日産ノート新車試乗評価 徹底的に燃費にこだわったエコスーパーチャージャー【レビュー:日産】
CORISM / 2012年11月17日 10時10分
国内日産の柱として育てたいコンパクトカーが新型ノートだ!
フルモデルチェンジを受けた新型日産ノートは、日産が世界で販売するコンパクトカーで、国内ではティーダを統合するとともに、好調な売れ行きを続けるフィットに対抗するモデルとして開発が進められた。日産としては、セレナと並ぶもうひとつの量販車種にしたい考えだ。
デザインは、ボディサイドに明快なプレスラインを持つなど、近くで見るとほかのコンパクトカーとの違いがはっきり分かる。ただ、遠くを走るノートを見るとフィットと似たような感じで、もうひとつ個性に欠ける印象である。
インテリアはコンパクトカーらしいシンプルなもの。上級グレードにはピアノ調のパネルを採用するなどして質感を高めていると評価だ。
室内空間は、けっこう広い。マーチと同じプラットホームを採用するものの、ホイールベースを延長して従来のノート並みにしたことが広さにつながっている。かつてのティーダが相当に広い室内空間を持っていて、そのユーザーを吸収することも前提に開発されたので、後席の空間は旧型ティーダ並みの広さが確保される。
ラゲッジスペースもまずまずの広さがあり、床面の高さを調整して搭載する荷物の量などに対応できる仕組み。床面の高さを調節できるボードは便利で、後席を畳んだ状態でフルフラットにできたり、段差を使い荷物をある程度固定するなどができるので、とても使いやすい。ただ、旧型ノートに設定されていたトノカバーが廃止された。このあたりは微妙に使い勝手に影響を与える部分だ。
通常はミラーサイクルの1.2Lエンジンで低燃費。力が必要な時に過給するエコスーパーチャージャー
試乗したのは、最上級グレードのメダリスト。別の機会にX DIG-Sにも試乗している。どちらも基本メカニズムは共通で、燃費はノートで最高の25.2km/Lではなく24.0km/Lの仕様。25.2km/Lを達成しているのは全く売る気のないS DIG-Sと呼ぶグレードで、いわゆるオトリグレード。ノートの燃費は24.0km/Lと考えたら良い。デミオのSKYACTIVには届いていない。まぁ、それでもフィットやヴィッツに比べれば、エコカー補助金100%減税となっているので、顧客へのメリットはある。
ノートに搭載されるのは、直列3気筒の1.2Lエンジンで、基本はマーチに搭載されたのと同じ。ただ、自然吸気エンジンのほかにスーパーチャージャー仕様のエンジンも搭載されていて、自然吸気仕様よりもスーパーチャージャー仕様のほうが燃費が良い評価をしたい。
基本的には、ヨーロッパ車に多数の例があるような排気量のダウンサイジングに過給器を組み合わせたエンジンである。日産ノートのHR12DDRエンジンが違うのは、ミラーサイクルエンジンを採用していること。
分かりにくいのは、自然吸気エンジンの設定がありながら、自然吸気エンジンよりもスーパーチャージャー仕様のほうが燃費が良く、でもJC08モードを測定するときにスーパーチャージャーは働いていないこと。
だったら何で燃費が良くなるかといえば、スーパーチャージャー仕様エンジンはミラーサイクルと呼ぶ圧縮比と膨張比の異なるエンジンを採用しているためで、これによって効率を上げている。単純にミラーサイクルを採用するだけだと熱効率は良くなるがトルクが落ちるため、トルク不足を補うためにスーパーチャージャーを装着したわけだ。そのため、日産はエコスーパーチャージャーと呼ぶ。
低燃費性能には高評価。乗り心地などは、平均的なコンパクトカーレベル
ノートでは、スーパーチャージャーが働かないようなJC08モードを測定する範囲内での走りがどうかというのが、走り出す前に気になった部分。結論から先に書くと、これがまずまずの実力でけっこう良かった。
市街地を普通に走らせても、特にトルク不足を感じさせるようなシーンはなく、流れに乗って走って行けた。ミラーサイクルであることによる、トルク不足を感じさせることなく、普通のエンジンを搭載したクルマと同じよう走れた。
これは、センターコンソールに設けられたECOボタンを押してエコモードを選択したときでも、ノーマルモードで走ったときでも同じで、タウンユースでの走りに不満はない。
それでいて、アクセルを踏み込んでスーパーチャージャーが働く状態で走らせると、相当に元気の良い走りが可能。動力性能の面では、1.5Lエンジン並みの実力といううたい文句に偽りはない。
ただ、この状態で走らせたら当然ながら燃費が悪化しているわけで、スポーティな走りを楽しむシーンでの瞬間燃費の表示は相当に低いものになっていた。元気良く走らせても燃費が良いという形で走りと燃費を両立させているわけではない。
ノートは、燃費の良い走りとスポーティな走りを状況に応じて楽しめるクルマということだから、ふだんは燃費の良い走りをキープしておき、走りを楽しみたいときや加速が必要なシーンなどでスーパーチャージャーを効かせた走りをすれば良い。
乗り心地や足回りは全体としてはまずまずといった感じで、普通の路面を走っているときには特に不満を感じない。でもマンホールのふたや、高速道路の継ぎ目部分など、少し出っ張りがあるところを越えていくときには、しっかり突き上げが入ってくる。あまりこなれていない感じの足回りだ。
走行中に床面からの振動が伝わるのももうひとつの印象。ペダルにも少し振動があるので、一定速で長距離を走るときにはこれが気になってくる。騒音レベルなども含めて、平均的なコンパクトカーのレベルにとどまっている。
安全装備には、更なる向上を望みたい!
ノートで最も問題なのは、安全装備の仕様。安全性に対する、基本的な考え方だ。横滑り防止装置のVDC、後席中央のヘッドレストレイント、SRSサイド&カーテンエアバッグなどの設定に問題がある。
横滑り防止装置は、一部のグレードにだけオプション設定にとどまっている。実は、横滑り防止装置は2012年10月1日以降に型式指定を受けようとする登録車は、標準装備しなければならないことになっている。
つまり、ノートもこの仕様で10月1日以降に国土交通省に申請したら、クルマとしては認めてもらえないことになる。たまたまた何カ月前に型式指定を受けたため、クルマとして販売することができたが、世界中で義務化が進む安全装備を、わずかな時間差を狙って滑り込みで省略してしまうのは、安全装備に対する露骨な手抜きであり、メーカーとしての姿勢が問われるものだ。
後席中央については、先に3点式シートベルトの装着が義務付けられている。ただ、国土交通省の基準が緩いというか何というか、ヘッドレストレイントについては義務付けがなされていない。ノートの後席中央には、ヘッドレストレイントが装着されていない。これもメーカーの姿勢が問われるものだ。
SRSサイド&カーテンエアバッグについては、上級車から順次標準装備化が進められている段階で、コンパクトカーでは標準装備するのはまだ例外的だが、ノートの一部グレードにだけオプションというのは、何とも物足りない設定である。
安全装備は、保安基準で決められたから設定するというものではなく、クルマの安全性を確保するためには何が必要かを考え、積極的に採用していくことで、結果としてそれが保安基準に採用されていくというくらいの志で採用して欲しいものだ。
新型日産ノート、燃費&価格、スペックなど
<新型日産ノート価格>
■2WD HR12DE車
・S 1,249,500円
・X 1,298,850円
■2WD HR12DDR車
・S DIG-S 1,449,000円
・X DIG-S 1,499,400円
・MEDALIST 1,674,750円
■4WD HR12DE車
・X FOUR 1,557,150円
代表グレード | 日産ノート X DIG-S |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,100×1,695×1,525mm |
ホイールベース[mm] | 2,600mm |
トレッド前/後[mm] | 1,480/1,485mm |
車両重量[kg] | 1,090kg |
総排気量[cc] | 1,198cc |
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] | 72(98)/5,600 |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] | 142(14.5)/4,400 |
ミッション | CVT |
タイヤサイズ | 185/70R14 |
JC08モード燃費 | 24.0km/L |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 1,449,000円 |
発売日 | 2012/8/28 |
レポート | 松下 宏 |
写真 | 編集部 |
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