1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

日産GT-R 2013年モデル新車試乗評価 継続は力! 毎年進化し続ける日本のスーパーカー、日産GT-R2013年モデルを評価する!【レビュー:日産】

CORISM / 2012年12月16日 8時8分

日産GT-R

大幅に進化した2012年モデルから、2013年GT-Rはどれだけ速くなったのか?

「継続は力なり」

 スポーツランドSUGOのコントロールタワー前で5速6,000rpmに達し、右手でパドルシフトを引き6速にシフトアップ。直線は下り坂の為に早めにブレーキを踏みながら4速迄シフトダウンすると自分の想像より手前でスピードが落ちてしまいブレーキペダルの足を緩める。第1コーナー・2コーナーを1つの右コーナーとして1回のステアリング操作で抜け、次の50Rの第3コーナーを過ぎて一息ついた時に、このことわざが頭をよぎった。

 2007年年末に、日産GT-Rが華々しくデビューし、翌2008年1月に箱根で私は初めてGT-Rに試乗した。その時は路面温度が低く、路面はウエットのコンディションで当時の市販車としては異例の480PSパワーは気が重かった。しかし、運転してみると四輪駆動の高いトラクションが、滑り易い路面でもエンジンパワーを十分に発揮でき、想像以上に楽しめたと評価できる。

 ただ、乗り心地は悪く、リヤシート付近から侵入してくるトランスミッション音が耳障りで、速いだけで大きく重くなってしまったGT-R。通称R32GT-Rと呼ばれたスカイラインGT-Rを新車から10年間10万km乗った私としては、日産GT-Rにネガティブな気持ちしか持てなかった。

 GT-Rプロジェクト責任者である水野和敏氏は毎年改良を続けると語り、日本車では従来なかったイヤー・モデルを発表し、エンジンパワーや仕様の変更をおこなった。バリエーションも増やしサーキット仕様車のクラブ・トラック・エディションを追加するだけでなく、インテリアに高級本革を採用したエゴイストも発売し、速さだけでなく所有する喜びの高級スポーツカーの道も歩み出した。

 だが毎年の改良点は理解したが、私の中の「GT-R」としては認められなかった。しかし、昨年2012年モデルを試乗し、「しなやかな足」に生まれ変わったGT-Rは、初期モデルと比較すると別の車に生まれ換わり、これなら乗りたいと思わせる程の存在になった。

 2013年モデルの試乗は昨年と同様に仙台市郊外にあるスポーツランドSUGO。1周3.7kmと距離は短いがアップ・ダウンがあり、またニュルブルクリンクの様に大きく回り込むようなコーナーも存在することから、私の好きなサーキットである。

 試乗の前に、恒例ともいえる長時間の水野説法と呼ばれる商品説明を受けた。水野氏の説得力があり信念を感じる話しに引き込まれて、皆“いいね”を連発する高評価。

 2013年モデルの改良点は、エンジンのパワーは不変だが高精度に制御出来る高出力用インジェクターの採用、フリクションの低減などにより中回転域のトルクアップによるレスポンス向上と高回転域の伸びの向上だ。

 また、エンジンの匠(組み立て者)のネームプレートを取り付けた。ボディ剛性を更に向上させ、シャーシはロールセンターを下げ、サスペンションの仕様変更を行った。その結果、スタートから100km/hのタイムは2012年モデルから0.1秒短縮し2.7秒、ニュルブルクリンクのラップタイムは7分18秒6になった。この僅かな短縮の意味を理解している人に大きな衝撃だろう。

タイヤが路面に吸い付くようなフットワークと、軽く感じるボディが2013年モデル評価

 最初は、サーキットの外周路となっている一般道路からの試乗を開始。比較のために、2011年モデルを最初に試乗した。2011年モデルは、サスペンションがカタく10mも走らないうちにテンションは下がっていく。雨で濡れた路面、落ち葉も落ちていて、4つのタイヤでもブースト圧が高まった瞬間に、タイヤは滑り出してトラクションコントロールの御世話になる。

 2周の予定が、1周で2011年モデルの試乗は切り上げてしまった。次に2013年モデルに乗り換える。エクステリア及びインテリアの変更は、日産GT-Rファンで無い私には判らない。しかし、ほんの数mは走り出しただけで、先程までのトラックの様な乗り心地から乗用車の乗り心地に換わったと感じた。下がったテンションも上がり、段々右足のアクセルペダルに力が入ってくる。

 荒れた路面でも欧州スポーツカーのように路面を舐めるように走り、タイヤがしっかり路面に張り付く。2011年モデルと同じ車重なのに、クルマがとても軽く感じ、強力なパワーをより扱い安く、楽しめるレベルまで引き上げていると評価できる。あえて言えば、もう少し低回転域でのトルクを上げて、ブースト圧が高まった時のパワーの段差を減らし自然吸気エンジンのようなフィーリングになれば、峠でも更に運転が楽しめるだろう。

息の長い加速と、ドライバーとの一体感が増した

 2013年モデルの良さを実感すると、サーキットで試乗が待ち遠しくなった。レーシングスーツに着替え、フルフェィスヘルメットのベルトを締めピットを出る。最初に与えられたGT-Rは、基準車といわれるPure edition。許された周回数は3周。

 しかし、私の乗るGT-Rが無く、係員から「お待ち下さい」と声を掛けられ待っているとGT-Rが滑り込んできた。ドライバーが降り、乗車を係員から促されて乗り込む。シート、ミーラーを調整すると直ぐにピットアウトの指示が出た。他車だと、一旦ブレーキやタイヤを少し冷やしてから走り出すのだが、ニューGT-Rにはそんな心配は不要なのだろう。

 コースに出て最初の1周はクルマとコースの確認。裏のストレートに発進テストの為の特設コースが設定されているため一時停止。ローンチ・コントロールモードにして、アクセルを全開にしてブレーキペダルを離すと、頭が後ろに置いていかれる凄いスタートダッシュ。一回体験するだけで二回目は身体の負担が大きいのでやりたくなくなるほどだ。

 大勢のドライバーが走行した後であり、タイヤの温度が上昇し内圧が上がっているようで、絶対的なグリップが低下している。ブレーキも効きに不満はないが、ペダルタッチのダイレクト感に乏しい。私が乗るまで、たくさんサーキットを走っていて、このレベルであれば凄い事でもある。

 最終コーナーを立ち上がって、アクセルを全開にするとストレート前半の登りセクションが、あたかも下り坂のように感じるほど速い。シフトアップのスピードが速く、途切れない加速が続く。

 トランスミッションのスペックは変わっていないとの事であるが、以前よりシフトがスムーズになり精度が上がったように思う。

 アクセルに対するエンジントルクの反応も良く、一般道では過大に思ったパワーもサーキットでは丁度良い。あえて言えば、6000rpmからもう一段のノビがあれば更に気持ちイイが、同じターボチャージャー車であるポルシェ911GT2と同様にレッドゾーンまで回さないで、早めのシフトアップの方が良いだろう。

 コーナーのターン・インでは、前輪加重をかけなくてもスムーズにフロントノーズが切れ込み、クリッピング・ポイントを抜ければアクセルを無造作に踏むだけで、四輪駆動の強力なトラクションによりロケット・ダッシュをする。

 ロールセンターを低くした事により、コーナーでの安定感が出て、ドライとウエットが混在している路面でもコーナリングを楽しめる。

 軽量化していないのに、クルマが軽く小さく感じ、以前よりGT-Rとの一体感が増している。冒頭の「継続は力なり」は、デビュー直後のGT-Rとは別のクルマのように変わった2012モデルを水野氏チームの弛まない努力を実感し、自然に出てきたことわざだ。

改良点を強いて言うなら、見映えが古臭く見えてきたことくらい?

 もう少し乗りたかったが、許された周回を終わりピットイン。今度は「For TRACK PACK」モデル。専用シート、専用サスペンション装備して公道よりサーキットを走る事が多い人向けのモデルだ。サーキット仕様ということで、ロールも少なくなり、サスペンションも更にしっかりして、ラップタイムはこちらの方が短縮するだろう。サーキットを速く走りたい人にはお勧めである。

 改良して欲しい点は、トラクション。昨年、エンジンパワーが上がってから、トラクションの不足を感じるようになった。また、エクステリアもインテリアも古くさくなってきた。夢のある性能だから夢のあるデザインのクルマでもあって欲しい。

 2013年モデルのお勧めは「Pure edition」。値段も一番安くサーキットでは「For TRACK PACK」に対してロールも大きめであるが、適度なロールであって、コントロールの幅が大きく、私のような素人にはGT-Rを操っている感じがして楽しい。

 GT-Rが欧州車の様に、クルマの味が出てきた2013年モデル。初期モデルに乗っているGT-Rオーナーが、かわいそうな程に進化した。水野氏は「第三世代の幕開け」と言われた。次はどんな「継続は力なり」のモデルを出してくれるのだろうか? 今から2014年モデルを首を長くして待ちたい。

日産GT-R2013年モデル概要、価格、燃費、スペックなど

<日産GT-R、2013年モデル概要>
●メカニズム
■エンジン
中回転域のレスポンスと高回転域での加速の伸びを向上
燃料噴射量を高精度に制御できる高出力用インジェクターの採用
ターボチャージャーの過給バイパスに専用開発したオリフィスを追加したことで、過給圧の急激な低下を抑制し、高回転域での加速を持続
オイルパンに特殊な構造のバッフルプレートを追加することで、サーキットなどでのハードなスポーツ走行時にも安定した油圧特性を実現し、オイルパン内での回転フリクションを低減
サーキット走行の多い顧客からのご要望が多かったMOTUL製COMPETITION OILをディーラーオプションのエンジンオイルとして設定

■シャシー
路面に吸い付くような走りと、超高速時の走行安定性をさらに向上
実際に走行している車両の実動ロールセンターを測定し、タイヤやサスペンションのブッシュのたわみも考慮してロールセンターを下げるとともに、スプリングとショックアブソーバー、フロントスタビライザーの仕様を変更
フロントサスペンションにキャンバー調整カムボルトを採用し、アライメントの調整精度を向上させ、あわせて整備性も向上
ドライブシャフトからハブベアリングの締結トルクを高め、サーキット走行時などにおける高負荷時の信頼性を向上

■ボディ
気持ちの良いステアリングレスポンスと、走行安定性を向上
ダッシュパネルバー2ヵ所と、インストメンバー部にレインフォースを追加することで、サスペンション性能の向上に対応し、車体剛性を向上

●インテリア
■Pure edition
ステッチの色を変更し、ドアトリムやインストパッドの縫い目のピッチを拡大することで、インテリアの質感を向上

■Black edition
ブラックとレッドのコンビネーションで、スポーティ感を高めたステアリングホイールを採用
RECARO製カーボンバケットシートをメーカーオプション設定

■Premium edition
ブラックとアンバーレッドの2トーンカラーのファッショナブルインテリアをオプション設定
本革本来の風合いと柔らかさを備えたセミアニリン本革を使用し、手縫いで一品一品仕上げたシートを前席に採用

■仕様、装備
ドライカーボン製リヤスポイラーとレイズ製アルミ軽量鍛造ホイールをセットでメーカーオプション設定(Black edition)
バックビューモニターを標準装備(Black edition、Premium edition)
シートバックの前倒し時の使い勝手を向上させるサイドノブを前席左右に装備(全車)

<日産GT-R価格>
・GT-R Pure edition 8,757,000円
・GT-R Black edition 9,639,000円
・GT-R Premium edition 9,786,000円
・GT-R EGOIST 15,168,300円

代表グレード 日産GT-R ピュア エディション
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,670×1,895×1,370mm
ホイールベース[mm] 2780mm
トレッド前/後[mm] 1,590/1,600mm
車両重量[kg] 1,730kg
総排気量[cc] 3,799cc
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] 404(550)/6,400rpm
エンジン最大トルク[N・m/rpm] 632(64.5)/3,200-5,800rpm
ミッション 6速デュアルクラッチトランスミッション
タイヤサイズ F:255/40ZRF20 R:285/35ZRF20
燃費 JC08モード 8.7km/L
定員[人] 4人
税込価格[円] 8,757,000円
燃料 無鉛プレミアム
レポート 丸山和敏
写真 編集部

【関連記事】

日産GT-R日産GT-R日産GT-R日産GT-R日産GT-R日産GT-R日産GT-R日産GT-R日産GT-R日産GT-R日産GT-R日産GT-R日産GT-R日産GT-R日産GT-R日産GT-R日産GT-R日産GT-R日産GT-R

この記事をCORISMで読む→

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください