トヨタ ポルテ/スペイド新車試乗記 クルマとしては平凡だが、子育て層から高齢者まで、非凡な使い勝手が他を圧倒!【レビュー:トヨタ】
CORISM / 2012年9月24日 14時14分
圧倒的な使い勝手の良さが光るプチバン、トヨタ ポルテ/スペイド
トヨタのポルテがラウムを統合する形でフルモデルチェンジを受け、新たに姉妹車のスペイドが設定された。ポルテとスペイドの違いはフロントとライト回りが中心。ポルテは可愛らしさを表現し、スペイドはスポーティさを表現したデザインとされている。
他に、メーターの文字盤の形状が違ったり、スペイドのテールランプには、トランプのスペイドの形状が隠されていたりするが、基本メカニズムは共通だ。ポルテはトヨタ店とトヨペット店で、スペイドはカローラ店とネッツ店を通じて販売される。
従来のポルテは、左側に大きなスライドドアを持つハイトワゴンだったが、今回のポルテ/スペイドも右側にヒンジ式のスイングドアが2枚、左側にスライドドアが1枚の設定だ。
ボディはやや高めの全高を持ち、それによって室内には小学校低学年の子供が立てるくらいの広い空間が確保された。また、大きな開口部を持つ左側のスライドドアによって、高齢者にも優しい優れた乗降性をもつクルマに仕上げられている。
比較的コンパクトなボディの中に広い室内空間を持つだけでなく、多彩なシートアレンジによって使い勝手に優れたクルマに仕上げているのもポイント。助手席のシートの背もたれを倒して前方に押しやれば、自在に使える空間が生まれる。
さらに、後席の背もたれを倒せば長尺物も積めるような長さのラゲッジスペースが生まれるし、後席の座面をチップアップさせれば背の高い荷物も積める。(後席のシートはグレードや駆動方式によって違いがある)
コンパクトカーでは、フィットの室内空間の広さと使い勝手が群を抜いているが、ポルテ/スペイドの広さと使い勝手はそれ以上ともいえる。これはポルテ/スペイドの全高が高いことにも由来していて、1690mmに達する全高はタワーパーキングに入らないというデメリットもあるのだが、ポルテ/スペイドの室内空間の広さは大したものだ。
他にもカップホルダー、買い物フック、ティッシュBOX収納、アンブレラホルダー、小物入れなどなど、豊富な収納スペースが確保されるのは、今どきのコンパクトカーのお約束ともいえるもの。ポルテ/スペイドでは相当に工夫された収納が設けられている。
この使い勝手の良さは、子育てママから積極的にアウトドアレジャーを楽しむ若いユーザーまで、さまざまなニーズに対応できる。これまで子育てママ用の定番商品のようになっていた軽自動車ダイハツ タントや、若者向けのホンダ フリード・スパイクなどは、その座脅かされそうだ。
標準的な走りの実力だが、背が高いので重い。ストレスを感じないのは、1.5L車。
走りに関しては、全体的にまあ普通。1.3L Xグレードのアイドリングストップ機構(標準装備)、1.5Lの2WDのアイドリングストップ機構(オプション)付き、1.5Lの4WD(アイドリングストップ機構の設定なし)といった具合にいろいろな仕様に試乗したが、際立って良いという感じでもなければ、不満を感じることもなかった。
街乗りを考えたら、1.3Lエンジンの搭載車でも十分といった感じだが、前述のようにポルテ/スペイドは全高が高いのでその分だけ重量が重い。1.3Lでも1100kgを超える。同じプラットホームのヴィッツと比べても100kg以上も重くなる計算だ。なので、走行シーンによって1.3Lでは物足りなくなくこともある。
動力性能に余裕がある1.5Lエンジンの搭載車を選んだほうが、さまざまな走行シーンでストレスのない走りが可能だ。ちょっと悔しい感じになるのは1.3L Xグレードにはアイドリングストップ機構が標準で装備されるのに、1.5L車はアイドリングストップ機構がオプション設定(2WD車のみ)になっていること。5万4600円の追加が必要だ。
ミッションは、全車とも無段変速のCVTと組み合わされていて、CVTに特有の走りの実感に欠ける印象はあるのだが、ポルテ/スペイドはそもそもがスポーティさを追求するようなタイプのクルマではない。タウンユースから高速クルージングまで過不足のない走りが得られる。
強いて言えば、スポーティな外観を持つスペイドには7速のシーケンシャルシフトマチックやパドルシフトなどを装備して違いを設けても良いように思えたが、そうした発想はそもそもなかったという。
足回りは、快適性を重視した柔らかめの味付けながら、操縦安定性のレベルも高い。全高の高いモデルの割には良く走る感じで、旧型ポルテに比べたら格段に良くなっていたし、ヴィッツやアクアと比べてもポルテ/スペイドのほうが好印象だった。
ポルテ/スペイドは、左側にスライドドアを持つため、ボディの重量配分が左側が重くなっている。それが走り影響するのはある意味で事実だが、普通に走らせて違いが感じ取れるほどではない。意識しながらハンドルを切ったときに微妙な違いが感じられる程度だ。
なんと、遮音材までグレード別に違う! 高価なGグレードがベストだが、やはり高価
ポルテ/スペイドを買うなら1.5L車がお勧めと書いたが、その中でも最上級グレードのGを選ぶと良い。Gにだけは、ほかのグレードにはない遮音材や遮音ガラスが使われていて、より静かな走りが可能となるのを始め、ナノイー付きのフルオートエアコン、本革巻きステアリングホイールなど専用の装備がいろいろと用意されている。
Gの174万円という価格は、1500ccエンジンを搭載するコンパクトカーとして決して安くないし、いろいろなオプションを装着すると車両価格ベースで200万円を超えてしまうのだが、ポルテ/スペイドを買うならGを選びたい。
その上で、アイドリングストップ機構やSRSサイド&カーテンエアバッグ、スマートエントリー、カーナビ(+オーディオ)などをオプションするのが良い。
<新型トヨタ ポルテ/スペイド価格>
■1.3L
・V FF 1,450,000円
・X FF 1,550,000円
■1.5L
・X FF 1,590,000円
4WD 1,770,000円
・Y FF 1,640,000円
4WD 1,810,000円
・F FF 1,640,000円
4WD 1,810,000円
・G FF 1,740,000円
4WD 1,910,000円
代表グレード | トヨタ ポルテG |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 3,995×1,695×1,690mm |
ホイールベース[mm] | 2,600mm |
トレッド前/後[mm] | 1,485/1,475mm |
車両重量[kg] | 920kg |
総排気量[cc] | 1,496cc |
エンジン最高出力[kW(PS)/rpm] | 80(109)/6,000rpm |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] | 136(13.9)/4,800rpm |
ミッション | CVT |
タイヤサイズ | 175/65R15 |
JC08モード燃費 | 19.0km/L |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 1,740,000円 |
発売日 | 2012/7/23 |
レポート | 松下 宏 |
写真 | 編集部 |
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