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トヨタ カローラ・アクシオ新車試乗記 高い完成度を誇る日本を代表するセダンだが・・・ 【レビュー:トヨタ】

CORISM / 2012年8月4日 10時10分

トヨタ カローラ・アクシオ

ときめきを感じない残念なデザインだが、高い視認性と居住性

 2012年5月にデビューした11代目のカローラアクシオは、国内専用(ニュージーランドなどごく一部には輸出される)モデルとして、ヴィッツ系の新しいプラットホームを採用するモデルとして生まれ変わった。

 かつてカローラは、国内向けに作ったクルマを海外に輸出し、それが通用していて世界的なベストセラーカーになっていた。

 ところが、海外での販売比率が高まるに連れ、海外からのニーズに対応せざるを得ない面が多くなってきた。そうすると日本のニーズに合わなく面が多くなるため、今回のモデルでは海外モデルと国内モデルを明確に分け、ほとんど日本専用車として開発された。

 今回のアクシオは「大人4人が安心・安全・快適に長距離を移動できるミニマムサイズのクルマ」を追求した結果、カローラとしては46年目にして初めてボディサイズをやや縮小したほか、視界の拡大や取り回しの改善など、扱いやすいクルマに仕上げられている。

 ただ、アクシオの外観デザインは見るからに平凡でつまらない。

 トヨタの資料を読むと、上質でスタイリッシュなデザインということになっている。作る側からしたらそうなのだろうが、見る側からするとときめきを感じさせるようなデザインではない。

 カローラアクシオは高齢者用のクルマだが、カローラアクシオに乗っていると実際の年齢よりも若く見えるね、といわれるような、そんなデザインが欲しいと思う。でも、このアクシオでは年齢相応に見えるだけでしかない。

 デザイン的には、ときめきがないクルマながら、パッケージングなどしっかり煮詰められている。ヴィッツ系プラットホームを採用しながらも、ホイールベースは従来のカローラと同じで全長が短くなったのはフロントオーバーハングを切り詰めるなどしたことによるものだ。

 前後の居住空間やラゲッジスペースが小さくなるなどの影響は受けておらず、使い勝手の面では良くできた小型セダンである。

 また、乗降性も不満はないし、運転席に乗り込んだときの視界も、Aピラーの角度を立てることなどによって改善されている。これがカッコ良く見えないデザインに影響を与えているので微妙だが、少なくともカローラはカッコ良さより視界を確保すべきクルマである。

1.3Lでも十分な動力性能。買うならGエディションがオススメ

 アクシオには、1.3X、1.5G、1.5ラグゼールの3グレードに試乗した。いずれもCVT車だが、別の機会に1.5LのMT車にも試乗している。

 1.3Lエンジンの実力は、70kW/121N・mというもの。従来のモデルでは廃止されていた1.3Lが復活したのは、絶版になるベルタのユーザーも取り込もうという意図があるためだ。アクシオでは逆に1.8Lエンジンが廃止されている。

 動力性能は、やはり平凡なものだが、だからといって大きなネガがあるかというと必ずしもそうではない。1.3Lエンジンでもそこそこ良く走る感じがあって、これでも良いかなという感じにさせる部分がある。1.3Xを買うなら、装備面では快適装備が充実するGエディションを選んだほうが良いだろう。

 1.5Gの走りには余裕がある。1.5Lエンジンの動力性能は80kW/136N・mで、このクラスのエンジンとして際立った数字ではないが、比較的軽いボディも貢献して普通に良く走るクルマに仕上がっている。しかも、燃費は20.0km/Lを達成していて、アイドリングストップ機構を装着すると21.4km/Lになる。クラストップの低燃費車である。

高い操縦安定性と静粛性の高い室内

 足回りの印象は、1.3Xがちょっとふわついた感覚を覚えるシーンがあったのに対し、1.5Gはタイヤサイズが1インチ大きくなることも影響してか、より落ち着きが感じられた。

 コーナーの立ち上がりなどで、ステアリングを戻し切らないうちにラフにアクセルを開けるといったシーンでも、適度にVSCが介入して挙動に乱れは生じなかった。

 新しいカローラのプラットホームが、ヴィッツ系に変わったという話を聞いて、実は試乗前には操縦安定性や振動・騒音などはどんなものかと大いに心配を感じていたのだが、実際に運転してみたらそれが杞憂であることが良く分かった。

 ヴィッツともアクアとも違うカローラアクシオならではの操縦安定性や音振性能が確保され、走りの質感を感じることができたからだ。全車フロントにスタビライザーが装着され、防音対策などがしっかりやられていることなどが、走りの質感につながっている。

すべてオプションのアイドリングストップ機能は、ハイブリッド看板にしたメーカーとしては、腰が引けている

 最後に、ひとつ注文を付けるなら、より高い環境性能を求めたい。トヨタは長期戦略としてフルハイブリッド化を掲げているが、だとしたら今回のカローラにはなぜハイブリッド車をラインナップしなかったのかが疑問として残る。

 また、アイドリングストップ機構にしても、たとえばダイハツのミライースが全車に、日産のマーチやセレナなどが大半のモデルに標準装備しているのに対し、カローラは1.5Lエンジンの搭載車にオプション設定されるだけで標準装備しているグレードがない。あまりにも腰の引けた対応と言わなければならない。

 試乗車には、アイドリングストップ機構が装着されていて、それなりに良くできた機構であることが分かった。停止と再始動のロジックなども納得の行くものだった。それだけに、全車に標準装備して低コスト化を図り、さらに多くの車種に広げていくという考えがあって良いのではないか。記号性を含めて、分かりやすい環境性能を備えることが、今どきのクルマには大切な要素であると思う。

高い安全装備のカローラ。他の車種も安全装備の充実に取り組んで欲しい

 なお、今回のカローラでは横滑り防止装置のVSC&TRCやSRSサイド&カーテンエアバッグなどを全車に標準装備するようになった。

 横滑り防止装置の標準装備化は、近く法的な規制が始まるのを先取りした形であり、SRSサイド&カーテンエアバッグは、トヨタがかつて全車標準装備化を宣言しながらその約束を一方的に反故にしていたのを改めて標準装備に戻したものだ。

 SRSサイド&カーテンエアバッグの設定が、今後の各モデルでどうなるのか、約束破りを謝罪したり、改めて全車標準化を宣言したわけではないので何ともいえないが、今回のカローラを機に改めて安全装備の充実化に取り組んで欲しいと思う。

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