電気自動車(EV)の主導権争奪戦「チャデモvsコンボ」日欧自動車メーカーの標準化覇権争いが勃発した!!【特集・コラム:ビジネス・経済】
CORISM / 2012年6月3日 11時11分
自分たちが世界標準でないと気が済まない西洋人、無関心な政府、詰が甘いチャデモ
チャデモとコンボ、電気自動車の充電方式の標準が争われている。ああ、またかという気分にさせられているのは私だけではないだろう。これまでにもテレビや携帯電話などで、何度も標準化が問題になってきたからだ。
テレビも携帯電話も、はっきり言って西洋人(とりわけヨーロッパ人)の東洋人(とりわけ日本人)に対する差別意識としか思えない対応で、いずれも日本とは異なるシステムが採用され、日本はガラパゴスかを余儀なくされてきた経緯がある。
だから、私は何年も前から電気自動車では、そうしたことにならないように警鐘を発してきたが、残念ながら電気自動車の充電方式についても、西洋人による日本外しが徹底されそうな状況である。
日本では、5月22日にチャデモ方式の充電システムを推進する企業による第二回チャデモ協議会総会が開かれた。総会では、チャデモの推進をアピールすると同時に、欧米の自動車メーカーがコンボ方式とい別方式を主張してきたことに危機感を強めている。ただ、今となってはすでに手遅れといった感がないでもない。
EVを日本製で席巻されないための苦肉の策がコンボ?
日本の自動車メーカーや電力会社、充電機器メーカーなどが参加し、電気自動車への充電方式の標準化などを目指してチャデモ協議会を設立したのは2010年3月。その後に発売されたi-MiEVやリーフなどは、いずれもチャデモ方式の充電システムを採用している。
チャデモの充電システムは、急速充電と普通充電の両方に対応するほか、充電器と電気自動車との情報の通信、直流と交流の変換などの面に特徴がある。
ところが、最初はチャデモに協調するような姿勢を見せていた欧米の自動車メーカー、というかヨーロッパの自動車メーカーを中心にした自動車メーカー7社(メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェ、GM、フォード)が昨年、コンボ方式という別方式を提案し、この方式による標準化を目指す方針を明らかにした。
白人の黄色人種に対する差別意識だけでなく、日本と同じ方式を採用したのでは日本のメーカーに市場を席巻されてしまうという危機感から露骨な“日本外し”の対応を図ったのだろうが、あまりにも大人げない対応である。
チャデモVSコンボ、どちらにもメリット、デメリットがあり、どちらかが優れているというわけではない
技術的に見ると、チャデモ方式では急速充電と普通充電のふたつのコネクターが必要なほか、充電できる電気の量が少ない(充電時間がかかる)などとのデメリットがあり、コンボ方式はそれを解消したものであるものの、直交変換などの点ではチャデモに対するデメリットもあり、単純にコンボ方式が優れているというわけではない。
しかも、チャデモ方式は、それを採用した電気自動車のリーフやi-MiEVが1万台以上も走っているだけでなく、急速充電の設備も1400個所近く(うち海外にも250個所弱)が設置されているのに対し、コンボ方式はまだ実績ゼロの方式である。
なので、欧米の自動車メーカーに対しては、日本のチャデモとの互換性も考慮した方式を考えて欲しかったし、日本のチャデモ協議会の各社には欧米のメーカーがこのような対応に出ることを前提に、最初の段階から欧米のメーカーも巻き込んだ規格作りをして欲しかったが、今では時すでに遅しの感がある。
実績のないコンボ! 島国、日本方式がガラパゴス化するチャデモ? どちらも、中国方式をどう巻き込むかが重要
かくなる上は、日本の自動車メーカーがチャデモ方式の電気自動車を世界中で大量に販売し、チャデモ方式に基づく急速充電器も世界中に大量に設置することで、デファクトスタンダード(事実上の標準化)を目指すしかない。
そのようにすることで、欧米メーカーのコンボ方式を世界のガラパゴスにするような力勝負をしかけるしかないと思う。
もうひとつは、中国を巻き込むことだ。北京のモーターショーを見ても、中国では電気自動車の普及を急速に進めようとしている。中国ではチャデモ方式と似ているが、また別の第三の方式が提案されている。
中国との話し合いを進め、アジア連合としてチャデモ方式と中国の方式を統合したシステムを作ったなら、白人連合に対して勝利できる可能性が高まる。
まあ、力勝負などの話は極論なので、当面は何とかチャデモ方式とコンボ方式の互換性を実現し、これまでのチャデモ方式による投資をムダにしないことを考えるしかない。
また、少し長い目で見れば、充電方式もコネクターを使う方式ではなく非接触充電が主流になっていくはずだ。早く非接触充電を具現化し、その方式では最初から国際標準化を考えていくというのが現実的な解だろう。
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