トヨタ カローラ フィールダー試乗記 カローラの名が付いても若者向けワゴン。メリットの少ない1.8Lは、ジックリ選べ!【レビュー:トヨタ】
CORISM / 2012年8月8日 9時8分
バランスのよい高い完成度を誇るカローラ フィールダー
新型カローラには、セダンのアクシオのほかにステーションワゴンのフィールダーも設定された。これはこれまでと同じ展開である。
カローラというと、おじさん向けのクルマと考えている人が多いが、実はそうではない。もう何年も前から、カローラの中ではセダンよりもワゴンのフィールダーのほうが良く売れるようになっている。
フィールダーは、30代を中心とする年齢の若いユーザーに売れているので、カローラはむしろ若者向きのクルマというのが実像である。おじさん向けのセダンは、今ではカローラの副次的な性格なのだ。
今回のモデルでは、アクシオの搭載エンジンが1.3Lと1.5Lになったのに対し、フィールダーでは1.5Lと1.8Lが搭載されていて、このエンジンバリエーションだけを見てもアクシオとフィールダーの性格の違いが容易に想像がつく。
外観デザインは、セダンのアクシオに比べると若々しさやダイナミックさなどを感じさせるが、これはステーションワゴンというボディ形状によるところが大きい。基本骨格はアクシオと変わらないので、デザインが平凡であるのは同じである。
同様に、パッケージングの密度が高められたことも共通している。フィールダーは旧型モデルに比べて全長が60mm短くなったが、これはフロントのオーバーハングの部分の短縮によるもの。ホイールベースは変わらないし、室内の居住空間やラゲッジスペースなどはむしろ拡大している。
フラットでスクエアなラゲッジスペースは、荷室長や最大荷室長、荷室高などが拡大されて、たっぷりした容量を持つようになった。遊び道具を積んでレジャーに出かけるタイプのユーザーに勧められるクルマである。
また、最小回転半径が4.9mと小さくなって取り回し性能に優れることや、乗降性の良さ、視界の良さなど、扱いやすいクルマになっている点はアクシオと共通する長所だ。
買うメリット無し? 1.8Lエンジンは、エコカー減税不適用。
フィールダーでは、1.5Gエアロツアラーと1.8Sエアロツアラーの2車種に試乗した。先にアクシオに乗った後でフィールダーに乗ったので、走り出した瞬間からおやっという感じになった。乗り心地というか、足回りの印象に違いが感じられたからだ。
タイヤは、1.5Gが175/65で1.8Sが185/60という違いがあったが、どちらも15インチで、1.5Gにはアクシオと同じエコピアが装着されていた。サスペンションの味付けが乗り心地の違いにつながっている。
アクシオに比べ、明らかにしっかりした感じのフィールダー乗り味は、より好ましいものといえる。乗り心地を重視する年配のユーザーにはアクシオの足回りも良いのだろうが、若いユーザーが中心のフィールダーには、この足回りが適している。
1.5Lエンジンでも動力性能に不満はなく、十分に良く走る印象だが、1.8Lエンジンを搭載する1.8Sエアロツアラーの走りは一段とスポーティなものとされている。103kW/172N・mのパワー&トルクは1200kgを切るボディに対して余裕十分といった感じである。
かつてのフィールダーには、はるかにパワフルなハイオク仕様の1.8Lエンジンが搭載されていた時代もあったが、今どきのエンジンはレギュラー仕様で燃費性能も重視するのが常識。かつてのパワフルなエンジンの仕様は、かつての時代の、また最新モデルの仕様は、今の時代の社会環境を反映したものといえる。
とはいえ、新型フィールダーの1.8Lエンジン搭載車は燃費基準を達成していない。エコカー減税が適用されないのは、今どきのクルマとして少しばかり物足りないところである。
フィールダーもアイドリングストップ機能は、高価なオプション設定。エコ時代なのだから、全車標準装備は当然!
1.8Sエアロツアラーというか1.8S系には、スポーツモードのスイッチと7速のシーケンシャルシフトマチックが設定されている。マニアュル車に近い感覚の走りを楽しむことができるのは、今回のカローラではこのモデルだけだ。スポーツモードを選択すると、G・AI-SHIFT制御と呼ぶ変速制御が行われる。
ただ、7速シーケンシャルシフトマチックを設定するのであれば、パドルシフトも設けて欲しいところだった。
アクシオの記事でも触れたが、今回のフィールダーでは1.5Lエンジンを搭載するFF車には、アイドリングストップ機構がオプション設定されている。オプション設定だけで標準装備したグレードがないのが残念な点で、環境対策でできることがあるなら、可能な限り取り入れていくのが今の時代のクルマ作りだと思う。
オプション価格が5万4600円もしたのでは、アイドリングストップ機構による燃費の向上分で価格差を取り戻すのが難しい。全車標準装備にして量産化によるコスト低減を目指すべきだと思う。
★トヨタ カローラ アクシオの試乗記はコチラ
■トヨタ カローラ・アクシオ新車試乗記 高い完成度を誇る日本を代表するセダンだが・・・
代表グレード | トヨタ カローラ フィールダー1.5G |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,360×1,695×1,475mm |
ホイールベース[mm] | 2,600mm |
トレッド前/後[mm] | 1,480/1,475 |
車両重量[kg] | 1,140kg |
総排気量[cc] | 1496cc |
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] | 109PS(80Kw)/6000rpm |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] | 136(13.9)/4,800rpm |
ミッション | CVT |
タイヤサイズ | 175/65R15 |
JC08モード燃費 | 19.6km/L |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 1,735,000円 |
発売日 | 2012/5/11 |
レポート | 松下 宏 |
写真 | 編集部 |
【関連記事】
- コンパクトでありながらビッグスペース!使いやすさに磨きをかけたフルモデルチェンジ 【トヨタ カローラ フィールダー新車情報】
- トヨタ カローラ・アクシオ新車試乗記 高い完成度を誇る日本を代表するセダンだが・・・
- プリウスαはライバルにあらず! 便利で安いデフレ時代の救世主か?【ホンダ フィットシャトル試乗記】
- 【ホンダ 新型 フリード スパイク 試乗記】徹底的に遊ぶ&使い倒す!
- 卓越した走破性! スバルらしさを凝縮したコンパクトSUV【スバル XVクロストレック新車情報】
- トヨタ車試乗記一覧
- 次期新型日産ノート、世界初公開! 新型ノートは、1.2L直噴エンジン+スーパーチャージャー搭載! クラスナンバー1の25.2km/Lを達成しエコカー減税免税に!
- スクープ! VW up!(アップ)9月中旬発表か? 3ドアも導入! 価格は? 日本仕様のミッションが判明!? 最新情報更新! 4ドアup!(アップ)が登場! 誰でも買える低価格な新世代スモールカー現る【VW up!(アップ)新車情報】
この記事に関連するニュース
-
ホンダ「フリード」新旧比較で見るヒットの法則 ちょうどいいサイズ感はそのまま熟成が進んだ
東洋経済オンライン / 2024年11月21日 11時30分
-
ホンダWR-V試乗記・評価 大満足か後悔か? 成功か失敗か? 見極め重要なコンパクトSUV
CORISM / 2024年11月17日 10時10分
-
BMW M2クーペ(G87)試乗記・評価 「サーキットで乗ってみたい!」クルマ好き女子が試乗!
CORISM / 2024年11月9日 19時8分
-
「レガシィ」消滅で改めて問う SUVは日本の交通事情に合っているのか? 日の丸SWは“オワコン”か
乗りものニュース / 2024年11月3日 16時12分
-
“新車149万円”のトヨタ「最安級ミニバン」! 全長4.1mの“小型ボディ”に7人乗れる「3列シート」搭載! 走りも楽しめる斬新「超コンパクト・ミニバン」とは!
くるまのニュース / 2024年10月30日 10時40分
ランキング
-
1【独自】船井電機前社長『不正を働いたことはない』 “破産の申し立て”は報道で知る「本当に驚いた。なんでこんなことに…」
MBSニュース / 2024年11月22日 18時20分
-
2三菱UFJ銀行の貸金庫から十数億円抜き取り、管理職だった行員を懲戒解雇…60人分の資産から
読売新聞 / 2024年11月22日 21時35分
-
3「築浅のマイホームの床が突然抜け落ちた」間違った断熱で壁内と床下をボロボロに腐らせた驚きの正体
プレジデントオンライン / 2024年11月22日 17時15分
-
4物価高に対応、能登復興支援=39兆円規模、「103万円」見直しも―石破首相「高付加価値を創出」・経済対策決定
時事通信 / 2024年11月22日 19時47分
-
5ファミマ、プラ製スプーン「有料化」の実験結果を発表 大手コンビニで初、どうなった?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月21日 12時20分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください