日産、主力コンパクトカー「ノート」を九州工場に移管。輸入部品率45%でも国内生産死守! 円高で産業の空洞化、超絶加速中!【松下 宏コラム】 【特集・コラム:ビジネス・経済】
CORISM / 2012年9月5日 14時14分
立地と、徹底的に効率化された九州工場で生産される新型日産ノート
日産は、新型ノートの発表会を日産自動車九州の工場で開催した。首都圏ではすでに7月19日に横浜の大さん橋ホールでワールドプレミアのお披露目を実施しているので、工場での発表会という形をとったわけだ。
工場のライン脇で開催された発表会では、工場のメンバーが運転するクルマに開発関係者や役員が乗ったクルマが次々に登場し、最後に登場した志賀COOが九州工場で生産することの意義を語った。
その後、生産現場のスタッフや九州地区のディーラーから参加した営業マンなどが、それぞれに決意表明をするなどのセレモニーが用意されていた。
日産自動車九州では、効率化・自動化が徹底された生産ラインを見学したり、あるいは輸出車両の船積みシーンを見学するなどしたが、九州ならではの立地と効率がかいま見えた。
マーチはタイ生産、あえてノートを国内生産にしてチャレンジする日産
日産自動車の九州工場は、1975年にアメリカ向けのし輸出車両など中心に生産する工場として開設されたもので、2011年には日産自動車の子会社である日産自動車九州として独立した。
現在はセレナ、ティアナ、ラフェスタ、エクストレイル、デュアリス、ムラーノ、アルメーラ(輸出専用)、ローグ(輸出専用)などの車種が生産されており、これにノートが加わる形になった。
ノートを九州で生産することには、いろいろな議論があり、コンパクトカーを低コストで生産するためにはマーチのようにタイで生産して、日本に輸入する方法もあるわけだが、日産はあえて国内の九州工場での生産を選択した。
これには相当な議論があったとのことだが、日産が掲げている国内生産100万台を維持し、日本で自動車産業のもの作りを維持発展させるためにも、いろいろな工夫をして国内で生産することになり、国内で最も低コストで効率的な生産が可能な九州工場での生産を選択したということだ。
約45%が輸入部品でコストダウン。それでも、生き残りをかけ国内生産にこだわったものの、空洞化は止まらない!
ただ、追浜から九州に生産が移管されたのに合わせ、距離的にも近い韓国や中国、さらにはタイなどから輸入される部品が増え、45%程度が輸入部品で賄われているという。
志賀COOの説明では、仮に45%が輸入であっても九州で生産することで、55%は国産部品として残すことができ、日本に部品メーカーのもの作りをその分だけ残すことができるという説明だった。
とはいえ、45%が海外のLCC(リーディング・コンペティティブ・カントリー)からの調達ということになると、ローカルコンテンツ比率で考えたら、九州工場で生産される台数の約半分は外国製として計算しなければならないわけで、このあたりは相当に微妙なものが残る。
日産に限らず、ほかのメーカーでも、超円高などを背景に見える部分、見えない部分にいろいろな海外製の部品が採用されているのが実情だ。これが進んでいくと、国内での生産台数が維持されたとしても、中身はどんどん空洞化していくことになる。これにどのように対応していくかが自動車業界全体の課題だろう。
海外製の部品といっても、国内の部品メーカーが海外で生産するものや、材料、製品、半製品を海外で作ったり、国内で作ったりして、いろいろな例があるので単純ではなく、ローカルコンテンツ比率も簡単には計算できないのが今のクルマ作りのが実情だ。
そんな状況にあるからこそ、日本の自動車ユーザーとしては、少しでも多くの自動車生産や部品生産が日本に残り、日本のもの作りが維持されて、国内空洞化が阻止されることを望みたい。
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