【マツダCX-5(ディーゼル車)試乗記】クセになる大トルク420Nm【レビュー:マツダ】
CORISM / 2012年5月22日 7時7分
乗らずに買われる人気のディーゼルエンジン車! その魅力とは?
少し前の話だが、3月中旬にマツダCX-5が1ヶ月で目標1000台に対して、8000台の受注があったと発表した。まぁ、受注台数そのものは、それほどビックリするほどではない。しかし、驚きだったのはCX-5のディーゼルエンジン車比率だ。なんと、ディーゼルエンジンを選択した顧客は、約73%もいたのだ。発売当初は、販売店に試乗車もほとんどない状態だったというのだから、ほとんどの顧客が試乗せずにCX-5のディーゼル車を買ったことになる。この結果から、それほどマツダCX-5のディーゼルエンジンへの期待度は高かった、ということになる。
マツダCX-5のディーゼルエンジンは、SKYACTIVテクノロジーにより超低圧縮比14.0を達成している。同じSUVでクリーンディーゼル車である日産エクストレイルと比較してみると、エクストレイルのM9Rエンジンは15.6だ。さらに、メルセデス・ベンツEクラスのディーゼルエンジンにいたっては17.7である。いかに、低圧縮比であるかがよくわかる。
低圧縮になると、エンジン内部の圧力が少なくなりピストンや他の部品にかかる負担も少なくなる。そうなると、ピストンなどの部品強度が従来よりも低くて済むので、部品の肉薄化&軽量化も可能になる。部品の軽量化は、燃費にも効果があり、さらにはエンジンそのもののコスト低減にもなり低圧縮化はいいことだらけという訳だ。CX-5のディーゼルエンジンが、他のディーゼルエンジンに比べ軽快に吹き上がるフィーリングも軽量化によるものが大きいという。
また、ATとアイドリングストップ機能という組み合わせは、世界初。その結果、排気量2.2Lで420Nmという大トルクと18.6km/L(JC08モード)という低燃費を実現している。
上手くいけば、燃料費がハイブリッド車と同等程度? さらに、ガンガン走れる420Nmという大トルク!!
マツダCX-5のディーゼル車は、258万円から。予算さえ合えば、ディーゼルエンジンを選びたい。やはり、420Nmというトルクはクセになる。これだけのトルクがあれば、1510kgというボディも軽く感じる。市街地から高速道路まで、わずかなアクセル操作でスピードコントロールは自由自在だ。アクセルを踏む量が少なくても十分に加速するので、明らかに疲労が少なくなる傾向にある。数時間にも及ぶ熊本での一般道や高速道路走行でも、やはりディーゼルエンジン車は乗っていて疲れない印象だった。
クリーンディーゼル車の場合、やはりハイブリッド車との燃料代の経済性も選択肢のひとつだろう。ディーゼル車の燃料は軽油。レギュラーガソリンよりも20円/Lくらい安いので、ハイブリッド車との燃料費も肉薄する。20円/Lくらいの燃料価格差があり、CX-5のディーゼル車が実燃費でCX-5が16km/Lくらい走るのなら、実燃費20km/Lのハイブリッド車と同じくらいの燃料費になる可能性がある。
多少、燃料費はハイブリッド車に劣っていたとしても、やはり420Nmのトルクは魅力的。トヨタのハイブリッド車は、アトキンソンサイクル化することでガソリンエンジンの燃費を上げている。しかし、アトキンソンサイクルにするとトルクが細くなる。細くなったトルクをモーターで補っている。そのため、燃費は良いが、ドーンと加速していくようなダイナミックな走りはできない。端的に言えば、我慢を楽しむ走り。
対して、CX-5のディーゼルエンジン車は、古典的なトルクにモノを言わせてダイナミックな走りが楽しめる。エンジンのパフォーマンスを開放して楽しむ走りだ。これは、どちらが勝っているということではなく、どちらが好きか? ということになるだろう。個人的には、極力低燃費走行を心がけ、イッキに弾けたいときに、圧倒的な加速力で弾けることができるCX-5ディーゼル車が好きだ。
FFか4WDという選択になると、これがまた悩む。FFから4WDになると、約100kg重くなり価格も21万円高くなる。走りそのものは大きく差が出るほどではないが、やはりFFは4WDより軽快だし、グリップの低い路面でより安定感ある走りを披露する4WDも捨てがたい。この4WDシステムは、前輪:後輪のエンジントルク配分を100:0~50:50の範囲で電子制御するアクティブトルクコントロールカップリング方式。
雪国や雪山系趣味の人には、迷わず4WDをオススメするが、とくに路面状態の悪いところに行く人でなければFFでも十分だ。多少、予算に余裕があり、ガンガンアクセルを踏むタイプの人も4WDがいい。ドライ路面なら、それほど気にならなかったが、ウエット路面のときは420Nmのトルクを受け止めるには4WDが安心感があってより良い。
テストコースで超高速域での話だが、レーンチェンジ時に多少ロールの戻りが遅い印象があった。これは、主に乗り心地を意識した結果だと思われる。ハンドリングもダルでもなく、クイックでもなく非常にバランスがいい。初期の操舵時だけ、妙に反応の良いハンドリングで、さらに切り足すとあんまり反応が良くないSUVが多い中、切ったら切った分だけ素直に反応するCX-5は安心できる。この素性の良さを生かし、CX-5にマツダスピードバージョンでも出してもらい、車高をもう少し下げ重心高を下げたら、かなり楽しいSUVになると感じた。
冒頭に、試乗もせずに約73%の人がディーゼルエンジンを選んだと書いたが、乗らずに選んでも正解だ!
マツダは、今年、CX-5の他にもアテンザのフルモデルチェンジを予定している。アテンザにも、このSKYACTIVのディーゼルエンジンが搭載されると予想できる。マツダのセダン&ワゴンファンも、もう少しでこの新ディーゼルエンジンを味わうことができる。
<新型マツダCX-5 20S FF スペック>
・全長 x 全幅 x 全高 4,540 x 1,840 x 1,705mm
・ホイールベース 2,700mm
・ガソリエンジン SKYACTIV-G 2.0
・排気量 1,997cc
・最大トルク 196N・m/4,000rpm
・最高出力 114kW/6,000rpm
・燃費(JC08モード[10・15モード]) 16.0km/L[17.6km/L]
・ミッション SKYACTIV-DRIVE(6速オートマチック)
・ステアリング 電動パワーステアリング(コラム式)
・サスペンション (前)マクファーソンストラット式/(後)マルチリンク式
・ブレーキ (前)ベンチレーテッドディスク/(後)ディスク
・タイヤ 225/65R17
■ディーゼルエンジン SKYACTIV-D 2.2
・排気量 2,188cc
・最大トルク 420N・m/2,000rpm
・最高出力 129kW/4,500rpm
・車両重量 1,510kg
・燃費(JC08モード[10・15モード]) 18.6km/L[20.0km/L]
<新型マツダCX-5価格>
・XD(クロスディー) 2WD SKYACTIV-D 2.2 2,580,000円
・XD(クロスディー 4WD SKYACTIV-D 2.2 2,790,000円
・XD L Package 2WD SKYACTIV-D 2.2 2,980,000円
・XD L Package 4WD SKYACTIV-D 2.2 3,190,000円
・20C 2WD SKYACTIV-G 2.0 2,050,000円
・20S 2WD SKYACTIV-G 2.0 2,200,000円
・20S 4WD SKYACTIV-G 2.0 2,410,000円
★マツダCX-5試乗記/新車購入術などコンテンツ集
■「社運を賭けた渾身のクリーンディーゼル搭載」「SKYACTIV-G圧縮比13のジレンマ」価格は205万円から!マツダ新型クロスオーバーSUV「マツダ CX-5」比較評価試乗記。
【関連記事】
- 試乗記更新!「社運を賭けた渾身のクリーンディーゼル搭載」「SKYACTIV-G圧縮比13のジレンマ」価格は205万円から!マツダ新型クロスオーバーSUV「マツダ CX-5」比較評価
- クリーンディーゼル時代突入か? 社運を賭けた渾身の1台!!【マツダ CX-5試乗記】
- デカイのに軽快! まずは、ガソリン車を試す【マツダCX-5試乗記】
- なんと、バッテリー保証は8年という強気のRAV4 EV!【トヨタRAV4 EV新車情報】
- 都会派としての価値を高めたコンパクトSUV【アウディQ3新車情報】
- 【スバル レガシィ新車情報】なんと300馬力! 燃費も向上した待望の2Lターボのスポーツモデルが登場!!
- 画像&スペック詳細追加! クリーンディーゼルを搭載したSUV新型アウトランダーを世界初公開!【新型三菱アウトランダー新車情報】
- ジープなのにFFのワケとは? 戦略的価格と割り切ったグレード【Jeep Compass(ジープ・コンパス)試乗記】
- イケメン戦隊ヒーロー系は、豪華でタフで切れ味抜群!【レンジローバー イヴォーク/イヴォーククーペ試乗記】
この記事に関連するニュース
-
マツダ新型「コンパクト“SUV”」発表! 新エンジン搭載&豪華「なぎさ仕様」設定アリ! まさに“小さな高級車”な「シーエックス サーティー」欧州に登場
くるまのニュース / 2024年11月19日 8時25分
-
街に溢れる「マツダ車」の“1番人気”ってなに? 「流麗SUV」や10年続く“ロングセラーモデル”も! 爆売れの「マツダ車」トップ3とは?
くるまのニュース / 2024年11月3日 20時10分
-
全長4.3m以下! マツダ最小「小さな高級SUV」何がイイ? アンダー230万円の「CX-3」いま狙うべき理由とは
くるまのニュース / 2024年10月29日 17時40分
-
マツダCX-80試乗記・評価 すべてに大人の余裕を感じた国内フラッグシップ3列SUV
CORISM / 2024年10月26日 18時47分
-
7人乗り新SUV「CX-80」に見るマツダの生きる道 開発陣の「こだわり」が生む独自性の商品力
東洋経済オンライン / 2024年10月25日 9時40分
ランキング
-
1相鉄かしわ台駅、地元民は知っている「2つの顔」 東口はホームから300m以上ある通路の先に駅舎
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 6時30分
-
2ジャパネット2代目に聞く「地方企業の生きる道」 通販に次ぐ柱としてスポーツ・地域創生に注力
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 8時0分
-
3日本史の偉人「意外と二面性ある」驚きのトップ3 戦国時代や幕末の偉人も、どんな二面性?
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 9時20分
-
4会社員が考える“テレワークのデメリット” 「会話不足」「公私の切り替えが曖昧」を超えた1位は?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月22日 7時0分
-
5「ドラクエIII」最新リメイク、世代と国境の壁に挑む 「おじさんのRPG」を超えられるか
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 13時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください