燃費以外は、スタイル&走りの切れ味抜群! グランド・ツーリング・セダンへの原点回帰【レクサスGS350/250試乗記】【レビュー:レクサス】

CORISM / 2012年4月18日 8時8分

レクサスGS350/250

そもそもレクサスGSの存在価値は? グランド・ツーリング・セダンへの原点回帰を目指す!

 そもそもレクサスGSは、国内に必要なクルマなのか? 存在価値は? トヨタの開発陣の悩みは深かったという。このクラスの高級セダンは、メルセデス・ベンツやBMWなどの輸入車が強い。さらに、トヨタブランドとして国内セダンの大黒柱であるクラウンの存在もある。

 国内販売もジリ貧だ。クラウンの既納先から、レクサスへ移行させてもトヨタ全体の保有は増えない。クラウンとのカニバリを回避しながら、輸入車層から顧客を奪回しなければ、レクサスGSの勝ち目はない。国内だけでなく、海外でもライバルは同じ。つまり、レクサスGSは、海外メーカーセダンを撃ち落さなければならないという役目を負うことになる。

 先代モデルとなったレクサスGSは、どちらかというと好き嫌いがあまり明確にならない上品なイメージでまとめらていた。ある意味、トヨタ車的である。しかし、それでは個性に欠ける。アクの強い顔が並ぶライバル達と比べると、存在感が薄く見えていた。バックミラーに写った瞬間に「レクサスGS!」と瞬時に分からせる個性が必要。そのため、先代モデルのイメージをほとんど感じさせないくらい、新型レクサスGSのデザインは大きな変貌を遂げた。

 そして生まれたのが新デザインアイコンであるスピンドルグリルだ。逆台形アッパーグリルと、ハの字に開いたアンダーグリルを一体化。エッジ部分の一部をメッキ加飾し、強調する手法がとらている。さらに、グリルを前方へ押し出し、ヘッドライトが奥に配置。つり目のヘッドライト形状と合わせて、彫りの深い顔に仕上げている。

 国産車の多くが、色々な制約があることも分かるが、基本的にタイヤとホイールがフェンダーの奥に入ったデザインになっている。こういったデザインは、まるで電車のようで安定感に欠けスポーティさは感じられない。新型レクサスGSは、そういった側面を払拭するためにボディをハの字型にし、フェンダーを広げ、タイヤ&ホイールをフェンダーに対してツライチにしている。個人的には、もうちょっと外に出せるだろうと思うのだが、国産車としては異例なくらいだ。また、フェンダーとタイヤの隙間も、かなり縮め塊感を出している。真後ろから見ると、ちょっとタイヤがハの字になっていて、ドッシリと安定感のある姿が魅力的だ。レクサスGSの語源でもあるグランド・ツーリング・セダンの名にふさわしいスポーティなルックスになった。

 ドアを開けると、スタイルとは少し違うオーソドックスで安心感のあるインテリアが目に飛び込む。多くの人が、この高い質感に感嘆するだろう。ステアリングの真ん中に大きく「L」とレクサスのロゴが妙に大きく感じるものの、アルミ削りだしのオーディオダイヤルや自発光指針のLEDアナログ時計など、コテコテした高級感ではなく凛とした雰囲気を漂わせ品の良さを感じさせる。世界最大といわれる12.3インチワイドディスプレーも、鮮やかで見やすい。

ダウンサイジングの波に逆らい、あえて? V6の2.5Lを搭載

 まずは、3.5LのV6エンジンを積むGS350に乗る。318ps&380Nmのパワーとトルクを発揮するので、余裕ある走りが楽しめる。エンジンは筒内噴射と吸気ポート噴射のツインインジェクタータイプ。2000回転で最大トルクの90%を発揮する。実際に乗ると、低速トルクはそれほど感じられず、どちらかというとシュィーンとエンジンを回していくと、ドンドンと元気が良くなっていくタイプ。とにかくパワフルなので、アクセル開度100%だと、おまわりさんとのシンクロ率が急上昇するので自制心が必要だ。

 驚いたのは、アクセルを踏み込んだ瞬間から「ブォーン」というエンジン音が聞こえてくること。サウンドジェネレーターという、心地良いエンジンサウンドを聴かせるための装置を付けているためだ。オイオイ、レクサスは卓越した静粛性がウリじゃなかったけ? と、思ったのだが、開発陣は「多くのライバルがエンジン音を聞かせているから」という。考え方が分かれる部分だ。個人的には、演出過剰であまり好きではない。

 今回新たに追加されたのが、V6の2.5Lエンジン。レクサスISに積まれているものと同じ。215ps&260Nmを発揮する。レクサスは、メルセデス・ベンツやBMWがダウンサイジングし直4化している中で、V6エンジンの静粛性や振動、フィーリングなどで価値あるものだと説明する。確かに、エンジンを回した時の滑らかさはV6ならではのもの。

 市街地での走行では、これで十分といった印象。ただ、登りの急勾配などでは、キックダウンが頻繁になる。それでも、スムースさは、さすがレクサスで気が付けばキックダウンしていてエンジン回転が上がっている状態だ。

運転ベタな人も突然、上手くなる! 魔法のハンドリングシステムLDHとは?

 走りを支えるプラットフォームは、新開発された。ボディの溶接も初となるレーザー溶接も採用されるなど、ボディそのものも鍛え上げられている。その結果、ヨーロッパの競合車を超えるという目的をもった新型レクサスGSのハンドリングは、想像以上にダイレクト感のあるハンドリグを身についけていた。とくに、ステアリングの切り始めの動きは、かなり素直な印象だ。

 あまりにクイックなクルマだと、高速道路などでドライバーの視線が移動し、わずかな力がステアリングにかかっただけでも敏感に反応するクルマもある。確かにワインディングロードやサーキットなどでは、切れのある走りを堪能できるが、一般道では直進安定性に欠け、ドライバーは常に集中することが求められ、ロングドライブでは少々疲れてしまう。

 また、圧倒的な直進安定性はあってもダル過ぎでも楽しみは減る。とにかく、ハイスピードで高速道路をドーンと走れれば、ハンドリングなんて二の次という人にはよいが、クルマを楽しみたいという人には少々つまらなく感じるかもしれない。新型レクサスGSは、ちょうどその中間くらい。ピーキーでもなければダルでもない絶妙な感じだ。

 乗り心地も秀逸。先代GSで少々感じたフワフワ感と少々渋い動きが無くなり、スッキリスイスイ足が動いている印象。タイヤのゴツゴツ感もよく抑えられていた。

 コーナーリング性能も、かなり向上した。先代GSは、コーナーリングスピードが上がるとロールが急激に増していき、高いレベルで走りが楽しめるとは言えなかった。新型GSは、速度が上がってもロール量がジワジワと増えていくので、運転しやすくクルマも安定感がある。リヤサスペンションの剛性や操縦安定性も高く、よほどのことをしないとリヤタイヤがグリップを失い滑り出すということはないだろう。

 さらにハンドリング性能を高める機能として、スポーティグレードのFスポーツにLDH(レクサス・ダイナミック・ハンドリング・システム)が装備されている。このシステムは、後輪にも切れ角を与えるだけでなく統合制御型横滑り防止装置(VDIM)や可変ギヤ比をもつステアリング(VGRS)などを、総合的に制御するシステム。低速ではステアリングを切った方向とは逆に後輪が動き、小回りが効かせる。高速時には、ステアリングと同じ方向に後輪が動き、車体のスリップ角をほぼゼロにして、安定感のある走りを実現したという。

 このシステム、最初に富士スピードウェイでのサーキット試乗では、少し違和感があった。自分が思い描く走行ラインよりも、車体半分くらいが早くイン側に入ってきた。わずか3周という短い試乗のため、体が慣れる前にクルマを降りるため多くのジャーナリストが「リニアじゃないなぁ」とボソっと話していたのを覚えているし、自分もそう感じていた。

 ところが、慣れと走る環境が違うとここまで感覚は変わるのかと思ったのが、一般道や高速道路での試乗。サーキット走行ほど緊張しないこともあり、クルマの運転が少々雑なる。ひと通り取材を終えて、緊張感もなくダラっとしながらも、ソコソコのスピードで流していたのだが、車線変更などではスゥイッピタっとクルマがミズスマシのように路面上を滑らかに移動する。

 高速道路の合流前にある大きな弧を描き曲がる区間も、ほとんど減速していないのに「アレ? 減速しすぎたかなぁ」と思うくらいノーズが簡単にイン側を向いている。たぶん、後ろからクルマの姿勢を見ている人から「おっ、なかなか運転上手いな」と思われているに違いない、と思うと自分に少々妙な自信がでてくるから不思議だ。それくらい、かなり運転が上手くなった感じがする。

 ただ、評価するのが難しいのは、ドライバーがこのLDHにどれだけ助けられているか分からないという点だ。良くも悪くもシステム任せなので、ドライバーがどうしたら運転が上手くなるのかというプロセスを知らないまま、いきなり上級者になってしまう。クルマに「余計なことしなくていいから、普通にハンドル切ってな。あとはオレがなんとかしてやるからさ」と言われている気分になる。そう考えると、Fスポーツのように自ら走らせることを趣味とするような人が好むグレードに装着するよりは、走りなんて二の次でGSの雰囲気を味わいたい人。とにかく、楽チンに運転できることを優先する人向けの通常グレードに装着できるようにした方がよい気がした。

なぜ装着されなかったアイドリングストップ機能

 全般的にかなり完成度は高い新型レクサスGSだが、とにかく1点だけ不可解な部分がある。それは「なぜアイドリングストップ機能がついていないのか」という点だ。それも、ライバル達はダウンサイジング&アイドリングストップ機能、減速エネルギー回生システムまで装着されているくらい燃費に対して本気で取り組んできている。それは、トヨタのハイブリッド技術にかなりの危機感を抱いているからだ。

 例えばBMW523iは、JC08モード燃費14.2km/Lで車重1750kg。メルセデス・ベンツE250は、燃費12.6km/Lで車重1720kgだ。それらに対して新型レクサスGS250を比較すると、燃費10.8km/Lで車重は1640kgとなっている。残念ながら、GS250は車重が軽いのに燃費が悪いという現実がある。

 燃費重視なら、遅れて登場したハイブリッド車、レクサスGS450hを買ってくださいねというメッセージなのか、それともGS450h以外は売れなくてもいいという判断なのか疑問が残る。GS450hの燃費は18.2km/L。なんだか、レクサスのカタログを見ると、この450hの数値が異常に際立って見えてくるのは戦略なのだろうか。

<レクサスGS350/250価格>
GS350 “version L” 2WD(FR) 6,700,000円
GS350  “version L”AWD 7,100,000円
GS350“F SPORT” 2WD(FR) 6,800,000円
GS350“F SPORT”AWD 7,000,000円
GS350“I package” 2WD(FR) 6,200,000円
GS350“I package”AWD 6,600,000円
GS350 2WD(FR) 5,800,000円
GS350 AWD 6,200,000円
GS250 “version L” 2WD(FR) 6,000,000円
GS250“F SPORT” 2WD(FR)5,900,000円
GS250“I package” 2WD(FR)5,500,000円
GS250 2WD(FR)5,100,000円

<レクサスGS350/250 JC08モード燃費>
GS350  9.9km/L(2WD)
GS250 10.8km/L(2WD)

代表グレード レクサスGS250
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4850×1840×1470mm
ホイールベース[mm] 2850mm
トレッド前/後[mm] 1575/1590mm
車両重量[kg] 1640kg
総排気量[cc] 2499cc
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] 215ps(158kw)/6400rpm
エンジン最大トルク[N・m/rpm] 260N・m/3800rpm
ミッション 6速AT
タイヤサイズ 225/50 R17
燃費 JC08モード 10.8km/L
定員[人] 5人
税込価格[万円] 510万円
発売日 2012/1/26
レポート 大岡智彦
写真 編集部

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