マツダ ロードスター新車情報・購入ガイド 裏切りか? それとも戦略か? 早過ぎる最上級グレード「RS」の追加!【ニュース・トピックス:マツダ】
CORISM / 2015年10月22日 20時20分
もっとも走りに特化したグレード「RS」。価格設定も買い得感あり!
マツダ は、オープンカーの ロードスター に走行性能を高めた最上級グレードとなる「ロードスターRS」を追加し発売を開始した。
マツダ ロードスター は、2015年5月に登場。開発のテーマを原点回帰とし、ボディサイズは小さくなり軽量化にこだわった。その結果、先代モデルより約100㎏の軽量化を実現。1,000㎏前後という、まさにライトウェイトスポーツカーという名に相応しいモデルとなった。また、前後重量配分も50:50にするなど、細部に渡り走りにこだわった仕様となっている。搭載されたエンジンは、スカイアクティブ が採用された1.5L直4。131ps&150Nmと、絶対的な出力は排気量なりだが、フィーリングの良さと軽量ボディの恩恵で、数字を超えた楽しさを感じるモデルとなっている。
デビュー当時のグレード構成は、ベーシックで素のロードスターを楽しめるエントリグレード「S」、充実装備とLSDやリヤスタビライザーを装備した「Sスペシャルパッケージ」、Sスペシャルに安全装備や合成皮革のインテリアなど、さらに豪華仕様とした「Sレザーパッケージ」の3タイプが用意された。
ロードスターは3月20日からの予約受注開始から、発売約1ヵ月後の6月21日現在で受注累計は5,042台と売れた。グレード別構成比は、「Sスペシャルパッケージ」が52%、「Sレザーパッケージ」が39%、「S」が9%となり、中間グレードとなるSスペシャルパッケージが人気グレードとなっている。また、トランスミッションでは74%がMTを選んだ。このように、初期の受注では、よりスポーティなグレードが人気となっている。
しかし、それからわずか5ヶ月。走りの質をさらに高めたロードスターRSが投入されてしまった。最も走りの質を引き上げたグレードとなる。装備内容は、
■マツダ ロードスター「RS」主要装備
・ビルシュタイン社製ダンパー
・大径ブレーキ
・フロントサスタワーバー
・RECARO社製シート(アルカンターラ/ナッパレザー)
・インダクションサウンドエンハンサー
・シートヒーター
・アダプティブ・フロントライティング・システム(AFS)
・ハイ・ビーム・コントロール(HBC)
・車線逸脱警報システム(LDWS) *LDWS:Lane Departure Warning System
・ブラインド・スポット・モニタリング(BSM) *リア・クロス・トラフィック・アラート(RCTA)機能付
・BOSEサウンドシステム(AUDIOPILOT™2)+9スピーカー
・CD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー(フルセグ)
●マツダ ロードスターRS価格:3,196,800円(6MT)
と、なっている。
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売れていない? なぜ、わずか5ヶ月でRSを投入? 買い時が見極められないロードスター
装備内容を見ると、かなり走りの質がアップされている。ロードスターRSの価格は3,196,800円。ロードスターSレザーパッケージの価格と比べると、約16万円高価だ。この価格アップでビルシュタイン製ダンパーやレカロシート、大径ブレーキが装備となるなら、かなりお買い得な設定。逆にレザーパッケージが割高に感じるほどだ。それほど速いロードスターは必要ないという人でも、かなり魅力的なパーツ類が満載されているので積極的に選びたいグレードといえる。
非常に魅力的なロードスターRSだが、すでにロードスターを購入した顧客の一部は落胆した可能性もある。先代ロードスターの登場時には、デビューと同時にRSが存在していた。しかし、新型ロードスターデビュー時には、RSの存在は無く、モデル途中から導入されるとは分かっていても、これだけ短期間で魅力的なRSが投入されると分かっていたのなら、少々待ってもRSが欲しかったという顧客も少なくないだろう。一般的に、わずか5ヶ月で新たなグレードが追加される例はとても少ない。
デビュー直後、RSの存在と発売日が公になっていたのならまだしも、ある日突然わずか5ヶ月で新グレードの追加となると、新型ロードスターを購入した顧客の一部は裏切られたような感覚もあっただろう。こうなると、ロードスターRSの購入を考えている顧客も、いつ2.0L車の追加やさらになるバージョンアップしたグレードの追加があるのか不安な気持ちになる。クルマは、そう簡単に買い替えられるものではないので、RSの追加は、かなり顧客の心理を逆撫でしたともいえるだろう。
マツダもこうしたことになることは十分予測できたはず。それなのに、なぜ? 実は、ロードスターの販売台数は失速気味というようにもみえるのだ。3月20日から6月21日までの約3か月で5,042台ということは、1ヶ月で1,700台弱の受注ということになる。販売目標が500台なので、3倍強の受注ということになる。現在のロードスターの納期は2ヶ月程度と言われており、思ったほど長くない。初期受注分の納車が進み、受注残が少なくなっていることが分かる。そうしたことを考えると、ロードスターはマツダが考えているより売れていない? という仮説となる。
このまま受注残が減っていくと、マツダが描いていた生産計画を下回る可能性があるのかもしれない。ロードスターの場合、発売前から多くの情報が流れ、北米での2.0L車の存在などもピックアップされていた。ある意味、多くの情報を流し過ぎた結果、1.5L3グレードという発売直後のライアップをみて、ロードスターの購入は少々待った方が良いと考えた顧客が多かったのでは? とも予想できる。
また、RSの価格がリーズナブルなのをみると、現在のロードスターの価格が高いと感じている顧客が多く、それをある程度是正したとも考えられる。そのため、今回のRSの追加は、ある意味かなり戦略的にロードスターの販売台数を底上げさせるための急遽投入されたともいえるかもしれない。
その他、レカロシートやビルシュタイン製ダンパー装着したモデルの部品の納入ややセッティングに時間がかかり、発売日に間に合わなかったなどの理由もあるだろう。間に合わなかったのなら、顧客のことを想うのであれば発表時にRSの存在をアピールすべきだった。
何にせよ、お買い得なロードスターRSだと思い、うかつに飛びつくと、年明けくらいには2.0L導入などがあるかもしれないので、ジックリ検討したほうが良さそうだ。こうした早いタイミングでの新グレード投入は、ロードスターの買い時をさらに見極めにくくしている。
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