であるが、性能を追求した質実剛健なドイツ車とは違って、やり過ぎない一歩引いた余裕を感じさせるのが208 GTの魅力。しかも、258万円の車両価格はライバルになるポロGTIより約40万円も安い、バーゲン価格である。

 何処かオシャレなプジョー208は基本性も高く、装備を充実しながら輸入車としての価格は低めでお買い得感が高く評価したいポイント。もし、MT車で問題がないなら200万円を切った208 Allureをお勧めしたい。MTの敷居が高い人には、多少クセがあるだろうが今年の秋に導入予定の5速ロボタイズMTを待つのも良いだろう。

プジョー208価格、燃費、スペック等

<プジョー208価格>
・208Allure 5速MT 3ドア 1,990,000円  燃費:19.0km/L
・208GT 6速MT 3ドア 2,580,000円 燃費:15.2km/L
・208Premium 4速AT 5ドア 2,160,000円 燃費:13.4km/L
・208Cielo 4速AT 5ドア 2,400,000円 燃費:13.4km/L

代表グレード プジョー208Allure
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 3,960×1,740×1,470mm
ホイールベース[mm] 2,540mm
トレッド前/後[mm] 1,470/1,470mm
車両重量[kg] 1,070kg
総排気量[cc] 1,199cc
エンジン最高出力[kW(PS)/rpm] 60(82)/5,750rpm
エンジン最大トルク[N・m/rpm] 118/2,750rpm
ミッション 5速MT
タイヤサイズ 195/55 R16
JC08モード燃費 19.0km/L
定員[人] 5人
税込価格[円] 1,990,000円
発売日 2012/11/1
レポート 丸山和敏
写真 編集部/PCJ

2012年9月20日更新 コンパクト化されたボディであっても居住性は向上。しかし、燃費は勝負にならず・・・。

 プジョーは、基幹車種となる新型プジョー208を発表。11月1日より、発売を開始する。

 プジョーだけではないが、コンパクトカーの多くが年々肥大化する傾向にあった。先代モデルである207や、ひとクラス上の308も同様だ。しかし、この新型プジョー208は、コンパクトカー本来のあり方とはなにか? を、自らに問いかけたモデルだ。テーマは、RE-GENERATION 。ただ小さいクルアを作ることは簡単だ。プジョーは、サイズは小さくても中は大きなクルマを作る決断をし、そして生まれたのがこの新型プジョー208なのだ。

 サイズは、先代207に比べ確実にひと回り小さくなった。207と比較してもフロントで75mm、リヤで10mm、ボディサイズを短縮。207と同じホイールベースでありながら、よりコンパクトなパッケージングを施した。デザイン全体の徹底的な見直しなどにより、後席のニ―ルームは50mmも拡大。より、余裕ある乗員スペースを確保した。

 同時に、トランク容量も大きく拡大。207に比べ15L増えた荷室は285L(VDA方式)にもなった。リヤのシートバックをたたむと、その容量は1,076Lまで拡大する。

 コンパクト化と軽量化は同義語でもり、軽量化は低燃費化にも貢献する重要な要素だ。新型208では、すべてのコンポーネントを新たに設計、開発された。アルミニウム製のフロントビームアブソーバー、フロントサブフレームのサイズ、ルーフのレーザー溶接、VHSS(高張力鋼板)とUHSS(超高張力鋼板)パネルの広範囲にわたる採用。その結果、207比で約100kgもの軽量化を実現している。

 搭載されエンジンは、1.6L直4(120ps)と1.2L直3(82ps)の自然吸気エンジンと1.6L直4ターボ(156ps)の3タイプ。直3とターボエンジンは、今のところ3ドアのみの設定。売れ筋となる5ドアは、1.6Lのみとなっている。

 組み合わされるミッションは、3ドア1.2Lが5速MTのみ。ターボ車が6速MTのみという、かなり割り切った設定だ。主にクルマ好きで、さらにMT派というマニア向けのグレードでもある。そういった層を無視せずに、右ハンドルにして導入するのもプジョーならではだ。5ドアは4速ATの設定になる。

 燃費に関しては、さすがに分が悪い。JC08モード燃費で、1.6Lが13.4km/L。ひとクラス上で重い、同じ1.6Lエンジンのインプレッサが16.4km/L。さらに、最新のヨーロッパ車では標準装備になっているアイドリングストップ機能も今のところ装備はされていない。欧州での208の主力は、ディーゼルエンジンなのだが、日本のポスト新長期規制やユーロ6対応がされていないので、こちらも今のところ導入の見通しもない状態だ。規制がクリアできれば、クリーンディーゼル+MT+アイドリングストップという組み合わせで、日本導入も期待できるかもしれない。

新型プジョー208の武器、それは、圧倒するデザイン力!

 エンジンや燃費、ミッションなどのハードを比較すると見劣りする部分もあるプジョー208だが、スタイリングは他を圧倒する実力を持つ。小さくても力強い筋肉を思わせる張りのある面の組み合わせや、グリル上端に刻まれたプジョーロゴは、ボンネットを縦に通る2本のラインの起点となり、フロントウィンドウ上部、そしてルーフとつながり、テールゲートの開口部にまで伸びる。さらに、ボディサイドには強いインパクトを与えるキャラクターラインが、シャープのサイドシルエットをアピールする。

 さらに、ヘッドライトやリヤのコンビネーションランプも魅力的だ。ヘッドライトには、LEDのポジションランプを。キリッとした眼力を感じさせる。リヤのコンビネーションランプも3つのLEDチューブを組み合わせた曲線的なライトデザインを採用。暗い夜でも、プジョー208であることがスグに分かるはずだ。

 インテリアは、まさに未来感のある仕上がりを見せる。従来では考えられないくらい小径のステアリングホイールと、その上部から視認できるインストルメントパネルの組み合わせは、ドライバーにまったく新しい感覚を与えてくれる。これは、単にデザインのためだけではなく、ドライバーの視線移動を最小限に抑えるという安全性にも配慮した機能的な側面ももつ。

 そんな超小径ステアリングの隣、中央に配置された大型7インチのタッチパネル式スクリーンも、未来感を感じさせてくれるアイテムのひとつ。色々な情報の読み取りと操作を無理なく手が届く範囲内で行なうことができる。ラジオ、トリップコンピュータ、日付や時刻などの各種設定、USB接続のオーディオBluetooth ハンズフリーキットなど、主要な操作が、入念にデザインされたグラフィック(解像度800×480)を操作することによって直感的かつ効率的に行なうことができる。このタッチスクリーンは、デザイナーのこだわりで、セミフローティングスタイルを採用。ほとんどのコントロールスイッチ類はステアリングホイールかタッチスクリーンに配されている。

 圧倒的なデザイン力が、新型プジョー208の魅力。小さいのに、それも200万円台前半で買えるクルマとは思えないくらいのスタイリッシュさと堂々とした存在感もつ。ライバルは、フォルクスワーゲン ポロ。まさに、対極にあるライバル関係。エモーショナルなスタイリングで勝るプジョー208に対し、エンジンやミッション、燃費などハード面で圧倒するフォルクスワーゲン ポロという構図が顧客の選択を悩ます。さらに、国産勢ではハイブリッドのトヨタ アクアやプチバンでヒット中でスライドドアをもつポルテなども、価格やサイズでは、同じクラスに属してくる。200万円前後のコンパクトカー選びは、輸入車も入り乱れて激戦区となっている。顧客にとっては、楽しくも悩ましいクルマ選びとなる。新型プジョー208は、そんなコンパクトカーの中でも主役級の1台といえるだろう。

2012年3月2日更新 コンパクトカーの原点に戻った注目のモデル、プジョー208

プジョーは、ジュネーブショーで新型プジョー208と2種類のコンセプトカーであるGTiとXYを世界初公開する。

 この新型プジョー208の最大の特徴は、コンパクトで軽量であることだ。肥大化する傾向にあるボディサイズを3.96mに抑え、さらに前モデルである207に比べ-110kgとい軽量化が施された。もっとも軽いモデルは、なんと1トンを切るという。さらに、軽量化と低いCd値により、低燃費かも進んだ。

 搭載可能なエンジンは、なんと10種類と多岐にわたる。小排気量化が進められ、新世代の1Lと1.2Lの3気筒ガソリン車やe-HDiスタート&ストップ機能をもつディーゼルターボエンジンなどが用意される。

 プラットフォームなどベースは、すでに発売されているシトロエンDS3やC3とも言われており、日本に導入されるのは88KWの1.6Lや115KWの1.6ターボなどの導入が予想される。BMWなども2012年度から、積極的にクリーンディーゼルエンジンの導入を進めていることからも、プジョー208のディーゼルエンジンの導入にも注目が集まる。

 また、208には3ドアと5ドアの2タイプが用意されているが、さらにGTiとXYと呼ばれるコンセプトモデルも登場した。GTiは、その名の通り208のスポーツグレードで、なんと200馬力超のエンジンを搭載したスポーツモデルとなっている。対するXYは、都市型ユーザーを対象にしたスタイリッシュなモデル。LEDを駆使したデザインになっているようだ。

 ボディの肥大化を抑えで軽くなった新型プジョー208。日本においても、使い勝手も良いだけに価格や燃費など注目される輸入コンパクトカーになる。

CORISM(コリズム)

トピックスRSS

ランキング