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VWパサート オールトラック試乗記 超優等生のパサートがワイルドだろぅ? 最新4WDと2Lエンジンを搭載した道を選ばない本格派 【レビュー:VW】

CORISM / 2012年8月18日 11時11分

VWパサート オールトラック

よりアウトドアを意識したパサートの4WDがオールトラック

 フォルクスワーゲンのパサートにセダンとヴァリアントに次ぐ第三のモデルとして、オールトラックが追加された。

 パサートは、2011年5月のフルモデルチェンジで、上級セダンでありながらダウンサイジングした1.4LのTSIエンジンを搭載するセダンとヴァリアントが登場したが、いずれもFF車だけで4WD車の設定はなかった。

 そこで、ヴァリアントに4WD車が追加されることになったのだが、単なる4WDではつまらないということなのか、SUV感覚を備えた4WD車としてオールトラックの名前で登場してきた。

 アウディには、オールロードクワトロがあって、それが高いブランドイメージを確立していることなども関係しているのかも知れない。パサートのオールトラックは、2011年の東京モーターショーでお披露目され、2012年6月21日から発売された。

 外観デザインは、ヴァリアントをベースにSUV感覚を備えたもの。高めの最低地上高や黒い樹脂製のホイールアーチなどがヴァリアントとは異なるオールトラックであることを強調している。

 ウッドパネルやアルミパネルなどを採用したインテリアの雰囲気は、基本的にヴァリアントと変わらない。シートがコンフォートシートからナパレザーの本革スポーツシートになるのが相違点だ。

パワフルでスポーティなエンジンだが、低燃費

 搭載エンジンは、さすがにヴァリアントと同じ1.4Lではなく、155kW/280N・mを発生する2.0LのTSI(直噴ターボ)仕様エンジンが湿式の6速DSGと組み合わせて搭載されている。ゴルフなGTIに搭載されるのと同じスポーティな実力を持つエンジンだ。

 このエンジンの吹き上がりの滑らかさと、トルク感にあふれた力強さはすでに定評があるところで、6速ながらより優れた変速フィールを実現する湿式のDSGと組み合わされる。

 最大トルクを発生する回転数が1700回転からと低めに設定されているので、どんな速度域からでもアクセルを踏み込めばそのまま力強く加速していく。この加速の気持ち良さはオールトラックならではだ。

 燃費は18.4km/Lを達成したヴァリアントとは比較にならないが、それでも11.6km/Lという数値はミッドサイズワゴンの4WD車としてはまずまず良い数値といっていい。

オン&オフでも高いレベルの走りをみせる4WDシステム

 足回りは、ドイツ車らしいやや硬めでしっかりした印象を与えるものだが、乗り心地の快適性に関しても不満はなく、高めの地上高によるネガも感じられなかった。シャシーに電子式デフロックのXDSを採用することもあって、ワインディングを走らせても楽しいクルマだった。

 今回の試乗は、ドライのオンロードだったので4WDの性能を実感することはできなかったが、ハルデックスカップリング式の4WDシステムは、電子制御によって後輪に最大では100%に近いトルクを伝達する。雪道などで実力を発揮するはずだ。

 また、ラフロードやオフロードでの走行をアシストするオフロードスイッチが設けられている。これを操作すると、ABSやEDS、DSGなどがラフロード用に調整されるほか、ヒルデセントアシストが機能し、アクセルペダルの特性も変更される。

 本気でオフロードを走るためのクルマではないが、イザとなればそれなりの実力を発揮できるSUV感覚のモデルであるわけだ。

 とはいえ、パサート・オールトラックは、オフロードを走るユーザーのためのクルマではない。積雪地のユーザーなど日常的な走行に4WDの安定性が欲しいというユーザー向けのクルマと考えたら良いだろう。

ワゴンより約100万円も高価なモデルなので、本当に4WDシステムが必要なユーザー向けだ

 基本がパサート・ヴァリアントなので、分割可倒式でラゲッジスルー機能を備えたシートなど、ラゲッジスペースの使い勝手は上々のレベルにある。標準状態で588L、ダブルフォールディング式のリヤシートを倒せば最大で1716Lものフラットなスペースが生まれる。

 スライディング式のトノカバーやラゲッジネットパーティションなど、ステーションワゴンらしい装備も用意されている。

 安全装備は、ESPやEBD付きABSなどの基本的な装備のほか、低速域での追突回避・軽減ブレーキのフロントアシストやアダプティブクルーズコントロール、ドライバー疲労検知システムなどの最新の仕様もいろいろと用意されている。

 パサート・オールトラックは、単一グレードのモデルで価格は494万円の設定。パサート・ヴァリアントのTSIハイラインに比べるとほぼ100万円高の設定だ。搭載エンジンの違いと4WDであることによる価格差だが、100万円もの差があると、オールトラックに飛びつく感じではない。4WDを本当に必要とするユーザーが選ぶクルマである。

<新型VWパサート オールトラック スペック>
・エンジン 直列4気筒DOHCインタークーラー付 ターボ(4バルブ)、1,984cc
155kW(211PS)/ 5,300 - 6,200rpm
280Nm(28.6kgm) / 1,700 - 5,200rpm
・燃料消費率(JC08) (km/L) 11.6
・全長 (mm) 4,785 全幅 (mm) 1,820 全高 (mm) 1,560
・車両重量 (kg) 1,670(電動パノラマスライディングルーフ装着車は 1,700)
・乗車定員 (名) 5

<新型VWパサート オールトラック価格>
・4,940,000 円

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