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日産セレナ試乗記・評価 日本カー・オブ・ザ・イヤー イノベーション部門賞受賞!使い勝手の良さが際立つインテリア【レビュー:日産】

CORISM / 2016年12月12日 6時30分

日産セレナ

営業サイドが待ちに待った新型セレナ! 国内日産、約2年半も新車投入されず

 日産セレナが、フルモデルチェンジを受けた。前モデルは2010年11月に発売されたので、ほぼ6年振りのフルモデルチェンジである。売れ筋のミニバンとしてはちょっと長めのモデルサイクルといえるが、旧型セレナはモデルサイクルの後半にもけっこう良く売れていた。これだけ売れれば、モデルチェンジの時期が伸びるのも止むを得ないところである。

 それよりも日産は、今回のセレナが登場するまで2年半もの間、日本市場に新型車やフルモデルチェンジ車を投入していなかった。そのことのほうが問題だ。これだけ長い期間にわたって新型車、フルモデルチェンジ車を投入しないというのは、自動車メーカーとして考えられないことだ。

 日産の経営上、日本市場のウエイトはとても低いのかも知れないが、日産自動車は日産(日本産業)というくらいで、日本に由来する自動車メーカーなのだから、もっと日本市場を重視して経営をし、日本市場に適切な商品を適切なタイミングで投入して欲しいと思う。

先代モデルの良さを継承しながら、より迫力あるデザインとした新型セレナ

 日産セレナの外観デザインは、ミニバンらしさを継承したものだ。セレナのデザインは、これまでも背の高さや窓の面積の大きさなどが室内空間の広さを連想させ、それが人気につながっていた。ハイト系なのに全高を抑えた設定にした過去のステップワゴンがセレナに売り負けたのは、室内が広く見えるかどうかという点にポイントがあった。だから、そうしたミニバンデザインをしっかり継承したのだ。

 今回のモデルも、標準車とハイウェイスターの設定があり、ハイウェイスターはフロントグリルのメッキを増やしたほか、専用のフロントバンパーを採用している。より迫力のある外観デザインとすることで、標準車以上に人気を集めている。良く売れるミニバンであるだけに、ほかの人とは少し違った仕様が欲しいと考えるユーザーが多いのだ。さらに、ハイウェイスターでも物足りないと考えるユーザーはライダーを選ぶことになる。こうした外観デザインの選択肢が多いのもセレナの魅力だ。

セレナの魅力は、ライバルを圧倒する使い勝手の良さにある!

 セレナの運転席に座ると、視界の良さが一段と増している。インパネ上面の高さを抑えたのを始め、前述の広いガラスエリアは前方から左右にかけての見晴らしの良さにつながり、三角窓の部分も死角を少なくする工夫がなされている。横長になったメーターパネルは、前のモデルと同様にステアリングホイールの上から見る方式を採用している。

 インテリアカラーは、グレードやボディカラーによって5種類から選択することが可能だ。室内空間は3列目シートにスライド機能を備えることで、3列のシートすべてに大人が乗ることも可能。3列目シートを後ろにいっぱいまで下げた状態では、ラゲッジスペースがほとんどなくなるが、結果として室内長は旧型モデルに比べて180mmも広がり、競合するライバル車より広い空間を持つようになった。

 室内では、2列目シートのシートベルトが格納部分をシート内蔵タイプにしたのが大きなポイントだ。日産は、これによって2列目シートに乗員がいるときでも3列目シートの乗員が乗り降りできることをメリットとして強調している。でもそれ以上に、シートベルトをシート格納にすることで、乗員の体型に合わせやすくなり、安全性が高まることのメリットのほうが大きいと思う。小柄な人がシートベルトを装着しても、ベルトが首にかかることがなくなるのが良いことなのだ。

 豊富なシートアレンジが用意されているのは、ミニバンとして当然の設定。5人乗り+荷物、4人乗り+荷物のスーパーカーゴモード、2~3列目フルフラットモードなど、いろいろなアレンジができる。3列目のシートは左右に跳ね上げる方式だが、操作は比較的簡単であまり力を必要とせず、また斜め後方視界を遮らないように低く跳ね上げられる仕組みにしているのが良い。

 クルマへのアクセスが向上したのも良い点だ。スライドドアの開閉が押しボタンだけすむほか、運転席のスイッチやドアレバーを引く方式でも開閉を可能にしたのは基本的な良さだ。さらに、キーを持っていれば片足のキック操作だけで開閉できるハンズフリーオートスライドドアを装備。さらに、バックドアは上部半分だけ開くこともできる。小さな荷物の積み下ろしに便利なデュアルバックドアなどを備えている。

 キック操作によるドアの開閉は、ミニバンのスライドドアでは初だが、SUVやステーションワゴンなどのバックドアにたくさんの例があるので珍しくない。ただ、小犬がセンサー部分を横切ったり、あるいはボールなどが飛んできたりしても、そのようなことでは開かず、人間のキック操作による足の出し入れだけで開くようにしている。

 セレナのデュアルバックドアは、とても良いアイデアだ。これもステーションワゴンなどに、ガラスハッチだけが開くものがあるし、樹脂製のバックドアはステージアで採用していたから、そう目新しいものではない。だが、ミニバン用のバックドアとして、色々研究を重ねた結果、狭い場所でも簡単に開け閉めできるほか、いろいろなノウハウを詰め込んで使い勝手の良いドアにしている。

 このあたりの小技(こわざ)が利いたというか、小技よりちょっと上の中技が利いたような感じになる点が、セレナの長所となる部分である。


日産セレナ価格

■日産セレナ価格
<FF(前輪駆動)>
B 2,316,600円
S 2,435,400円
X 2,489,400円
G 2,847,960円
ハイウエイスター  2,678,400円
ハイウエイスター プロパイロットエディション  2,916,000円
ハイウエイスターG 3,011,040円
ハイウエイスターG プロパイロットエディション  3,187,080円
<4WD>
B 2,603,880円
X 2,733,480円
G 3,135,240円
ハイウエイスター  2,965,680円
ハイウエイスター プロパイロットエディション 3,176,280円

日産セレナ スペック、燃費など

代表グレード 日産セレナ ハイウェイスターG
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,770×1,740×1,865mm
ホイールベース[mm] 2,860mm
トレッド前/後[mm] 1,480/1,485mm
車両重量[kg] 1,700kg
総排気量[cc] 1,997cc
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 110(150)/6,000
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 220(20.4)/4,400
ミッション CVT
タイヤサイズ 195/60R16
JC08モード燃費 16.6km/L
定員[人] 8人
税込価格[円] 3,011,040円
発売日 2016/8/24
レポート 松下 宏
写真 編集部


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