日産保管庫では意外とメジャー?日産のもう一つのスポーツカー!シルビア(S12)編 【日産ヘリテージコレクション探訪記その4】【特集・コラム:イベント・モーターショー】
CORISM / 2012年11月18日 11時11分
意外や意外!?初代シルビアはエレガントな超高級車!?
第4回となった日産保管庫探訪記、これまで「スカイラインGT-R」「フェアレディZ」「MID4」とご紹介してきて、そろそろスポーツカーのネタもつきたかな・・・と思いましたが、ところがどっこい!日産にはまだまだスポーツカーがあるんですねー。それが今回ご紹介するシルビアです。
とは言えこのシルビア、S13~S15型が漫画「頭文字D」や映画「ワイルド・スピード」シリーズ等で活躍し、実際にもけっこう走り屋系の人が多く乗っているのでスポーツカーというイメージに最近ではなっていますが、実はメーカーとしては長らくスタイリッシュな2ドア車(スペシャリティ・クーペ)という位置づけで販売してきた車でした。
初代シルビアの登場は1965年。「宝石のような」と形容された美しいボディをまとった1600ccの2ドアクーペで、当時の価格は120万円でした。同じ年にモデルチェンジした日産の高級車セドリック(フーガの前身のモデル)の上級グレード、2000ccの「スペシャル6」のお値段は115万円。そのことからも、シルビアが走り屋系と言うよりは高級パーソナルカーという位置づけのエレガントなクルマだったことがわかると思います。
女神の名前からかけ離れた硬派なデザインの4代目!大ヒットの3代目と5代目にはさまれて・・・
車名の「シルビア」もギリシャ神話の美しい女神の名前から拝借したとか・・・。ただ残念ながらこの初代シルビアはあまり多くは売れず、約3年で販売を終了してしまいました。
シルビアとして最初に大ヒットしたのは1979年に発売された3代目のS110型です。角目4灯のフロント・フェイス、背が低くロングノーズの伸びやかなボディ・シルエット、R30型スカイラインRSと同じFJ20エンジンを積むトップグレードの存在、こういったものが相まって、当時のクルマ好きの注目を一気に集め、大人気車となったのです。
そして1983年、4代目となるS12型シルビアが登場。大ヒット車の次のモデルはたいていはあまり大きくイメージチェンジをしないものですが、日産は当時流行のリトラクタブル・ヘッドライトを採用し、2ドア車はラウンドしたリアガラスを使って視覚的にキャビンを小さく見せスポーティさを強調するなど、かなり硬派な印象の車に変えてきました。
ある意味、女神の名前のイメージからもっとも遠かったのがこのS12型シルビアかもしれません。
「トヨタ86」の対抗馬はやっぱりこれ!?シルビアの早期の復活、期待しています!
しかしこの意欲的なデザインチェンジも、ボンネットを低くせずリトラクタブルにしたため腰高な感じとなってしまい、小さく見えるキャビンもロングノーズとのバランスがやや悪い印象となって結局あまり人気が出ませんでした。途中でFJ20エンジン搭載車が廃止され全車1.8Lエンジンのみとなってしまったことも影響したかもしれません。
そのため日産は次の5代目で流麗なボディ・デザインを採用し、「ART FORCE」を標榜するS13型シルビアを世に送り出したのです。
このS13型シルビアは当時若者のデート・カーとして絶大な人気を誇ったホンダ・プレリュードを打倒すべく開発されたとも言います。つまり、4代目の硬派な印象から初代のエレガントな印象へ原点回帰しようとしたモデル、と言っていいでしょう。
ところがその後、手頃な値段で買えるFR車はシルビア(とそのハッチバックモデルの180SX)を除くと日本では皆無となってしまい、徐々に走り屋系の皆さんからも注目されていきます。そして漫画や映画でも活躍するようになり・・・ということでスポーツカーとして認識されるようになったのです。
峠族からは今でもAE86レビン・トレノと並ぶ人気を博すシルビア。そのAE86と同じ時期に販売され、同じようにクーペとハッチバックの2つのボディを持っていたのが今回ご紹介したS12型シルビアです。そういう意味ではAE86の真のライバルはS12型シルビアなのかもしれませんね。
いずれにせよAE86が「トヨタ86」として復活した今、形はどうあれシルビアも復活することを願っています!
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