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デカイのに軽快! まずは、ガソリン車を試す【マツダCX-5試乗記】【レビュー:マツダ】

CORISM / 2012年3月24日 18時18分

マツダCX-5

内燃機関の教科書は、本当に正しいのか? 自ら試すことがSKYACTIV-Gを生んだ

 マツダ渾身の1台といえるSUVがマツダCX-5だ。エンジンは言うに及ばず、ミッション、ボディ、シャシーに至るまで、マツダの新世代技術SKYACTIV(スカイアクティブ)をフル投入している最初のクルマになるからだ。
 
 今回の試乗は、SKYACTIV-Gを搭載したガソリン車。SKYACTIV-Gというと、デミオに搭載された1.3Lエンジンの超高圧縮比14という数字を思い出す。だが、今回CX-5に搭載された2Lエンジンの圧縮比は13となっている。10~12が一般的圧縮比なので、それでもかなり高圧縮比であるには変わりない。

 圧縮比が13になった主な理由は、ガソリンの違い。ガソリンのオクタン価の違いによるものだ。EUの一般的ガソリンのオクタン価は約95。それに対して、日本のレギュラーガソリンのオクタン価は約90。オクタン価が高いほど、ノッキング(異常燃焼)が起きにくいため、ノッキングとの戦いである高圧縮比エンジンにとってはガソリンのオクタン価も重要な役割をもっているということにもなる。

 高圧縮比にすると、燃費とパワーアップに効果があることは知られているが、高圧縮比化が進むと自然発火によるノッキングが発生しトルクの低下や燃費に悪影響をおよぼすことは、内燃機関の基本中の基本とわれてきた。それをマツダは、どこまで高圧縮にできるのか? ということで、先行開発では圧縮比15でテストした。

 その結果、圧縮比15でわずか12%のトルク低下だったという。低音酸化反応効果という反応が有効に作用していることが分かり、圧縮比とトルク低下が必ずしも比例しないということを発見したのだ。これくらいの低下なら、工夫次第でなんとかなる。それが、SKYACTIV-Gの高圧縮比化のスタートだ。

 内燃機関の教科書に超高圧縮はダメよ、と書いてあっても、自分の手でやってみないと信用できないという、なかなか疑い深いエンジニアの集団が、常識を打ち破ったことになる。そして、キャビティ付きピストンや4-2-1排気システムなど、数々の工夫がありSKYACTIV-Gが完成し、現行のエンジンより高い低中速トルクを実現した。

日本仕様、圧縮比13のジレンマ

 ちょっとドラマちっくな開発ストーリーを聞いただけで、頭の中は完全に乗る前からSKYACTIV-Gはトルクがあって燃費もいいと洗脳された。それだけに、期待値は高い。さらに、そこへ田中さんという開発責任者が技術だけでないCX-5へのこだわりを見事な話術で説明する。

 一般的に、数値や理論を軸とした話が多い中、この田中さんは、ひたすら情緒的な話を繰り返す。もはや、SKYACTIVの言葉すら発しないくらいだ。SKYACTIVが徹底して数字がキーワードになるのに対し、田中さんが求めたものは、人間が感じる気持ち良さを直感的に感じ取れるクルマがCX-5であるということだ。エンジニアリングと車両の企画開発は、違うベクトルではあるが両方とも本質主義だった。

 早速、試乗する。ステアリングのグリップ部分でさえも、徹底的にこだわったというドライビングポジションもなんだか普通。だが、よく考えてみれば、違和感なドラポジがとれるというのが凄いことに気がついた。多くのクルマが、何度もスタアリングやシートの位置、ペダルの位置を確認して乗る。ひどいクルマだと、体の正面にステアリングが無かったり、アクセルペダルとブレーキペダルがよく分からない位置にあったりする。最初に違和感を感じるのだが、人間の体は素晴らしく、自然と体を合わせて慣れてしまう。そういう意味では、最初から違和感なくドラポジが取れるCX-5には、分かりにくいがこだわった分だけの価値はある。

 走りだすと、以前に乗ったプロトタイプのCX-5と違うことに気がついた。プロトタイプに比べ、全体的にパワー&トルクが低い印象だ。そこで、冒頭の圧縮比が13ということを思い出す。以前乗ったプロトタイプは、圧縮比14仕様だったのだ。圧縮比14は、当時の資料によると165馬力&210Nm。対して圧縮比13は155馬力&196Nm。やはり、若干パフォーマンスは下がっていた。ガソリンの違いで圧縮比13を選択したのは、きっとマツダも苦渋の選択だったに違いない。現在の日本マーケットでは、ハイオク仕様は嫌われる傾向が強いからだ。パワー&トルクは平均値で終わってしまったが、JC08モードで燃費は16.0km/Lと高水準だ。今後のSKYACTIV技術の進化で、90オクタン前後でも圧縮比14が実現できることに期待したい。

人間の感覚に近い自然な動きが生む「CX-5との一体感」

 クルマの動きは、全幅1840mmという大きなボディの割には軽快だ。ロックアップ領域を増やしてダイレクト感がアップしたという6ATもギクシャク感はない。アクセルの操作にリニアに反応して、クルマの動きが自分のイメージと合うので、意外とゆっくりと走っていても一体感があり疲れない。

 低速ではマツダ伝統のタイヤのゴツゴツした印象があったが、これも速度が上がるに連れてスッキリとした乗り味に変化した。スピードが上がると、大きなボディサイズが意外とコンパクトに感じてくるのも美点だ。

 ハンドリングには、好感がもてた。スポーティなハンドリングをウリとするSUVが多く存在する。その中でも、一部のクルマはステアリング操作に機敏過ぎるものあり、センター付近の微少舵だけキュッキュ曲がるものがあり、正直、高速道路などでは疲れるものもある。CX-5は、センター付近の微少舵には結構寛容でしっかりした直進安定性を誇る。

 感心したのは、それからステアリングをグイっと切り足したときに、クルマがリニアにしっかりと反応することだ。旋回中でも、自分のイメージ通りにラインを変えられる。リヤサスがシッカリと路面を捕まえているので、安心感も高い。軽快感を最も強く感じた瞬間だ。

 クルマのロールも少なくスポーティなハンドリングだと、マツダの運動性能の責任者にレポートすると、その責任者はしてやったり顔になった。ジックリと話を聞くと、クルマはシッカリとロールしているという。ロールスピードなど、クルマの動きを人間の感覚に合わせコントローすることで必要以上のロール感を感じさせないような工夫がされているのだというのだ。それが、クルマとの一体感だという。

 4WDはFF車に比べ若干穏やかな感じだ。わずか70kgだが、重いこともあり軽快感はFFが圧倒する。

 安全面では、スマート・シティ・ブレーキ・サポート(SCBS)&AT誤発進抑制制御がオプションで用意された。これは、レーザーセンサーで前方を認識。4~30km/h以下の低速で衝突の危険を検知すると自動でブレーキをかけ衝突回避や軽減を行うものだ。ただし、認識するのはクルマに限られている。さらに、AT誤発進抑制制御は、前方の障害物を感知してエンジンの出力を自動で抑制し急発進を防止する。また、リヤバンパーにもレダーが設置され、30km/h以上での車線変更時に後方から来るクルマを検知し注意を喚起する。このオプションは78,750円とリーズナブルで価格で装備できる。

ガソリン車は20Sをベースに、好みと予算で4WDを選択すべし!

 マツダCX-5は、20S(FF車)で220万円とリーズナブルな価格も魅力のひとつだ。さらに、205万円の20Cというグレードがあるが、これは完全に安く見せるオトリグレード。装備も含め選ぶ理由があまりみつからない。開発関係者の本質主義で考えるのなら、必要のないグレードをわざわざ作る必要があるのか? それも、わざわざ別の廉価グレード用装備まで設計して・・・。ということになる。

 こういうグレードができる背景は、どこのメーカーもそうだが、営業部門の言い訳用だ。つまり、CX-5の販売台数が伸びない場合「リーズナブルな訴求したのに、来店や販売台数が伸びないのは、営業力ではなくクルマの魅力がない」。仮にCX-5が売れた場合、「リーズナブルな訴求が効果的で、来店・販売につながった。商品力と営業力の成果だ」といったイメージだ。実際の初期受注をみても、こ20Cグレードはほとんど売れていないという。

 また、FF車と4WDどちらを選ぶといいかだが、雪国やアウトドアの趣味などで、どうしても4WDじゃなければダメという人でなければ、FF車がオススメだ。予算重視の人にも合う。FFと4WDは、結構キャラクターが違うので、同じガソリン車でも乗り比べてみるといいだろう。

 ディーゼル車についても後日レポートするが、やはりガソリン車とはまったく違った重厚な乗り味。姿は同じでも、まるで違うクルマに感じてしまうので、CX-5の場合、ガソリンのFFと4WD、ディーゼルのFFと4WDと4タイプすべて試乗して、自分に一番ピッタリと合うものを選ぶのが理想的だ。


<新型マツダCX-5 20S FF スペック>

・全長 x 全幅 x 全高 4,540 x 1,840 x 1,705mm
・ホイールベース 2,700mm
・ガソリエンジン  SKYACTIV-G 2.0
・排気量 1,997cc
・最大トルク 196N・m/4,000rpm
・最高出力 114kW/6,000rpm
・燃費(JC08モード[10・15モード]) 16.0km/L[17.6km/L]
・ミッション SKYACTIV-DRIVE(6速オートマチック)
・ステアリング 電動パワーステアリング(コラム式)
・サスペンション (前)マクファーソンストラット式/(後)マルチリンク式
・ブレーキ (前)ベンチレーテッドディスク/(後)ディスク
・タイヤ 225/65R17

■ディーゼルエンジン  SKYACTIV-D 2.2
・排気量 2,188cc
・最大トルク 420N・m/2,000rpm
・最高出力 129kW/4,500rpm
・車両重量 1,510kg
・燃費(JC08モード[10・15モード]) 18.6km/L[20.0km/L]


<新型マツダCX-5価格>

・XD(クロスディー) 2WD SKYACTIV-D 2.2 2,580,000円
・XD(クロスディー 4WD SKYACTIV-D 2.2 2,790,000円
・XD L Package 2WD SKYACTIV-D 2.2 2,980,000円
・XD L Package 4WD SKYACTIV-D 2.2 3,190,000円
・20C 2WD SKYACTIV-G 2.0 2,050,000円
・20S 2WD SKYACTIV-G 2.0 2,200,000円
・20S 4WD SKYACTIV-G 2.0 2,410,000円

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