新型ボルボ V40試乗評価 安全性に燃費、走りと価格にと、全方位で高評価なボルボの勝負車V40【レビュー:ボルボ】
CORISM / 2013年3月29日 11時11分
ワイド&ローを強調したスタイリッシュなスタイリング
新型ボルボV40は、ボルボのコンパクトカーであるC30、S40、V50を統合して発売された新しいエントリーモデルだ。ボルボではプレミアム・スポーツコンパクトと位置付けている。
ちなみにボルボでは、日本での呼び方を従来のV40(ぶいよんじゅう)から、今回はV40(ブイフォーティー)に変えたという。
そんな新型ボルボV40は、スポーティな外観デザインやスカンジナビアテイストにあふれたインテリア、余裕の動力性能を発生するパワートレーン、ボルボならではの充実した安全装備などを特徴とする。
外観デザインは、けっこうカッコ良い。ボルボらしからぬカッコ良さと言ったら失礼になるかも知れないが、ワイド&ローのプロポーションを基本に、傾斜を強めたAピラーやクーペ風のルーフラインなどがスポーティさを表現している。
かつてのボルボは、実用性を全面に出したデザインやパッケージングを採用していたが、それとは異なる新しいボルボデザインがV40で表現されている。
インテリアは、全体のトーンがスカンジナビアデザインでまとめられ、フリーフローティング・センタースタックを採用していることなどは、ボルボの伝統ともいえるもの。一方で、選択した走行モードに応じて色が変わる液晶メーターなど、新しい仕様も採用されている。
安全性に配慮したハイバックシートは座り心地、ホールド性とも不満はなく、後席の乗降性や居住空間もまずまずの広さが確保されている。強いていえば頭上に多少の圧迫を感じるが、それもしばらく乗っていると気にならなくなる。
ラゲッジスペースの広さは、ステーションワゴンというよりも、5ドアハッチバックという感覚で、決して広いとはいえない。
パワフルな1.6L直噴ターボエンジン、小回りが苦手な17インチホイール装着車
搭載エンジンは、直列4気筒1.6Lの直噴ターボ仕様で、132kW/240N・mの余裕ある動力性能を発生する。1.6Lの直噴ターボは、ヨーロッパではいろいろなメーカーのいろいろな車種に搭載されていて、動力性能の数値もさまざまだが、ボルボV40の実力を相当なレベルにある。
プジョーのRCZやミニのJCWなど、スポーツモデルでは、さらにパワフルなエンジンを搭載する例もあるが、標準車で132kWの実力は十分にスポーティな走りを可能にする。
ボルボのラインナップの中で見ても、S60やV70などの上級モデルにもこのエンジンが搭載されているのだから、比較的コンパクトで軽量なV40のボディに対しては十分な余裕がある。
実際に走らせた印象は、とてもスポーティなもので、アクセルを踏み込むと気持ち良く加速が伸びて速度が上がっていく。デュアルクラッチタイプの6速ギアトロニックも滑らかな変速を見せ、低速域でのつながりにも不満は感じなかった。
このトランスミッションは、レバーを操作して積極的なマニュアル車感覚の走りを楽しむこともできるが、パドルは装備されていない。今どきのクルマとしては、パドルによる操作も可能にして欲しいところだ。
このパワートレーンは、ボルボ車として初めてスタート/ストップ機能(アイドリングストップ機構)を採用することなどにより、燃費は16.2km/Lを達成した。エコカー減税は75%減税が適用される。
足回りは、かなり硬めの印象で、これも走りのスポーティさにつながる要素だ。試乗したのが上級グレードのT4 SEで、17インチタイヤを履いていたことも乗り心地に影響していた思う。ベースグレードのT4には16インチタイヤが装着されるので、もう少し乗り心地が良くなるはずだ。また16インチタイヤなら最小回転半径も5.2m(17インチは5.7m)になって取り回しも容易になる。
圧倒的にライバルをリードする安全装備。これだけでも新型V40を買う価値あり!
ボルボ車の価値の大きな部分を占める安全性に関しては、追突軽減ブレーキのシティセーフティが標準装備されるとともに、カバーされる範囲が拡大され、時速50kmまでの領域で衝突を回避できるようになった。これによって安全性が一段と向上した。
これに加えて、セーフティパッケージというセットオプションが用意され、人間を認識してブレーキをかけるヒューマンセーフティを始め、10種類に及ぶさまざまな最新の安全装備が用意されている。
全車速追従型のアダプティブ・クルーズコントロールや車間距離警告のほか、レーン・キープ・エイド、レーダー方式に変わったBLIS、クロス・トラフィック・アラートなど、ボルボ車として初めて採用された装備も、いろいろと用意されている。
さらに、世界初の安全装備である歩行者エアバッグがオプション設定されているのもポイントで、高い安全性誇るボルボらしい仕様だ。
ボルボV40の価格は、ベースグレードのT4で269万円。このクラスの輸入車としては相当な安さだ。Aクラスの価格を見て、明確に割安感が出るような水準に設定したわけだが、それにしても十分な価格競争力がある。
ただ、パワーシートなどが標準となる上級グレードのT4 SEは309万円で、これにいろいろなオプションを装着するとかなりの高額車になってしまう。せっかくの低価格設定もこれでは意味がないので、オプション類をシッカリと吟味して選ぶことが重要。おすすめは、T4にセーフティパッケージと歩行者エアバッグ、PCC、パークアシスト(リヤ)などを装着し、車両価格で300万円くらいの仕様にしたら良いと思う。
新型ボルボV40セーフティ・パッケージ内容
1 : ヒューマン・セーフティ(歩行者検知機能付追突回避・軽減フルオートブレーキ・システム)
ミリ波レーダーとカメラの両方を用いて、前方の歩行者や車両を検知し衝突を回避、軽減します
2 : 全車速追従機能付ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)
速度と車間距離を選択すると、交通の流れに合わせ加速、走行、減速、停止までを自動で行います
3 : 車間警告機能
前方車両との車間距離が近づくと、フロントガラスの低い位置に警告灯が点滅します
4 : DAC(ドライバー・アラート・コントロール)
ドライバーの運転状況から眠気や注意散漫のサインを察知すると警告音を発します
5 : LKA(レーン・キーピング・エイド) *ボルボ初、V40のみ
カメラセンサーを使用し無意識のうちに蛇行した際、車線内を走行するようステアリングをさせて微修正し、
さらには振動させて警告します
6 : BLIS(ブラインドスポット・インフォメーション・システム)
リアバンパー内蔵のレーダーセンサーによりドライバーの死角に車両が進入した際に、
ドアミラー内側のLEDランプと警告音で知らせます
7 : LCMA(レーン・チェンジ・マージ・エイド)-急接近車両警告機能 *ボルボ初、V40のみ
リアバンパー内蔵のレーダーセンサーにより車両の両側車線から、衝突までの時間が3.5秒未満、
70m以内で急接近する車両を知らせます
8 : CTA(クロス・トラフィック・アラート) *ボルボ初、V40のみ
リアバンパー内蔵のレーダーセンサーにより視界の遮られた状況からバックで車両を発進させる時に、
左右からくる車両を検知し知らせます
9 : RSI(ロード・サイン・インフォメーション)
制限速度や追い越し禁止の道路標識をカメラで認識し、メーターパネルに表示します
10: AHB(アクティブ・ハイビーム) *アクティブ・ベンディング・デュアル・キセノンヘッドライト装着車のみ
対向車や先行車両を検知し、ヘッドライトをハイビームからロービームへ自動的に切り替えます
新型ボルボV40価格、燃費、スペック等
V40 T4 ¥2,690,000
V40 T4 SE ¥3,090,000
代表グレード | ボルボV40 T4 |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,370×1,785×1,440mm |
ホイールベース[mm] | 2,645mm |
トレッド前/後[mm] | 1,550/1,540mm |
車両重量[kg] | 1,430kg |
総排気量[cc] | 1,595cc |
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] | 132(180)/5,700 |
エンジン最大トルク[N・m/rpm] | 240/1,600-5,000 |
ミッション | 6速DCT |
タイヤサイズ | 205/55R16 |
JC08モード燃費 | 16.2km/L |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 2,690,000 円 |
発売日 | 2013/2/19 |
レポート | 松下 宏 |
写真 | 編集部 |
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