日産ニューモビリティコンセプト(New Mobility CONCEPT)試乗記 超小型車でも、想像を超える力強さと高い操縦安定性【レビュー:日産】
CORISM / 2012年9月27日 14時14分
CORISM超小型車関連リンク集
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■日産、2人乗りの超小型車。EV(電気自動車)「NISSAN New Mobility CONCEPT(日産 ニュー・モビリティ・コンセプト)」を公開
■近距離用の超小型車【スズキ Q-Concept (キュー・コンセプト)】東京モーターショー出品車
■電動バイクも積める未来のEV【ホンダ マイクロコミューター コンセプト(MICRO COMMUTER CONCEPT)】東京モーターショー出品車
軽自動車と原付バイクとの中間に存在意義を求めた超小型車
超小型モビリティという言葉を知っているだろうか。国土交通省が近未来の新しい移動体として提唱し、自動車メーカーなど各社が研究・開発や実証実験を進めている。
日本の社会は今、少子高齢化社会の到来、二酸化炭素排出削減など環境制約、エネルギー需給の逼迫など多くの課題を抱えている。中でも都市においては、中心市街地の衰退、公共交通の衰退、高齢化に伴う移動制約・外出機会の減少などの問題が顕在化しつつある。
これらの問題が放置できない段階に達しつつあり、新しい社会に対応する新しいモビリティを模索するものとして考えられているのが超小型モビリティだ。
国土交通省では、軽自動車と原付バイクの中間くらいの位置にある移動体で、自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度のクルマを超小型モビリティとして定義している。
国土交通省が提唱していることもあって、昨年の東京モーターショーにも、各社はこの超小型モビリティに相当するようなクルマを出品していた。トヨタ車体のコムス、ホンダのマイクロコミューターコンセプト、ダイハツのピコ、スズキのQ-コンセプトなどがそれだ。このうちコムスはすでに市販が始められている。
超小型車でも、約100km走行できる本格派が日産ニューモビリティコンセプト
そんなコンセプトカーのひとつに、日産のニューモビリティコンセプト(NMC)がある。ルノーとのアライアンスの中で開発されたクルマで、ルノーではツィギーの名前で昨年からヨーロッパで市販を始めている。
日本でも、日産が横浜元町地区などで各地で実証実験を始めた。そのコンセプトカーに試乗というか、体験をする機会があったので報告しておきたい。
日産ニューモビリティコンセプトの外観デザインは、写真の通り。今回の試乗車にはドアが設けられていなかったが、はね上げ式のドアを備えたモデルもある。
全長×全幅×全高は2340mm×1190mm×1450mmとコンパクトで、その気になればクルマ1台分のスペースに横にして4台を並べておけるくらいのコンパクトさだ。乗車定員は2名、タンデム(前後並び)で大人2名が乗れる。
電気モーターは後席下、後輪の車軸前のミッドシップに搭載され、リチウムイオン電池はシートに搭載される。リチウムイオン電池については搭載量などの詳細は明らかにされていないが、モーターの出力は7kWで、最高速は80km/hまで出るという。
充電時間は、200V電源を使ってフル充電するのに4時間程度。満充電で100km程度の走行が可能。コンパクトなクルマなので、充電時間も短く、その割に距離を走れるイメージだ。
タイヤは、前後異サイズで、前輪が125/80R13、後輪が145/80R13。後輪用は軽自動車などにも使われているサイズだが、前輪用は専用といった感じ。ブランドはコンチネンタルのeコンタクトだった。
想像以上の操縦安定性! 新しい乗り物的なワクワク感もある
試乗車は、ナンバーの付いていないクルマだったので、ごく限られたシチュエーションでの試乗だったが、加速の滑らかさと力強さは電気自動車ならではといった感じだった。
クルマに乗り込んで、イグニッションキーを長回しするとGOランプが点灯してスタンバイ状態になる。シフトは、押しボタンスイッチ式でDとRが用意され、両方を一緒に押すようにするとニュートラルになる。
Dレンジを選んでサイドブレーキを外し、アクセルペダルを踏み込むと、わずかなモーター音を聞かせながらスムーズに加速する。滑らかで気持ちの良い加速だ。
驚いたのは操縦安定性の高さで、スラロームのような走りをしても、ほとんど車体をロールさせることなく安定感の高い走りを実現する。しっかりした足回りによって、トレッドの狭さを感じさせない動きだ。
少々荒っぽい動きを試したが、それでもクルマの姿勢が破綻することなく、操縦安定性については相当に高いレベルにあるといえる。
後席にも試乗してみたが、乗り降りをするにも、乗り込んだ後も前席のシートを両足で挟み込むようにして座るため、やや窮屈で特に快適という感じではなかった。
購入価格と保有コストが、超小型車の行方を決める?
超小型モビリティが定着するかどうかは、国土交通省の定める規格がどのような形で落ち着くかがまずポイント。国土交通省は、限られた地域において一定の条件下でのの使用を想定しているため、安全基準などは通常の軽自動車などに比べて、やや緩いものにする考えのようだ。
走らせる地域が限定的なものになるほか、性能面でも一定の規格が定められることになるので、取り敢えずはその条件に合ったユーザーが使う形になる。
次に課題となるのは、価格と保有コストだ。すでに発売されているコムスが1人乗りで、70万円前後の価格で販売されている。補助金が7万円受け取れるものの、価格設定はちょっと高めの印象。この価格ではたくさんの売れ行きは望めないだろう。
また、税金や保険料などの保有コストも問題。これが軽自動車に比べて格段に安いイメージにならないと、高齢者ユーザーなどに使いにくいものになってしまう。
ただ、そうした保有コストなどの課題は、時間をかける間に自然に解決していくと思う。どのようなユーザーを対象に、どのような使い方を想定するかによって、普及の進み方が変わると思う。
軽自動車でも原付でもない新しい移動体として、超小型モビリティには一定以上の存在意義があると思う。
<日産ニューモビリティコンセプト スペック>
・最高速度 時速80km
・全長 234cm、全幅 119cm、全高 145cm
・車両重量 490kg
・乗車定員:2名
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