マツダ ロードスターRF試乗記・評価 すべてにおいて「優雅」さを感じさせるひとクラス上の大人のロードスター 【レビュー:マツダ】
CORISM / 2016年11月19日 16時37分
優雅さで差別化! 流麗なファストバックスタイルが魅力のロードスターRF
マツダ ロードスター は、マツダの小型スポーツカー として世界中のファンから愛されたオープンカーだ。世界累計生産台数は、100万台を超えた。
現在は4代目に移行し、先代のリトラクタブルハードトップモデル(RHT)の後継車が今回の試乗した「ロードスターRF」である。先代モデルと大きな違いは、名前がRF(Retractable Fastback)に変わったように、運転席頭上のルーフは電動で収納されるが、リアルーフが残るファストバックスタイルを採用した事である。
ポルシェ911 のタルガトップと言えば分かり易いだろうか。試作の段階では、先代モデルと同様にルーフの完全収納も検討されたとの事であるが、最終的にはスタイルを重視してこのスタイルが採用されたそうだ。
デザイナーが拘ったというシルエット、キャビンの美しさは、どう猛なスーパーカーとは違った親しみやすいデザインである。親しみやすさの一番の理由はコンパクトなボディ(全長3,955mm、全幅1,735mm)だからだろう。
スポーツカー 好きである私は、ファストバックスタイルは古くからのクーペスタイルの王道であり好きだ。そのため、ロードスターRFも一目で気に入った。特に斜め後方からみたスタイルは、リアフェンダーからリアルーフにかけての流れるラインは綺麗である。ルーフを格納しても、リアルーフが残るので、華麗のスタイルは変わらないのは嬉しく、私もこのスタイルを採用したことに賛同する。
わずか13秒で開閉完了! 重くなったが速さ、乗り心地、静粛性はRFが上!?
オープンカー を購入する理由は、オープンにした時の気持ち良さである。しかし何時でも天気が良い訳ではないし、暑さ、寒さをガマンしないといけない事もある。手動であると停車しないと開閉出来ないので、空を見上げながら勇気を持って幌を開ける必要がある。また、ルーフが電動でも走行中は開閉出来ないオープンカーもある。しかし、RFは10km/h未満の速度なら走行中でも室内のスイッチを押すだけで、ルーフの開閉がわずか13秒で完了するので気楽にオープンを楽しめる。
またリアルーフが残る事により、閉塞感より包まれる事による安心感があり、リヤウインドウの前に配置された透明なアクリル性のエアロボードが効果的に働き、室内の巻き込みはロードスターより少なく、大人のオープンエア・ドライブが楽しめる。
流石に高速道路では、風も巻き込みが多くなり、騒音に車内が満たされてしまい、お気に入りの音楽を楽しみながらの長時間ドライブは難しくなる。一方、クローズドすれば、座高の高い私には髪の毛がルーフに触れそうになるが、ロードノイズは少なくBoseサウンドシステムを楽しめる車に早変わりする。
幌からハードトップの変更により約45kg増加。エンジンは、1.5リッターから2リッターへ変更。装備の充実など、ロードスターRFは幌のモデルに比べて100kg前後増加している。1gでも削る努力をした幌モデルと比較すると、この重量増は致命的に見える。
しかし運転してみる、ヒラヒラ感は減ったが路面にしっかり根を降ろしたような滑らかな乗り心地は大人のクルマとしてのファストバックスタイルに似合っている。電動パワーステアリングは、適切な重さで、反応が機敏であり、正確である。
今回の試乗は都内だったが、幌モデルに比較して重厚感の増したフィーリングは、高級感があって好きだ。試乗車のミッションは6速ATであったが、Dレンジに入れたままでイージードライブは勿論、アクセルに対してダイレクトに反応しRFの性格に合う。MTにそれほどこだわりが無ければ、ATを選択しても後悔しないだろう。
クルマの価格も含め「生活に余裕がある人」の贅沢なクルマ!?
アイドリングストップシステムを搭載した2リッター4気筒の直噴エンジンは、最高出力158PS/6,000rpm、最大トルク20.4kg/m/4,600rpmを発揮する。1.5Lと比べると、当然500㏄排気量が大きいこともあり、低回転からトルクがある。街中でも乗りやすい。
13.0という高圧縮比のSKYACTIV エンジンは、ロードスター専用設計のフライホイール採用、どの回転での不満はないが、もう少しエンジンの回転フィールにキレがあればと思うのは無い物ねだりだろうか。
シートは高級なナッパレザーシートを採用、適度のホールド感は身体に心地よく、インテリアの質感も上がっている。7インチ・ディスプレイを採用したナビゲーションは、センターコンソールにある「コマンダーコントロール」にて操作ができる。説明書がなくても直感的に操作できるのは嬉しい。
褒め言葉が多く並んでしまったのは、ロードスターRFが気に入った証拠である。欲を言えば欧州スポーツカーの様な更なる剛性感、包まれ感があれば申し分ない。そして、ターボチャージャーを付けて、回転を上げないでトルクで走るようなエンジンだったら、幌モデルとは大きな差別化が出来るだろう。そんなロードスターRFだったら益々欲しくなる。
「ロードスター」は比較的若い人、車の運転を楽しみたい人に乗って欲しい。「ロードスターRF」は、とにかく車の運転楽しみたいという人ではなく、余裕のあるゆったりとした生活を楽しみながら、ときには車の運転を楽しみたいという人にピッタリだろう。
最後に、ロードスターRFの購入で一番ハードルを上げているのが価格設定だ。比較的装備が充実してい要るとはいえ、エントリグレードのSでも、300万円を大きく超えた324万円。最も高価でスポーティな設定のRSは3,736,800円と400万円台が見えてくる。
スポーツカーが売れない時代だからこそ、良いモノを安く、マツダの皆さんには、もっと頑張って欲しい。高価で良いものというのであれば、それは当たり前。ロードスターRFは、良い素材のクルマであり、今後の熟成が楽しみであり期待したい1台だ。
マツダ ロードスターRF価格
■マツダ ロードスターRF
・S 6MT 3,240,000円/6AT 3,261,600円
・VS 6MT 3,574,800円/6AT 3,596,400円
・RS 6MT 3,736,800円
マツダ ロードスターRF燃費、ボディサイズ、スペックなど
■マツダ ロードスターRF VS 6AT
全長×全幅×全高 mm 3,915×1,735×1,245
室内寸法(長さ×幅×高さ) mm 940×1,425×1,040
ホイールベース mm 2,310
トレッド 前/後 mm 1,495/1,505
最低地上高 mm 145
車両重量 kg 1,130
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション 前/後 ダブルウィッシュボーン式/マルチリンク式
ブレーキ 前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
エンジン 型式 PE-VPR[RS]型 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量L 1.997
ボア×ストローク mm 83.5×91.2
圧縮比 13.0
最高出力 kW〈PS〉/rpm 116〈158〉/6,000
最大トルク N・m〈kgf・m〉/rpm 200〈20.4〉/4,600
燃料供給装置 筒内直接噴射(DI)
使用燃料・タンク容量L 無鉛プレミアムガソリン 45
JC08燃費 km/L 15.6
最小回転半径m 4.7
トランスミッションタイプ 6EC-AT
価格 3,596,400円
レポート 丸山和敏
写真 編集部
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