マツダ デミオ新車情報・購入ガイド 安全装備進化せず! CX-3で標準装備化された歩行者検知式自動ブレーキ「アドバンストSCBS」がデミオには装備見送りの謎!【ニュース・トピックス:マツダ】
CORISM / 2016年11月11日 19時19分
デビューから2年。コンパクトカーとしては、厳しいセールス状況
マツダ は、コンパクトカー のデミオ を一部改良。同時にデミオの特別仕様車「Tailored Brown(テーラード・ブラウン)」を11月17日より販売を開始する。
マツダ デミオは、2014年に登場。現行モデルで4代目となるマツダを支える基幹車種だ。先代のデミオは、全長3,900㎜とかなりコンパクトなモデルだった。しかし、現行デミオのボディサイズは、4,060×1,695×1,525mmとなっており、かなり全長が伸びている。ボディサイズを大きくすることは、このクラスでは居住性の向上に大きく貢献する。
ところが、4代目デミオは先代に比べ居住性はそれほど向上していない。これは、居住性よりドライビングポジションを重視した設計が行われたためだ。適切なドライビングポジションを得るために、80mmホイールハウスの張り出しを前方に移動した。従来のモデルでは、ホイールハウスの張り出しにより、理想ペダル配置ができなかったからだ。こうした設計が行われたことにより、ペダル類を右へ20mm移動できるようになり、理想のペダル配置となった。室内スペースより、人馬一体を目指すマツダらしい割り切りだ。
デミオに用意されたエンジンは3つ。1.3Lと1.5Lのガソリンエンジンと1.5Lのクリーンディーゼル だ。1.3Lガソリンエンジンは、24.6㎞/L。1.5Lクリーンディーゼルは、30.0㎞/Lを誇る。ただし、この30.0㎞/Lのクリーンディーゼル車は、広告や販促用のオトリグレード。売れ筋グレードは、26.4㎞/Lとなっている。それでも、価格の安い軽油を使うディーゼル車なので、燃料費という視点ではハイブリッド車並みだ。1.5Lガソリン車は、モータースポーツ用のベース車として設定されたもので、燃費は19.2㎞/Lとなっていてハイオク仕様となっている。
デミオの国内販売は、苦戦している。2016年4~9月の販売台数は25,814台。このクラスで最も売れているアクア が81,826台。フィット が52,675台。ガソリン車しかないノート が40,627台。同じくヴィッツが36,794台。ライバルに比べ、かなり苦戦していることが分かる。先代デミオは2012年4~9月で29,438台と、モデル末期でも現在のデミオより売れていた。
こうした結果になったのは、クルマのパフォーマンスというよりは、高価な価格設定や販売店での値引きゼロ戦略などによるところが大きい。装備や質感などは、ライバルを上回る部分も多く、ある程度納得できる部分がある。
また、クルマに詳しくない顧客に対して、クリーンディーゼル車のメリットが伝わっていない点も営業面での努力が必要な点だ。ガソリンより安い軽油が燃料であり、燃費はハイブリッド車より悪いものの、燃料費視点ではハイブリッド車並みであり経済的であること。それでいて、最大トルクはハイブリッド車を凌駕するパワフルさをもつ点などが、クルマに詳しくない顧客層には届いていない。そうした顧客にとっては、ハイブリッド車じゃないのに高いクルマと映っているようだ。デミオのようなコンパクトカーは、クルマに詳しくない顧客層が大半を占める。デビューから2年経過すると、デザインのイメージ先行だけでは、さすがに厳しい状況になってきているのだろう。
運転なの下手なドライバーでも、上手く運転しているように制御するGベクタリングコントロールが標準装備
マツダ デミオの改良点は、他のモデルと同様に人馬一体感をより上質に深化させる制御であるGベクタリングコントロールが全車に標準装備された。この制御は、ドライバーのハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを緻密に変化させることで、横方向と前後方向の加速度を統合的にコントロールする。乗員にかかる加速度の変化をより滑らかにつなぐことで、体の揺れが減り、乗り心地も改善。普通に乗っているだけで、運転が上手いドライバーのように走れる。運転が苦手、運転技術に興味がない、といった多くのドライバーにメリットがある。
ただし、運転が上手くなりたいドライバーにとっては、クルマが勝手に制御しするので、ややお節介な機能にもなる。走行性能を重視した15MBなどのグレードには、せめてONとOFFの機能が欲しいところだ。
また、人馬一体を目指すマツダは、フットワーク面も深化させた。電動パワーステアリングの特性を見直し、切り始めのすっきり感と切り込んだところの手応えをアップさせてリニアなコントロール性を実現。そして、フロントとリヤのダンパーやブッシュなど、足回りの部品の特性を見直し、よりスムーズな挙動と落ち着きのある上質な乗り心地に改善した。走りの質感をアップさせている。
なぜ? CX-3に標準装備化された歩行者検知式自動ブレーキが、デミオでは装備見送り! 安全装備は進化せず?
国内コンパクトカーで唯一クリーンディーゼルを積むマツダ デミオ。そのクリーンディーゼルエンジンもさらに深化した。ディーゼルエンジンには、独特の不快な音がする。この不快な周波数帯に着目し、燃料噴射タイミングを0.1ミリ秒単位で制御。ノック音の発生そのものを抑制する「ナチュラル・サウンド・周波数コントロール」を「SKYACTIV-D 1.5」搭載車に標準装備。前回の改良で装備された「ナチュラル・サウンド・スムーザー」と相まって、ディーゼルエンジンの不快な音や振動を軽減。より、上質感のあるコンパクトカーとなった。
上質なコンパクトカーを目指したデミオだが、安全装備面では並みのコンパクトカー程度となった。CX-3に全車標準装備化された歩行者検知式自動ブレーキ「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート」が用意されていない。今のデミオは、歩行者検知ができないままだ。デミオは元々価格設定が高め。その上、歩行者検知式自動ブレーキを標準装備化して、価格が上昇してしまえば、さらに売れなくなるかもしれない、そんな考えがあったのかもしれない。
しかし、派生車であるCX-3に装備できて、デミオに装備できないのは疑問。「マツダは、『お客様の人生においてかけがえのない存在となり、お客様と特別な絆を持ったブランドになること』を目指すとしているが、本当に特別な絆を持ちたいのか少々疑問が残る。マツダは、安全思想として「事故のリスクを最小限に抑制することが、安心・安全な運転、そして走る歓びにつながる。それがマツダの安全に対する考え方です」としている。車種によって、それも派生車なのに事故のリスクが極端に変わるのであれば、事故のリスクを最小限にしているとはいえず、顧客のためにならない。
最近では、高齢者やポケモンGO関連などによる歩行者への衝突事故が多発していることも含め、クルマの自動ブレーキで衝突回避・軽減することが必要な時代になってきている。とくに、コンパクトカーは販売台数が多いカテゴリーなので、歩行者死亡事故軽減に貢献できるだろう。クルマは、使い方を誤れば人を殺める凶器になる。そうした製品を売っているのだから、メーカー側は積極的にそうした装備を標準装備化するべきだ。どんなに気を付けていても、いつ、どこで、誰が被害者・加害者になるかは分からないのだから。早急に歩行者検知式自動ブレーキの標準装備化に期待したい。すでに、派生車であるCX-3に標準装備化された技術がデミオに装着できない理由がないはずだ。
デミオの魅力をより鮮明にする特別仕様車「Tailored Brown(テーラード・ブラウン)」が登場!
外観デザインもわずかだが変更された。フロントグリルガーニッシュを「13S Touring」、「13S Touring L Package」はピアノブラック塗装、「XD」、「XD Touring」、「XD Touring L Package」はグレーメタリック塗装に変更。クロームメッキベゼル加飾を施した、LEDフロントフォグランプを「XD Touring」、「XD Touring L Package」に標準装備。他の機種では、ショップオプションで選択可能とした。
そして、デミオの魅力の一つである上質感あるインテリアも一部変更されている。「13S Touring L Package」、「XD Touring L Package」の白革内装をオフホワイトからピュアホワイトに変更と共にコーディネートを一新。各所に赤と、サテンクロームとピアノブラックを組み合わせた加飾を施すなど、細部に至るまで上質さを追求した。
また、「13S Touring L Package」、「XD Touring L Package」に黒革内装を新設定。精悍なブラックに深みのあるディープレッドのアクセントを加え、シート座面に手触りのよいグランリュクス(スエード調人工皮革)素材を採用。「13S Touring」、「XD Touring」は、モノトーンでフォーマルさとスポーティさをクールに表現した黒布内装を採用した。「13S」、「XD」はインテリア全体をブラックで統一し、インパネ、コンソール、ドアには千鳥格子パターンのグロスブラックのデコレーションパネルを採用し、室内に深みをもたせるとともに、遊び心を表現している。
デミオには、こうした改良と同時に特別仕様車「Tailored Brown(テーラード・ブラウン)」も投入された。デミオの魅力である上質感あふれるインテリアをより魅力的に仕上げた1台だ。インテリアは。ライトブラウン&ブラックを基本として各所にオレンジのアクセントを加えた。さらに、キルティング加工を施したグランリュクス(スエード調人工皮革)素材のシートを組み合わせ、やわらかく上質なアート空間を表現している。また、高輝度ダーク塗装を施したアルミホイールを採用し、精悍なスタイルを強調した。
クラス唯一のクリーンディーゼルだけに、お勧めはXD Touring L Package
マツダ デミオの選び方。まずは、エンジンの選択だ。ガソリン車とクリーンディーゼル車の価格差は、ザックリ30万円くらい高くなる。クリーンディーゼル車は、エコカー減税が免税対象になっているので、実際に購入する場合、価格差はやや縮まる。また、クリーンディーゼル車は、燃料に軽油を使うため、ガソリン車より20円/L前後燃料費が安く済む上、燃費も良いのでかなり経済的だ。ただ、それでも価格差を燃料費で補うことは、かなり距離を走る人でないと難しいところだ。
走行性能面では、250Nmという2.5L車並みの最大トルクを持ち、軽量なコンパクトカーであることから、非常にパワフル。ロングドライブなどでは、とても力強く快適で疲労も少ない。走って楽しいクルマなので、ドライブが好きな人にはぜひとも選んでほしいエンジンだ。約30万円高いというのも十分に納得いくだろう。対してガソリン車は、あくまで実用的なイメージが強い。
ガソリン車のグレード選びは、基本的に13S Touringをベースに考えたい。エントリグレードの13Cは、価格訴求用のオトリグレード。装備はかなり簡素化されていて、一般的なユーザーが使うには現実的ではない。シンプルな仕様で乗るのなら、13Sでも十分。しかし、サイド&カーテンエアバッグなど一定の安全装備も標準装備化されているのだが、スマート・ブレーキ・サポート(SBS)&マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)などが選べないのが難点。そうなると、13S Touringをベースに、好きなオプションを選択していく方法がベストだろう。13S Touring L Packageは、デミオらしさを十分に堪能できるグレード。魅力的な内装を選ぶことができる。価格アップは5万円程度なので、積極的に選びたい。お勧めは、やはり13S Touring L Packageだ。
クリーンディーゼル車は、6MT車が要注意となる。この6MT車は、30.0㎞/Lという燃費訴求用のオトリグレードといえるもの。30.0㎞/Lという燃費値を出すために、燃料タンクを小さくし軽量化。最大トルクも250Nmから220Nmへダウンしている。これで、何得できればいいが、顧客側からすれば250Nmのままで6MTを楽しみたいとうのが本音だ。
グレード選びは、ガソリン車と同様でエントリグレードのXDでは、スマート・ブレーキ・サポート(SBS)&マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)などが選べない。そうなると、XD Touringをベースにお気に入りのオプションを選択したい。また、デミオの魅力を考えると、クリーンディーゼル車もガソリン車と同様で、最上級グレードであるXD Touring L Packageがお勧めだ。従来のコンパクトカーとは思えないような質感が高いインテリアを選べるようになる。
マツダ デミオ/デミオ特別仕様車「Tailored Brown(テーラード・ブラウン)」価格
■マツダ デミオ特別仕様車「Tailored Brown(テーラード・ブラウン)」価格
・13S Tailored Brown 2WD AT 1,717,200円/4WD AT 1,922,400円
・XD Tailored Brown 2WD AT 1,998,000円/AWD AT 2,203,200円
■マツダ デミオ価格
・13C 2WD AT 1,350,000円/4WD AT 1,555,200円
・13S 2WD AT 1,458,000円 MT 1,458,000円/4WD AT 1,663,200円
・13S Touring 2WD AT 1,684,800円 MT 1,684,800円/4WD AT 1,890,000円
・13S Touring L Package 2WD AT 1,738,800円 5MT 1,738,800円/4WD AT 1,944,000円
・15MB 2WD MT 1,501,200円
・XD 2WD AT 1,782,000円 6MT 1,782,000円/4WD AT 1,987,200円
・XD Touring 2WD AT 1,965,600円 MT 1,965,600円/4WD AT 2,170,800円
・XD Touring L Package 2WD AT 2,019,600円 MT 2,019,600円/4WD AT 2,224,800円
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