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ホンダNSX試乗記・評価 コンビニOK! 普段の足としても使える扱いやすさ! 新たな価値を提案するホンダの新世代スーパーカー!【レビュー:ホンダ】

CORISM / 2017年4月11日 21時21分

ホンダNSX試乗記の目次





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■新時代のスーパーカー像を提案するホンダNSX

 26年ぶりにフルモデルチェンジしたホンダNSX は、還暦が近づいた私の年代では特に興味ある車である。初代NSXがデビューした1990年の日本は、バブル景気で高級車ブームに沸いていた。今では1000万円を超える国産車も珍しくないが、初代NSXの車両価格800万円は衝撃的であった。

 後に登場したタイプRは、ホンダF1 での大活躍と重なり、車好きには憧れの車となる。その後、エンジンの変更などがあったが2005年には後継モデルもなく生産が終了した。

 そして、今回、生産が中止してから15年以上が経過し、待望の2代目のNSXが登場した。資料によれば初代NSXは、世界第一級の運動性能を持ちながら快適に操れるスーパースポーツを目指して開発された。そして、新型NSXが目指したのが初代のコンセプトはそのままに、時代に合わせて進化した。電動化技術の融合により新時代のスーパースポーツ体験を目指している。

■低くワイドなスーパーカールックに心躍る

 具体的には、ミッドシップレイアウトは初代と同様。新開発V型6気筒ツインターボエンジン、9速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)と高効率モーター、更にフロントの左右に独立モーターを組み合わせた3モーターハイブリッド システムを採用した最先端の4輪駆動システムである。

 新型NSXの試乗車は、鮮やかなブルーが眩しく、そのスタイルはいわゆるスーパカースタイルである。ルーフは低く、幅広く構え、エッジの効いたスタイルは見ているだけで心が躍る。セダンやクーペをカッコ良くしても、基本的に人を運ぶ為の車だ。

 まるで、エンジンを運ぶことを目的にしたようなスポーツカー とは、根本的なスタイルの隔たりが大きい。実用性、居住性を犠牲にしても速さを追求したスタイル、そこがレーシングカー やスーパーカーのカッコ良さだろう。

■気難しさは一切なく、誰にでも普通に乗れるスーパーカーだ!

 大きなドアを開け、低いシートに身体を滑り込ましてしまえば、スタイルから想像できない程、視界が良い。解放感がある。スーパーカーとしては、かなり異例。ダッシュボードは低く、直前の道路もよく見える。左右のミーラーも見やすく、後方確認もスーパーカーとしては非常に良い。スイッチ類も「あるべき場所」にあるので、バックギヤの場所だけ確認出来れば、特別な説明を受けなくても走り出せた。スーパーカーの中には、少々面倒な操作をさせ「走り出すための儀式感」をあえてアピールするものもあることを考えれば、新型NSXは普通に乗れるスーパーカー感が強い。

 試乗開始時には、バッテリーが満充電であったので、エンジンスイッチをオンにしても静かなままだ。エンジンの爆音で自らの存在感をアピールする従来のスポーツカーとは異なる新たなスポーツカー像でもある。こうした部分は、ハイブリッド車ならではの部分だ。これなら、早朝・深夜に近所の皆さんに迷惑をかけることがない。

 ギヤを入れるとモーターだけで、スルスルと車は走り出す。ハンドルも軽く、スタイルやパワースペックから想像されるような難しさは全くなく、楽に運転できるのは良い事であるが拍子抜けしてしまった。車高の低さだけ気をつければコンビニでの買い物もアコードで行くのと同様に気楽に行ける。特に低速域はモーターだけで走るので、前進や後進を繰り返すような駐車場のパーキングもバックモニターや障害物センサーも搭載しているのでレジェンドと同様に容易である。

■あまりにもスムースで鈍るスピード感覚

 エンジンは、スポーツカーなので存在感があるが市街地では、他のハイブリッド車と同様にエンジンは停止している事が多い。交差点での停車中もエンジンは停止、音でさえぎられないので周囲よりNSXが浴びる視線はより強く感じた。

 高速道路でアクセルペダルを初めて床まで踏むでみると、あっという間に制限速度に達しってしまう。しかも、あまりにも滑らかに加速するので感覚がずれて、自分が思っている以上にスピードが出ているのに驚いた。

 エンジン性能だけでも最高出力507PS、最大トルク56,1kgf・m、3モーターを含んだシステム出力は最高出力581PS最大トルク65,9kgf・mに達する。9速DCTを組み合わせて、4輪に効率良くパワーをスムーズに伝えるのだから、感覚が狂ってしまう速さは当然である。
 
 また、DCTは柔軟なエンジンとモーターのパワー制御もあり、自動変速モードで走っていても不満はない。むしろ多段変速なので機械にお任せした方が速くて快適である。高速道路でも騒音は低めであり、ハンドルは高速域ではやや過敏に反応するが、フロントが軽いミッドシップレイアウトの車としては悪くない。クルーズコントロールのスイッチを入れて車に身を任せれば、疲労も最小限で長距離移動も苦にならない。

■GT-Rとは対極にあるハンドリング性能!?

 高速道路を降りて一般道路から峠道の試乗コースへ。ここがNSXの本領発揮のコースである。ハンドルを操作すると、スパっとフロントが文字通り切れ込んでいく。日産GT-Rが高いグリップ力で強引に旋回するのと対局である。

 フロントに加重がかかっていなくても、ハンドルを切った方向に車が曲がっていくのは不可思議な感じがする。前輪のモーターが出口に向かって引っ張っているのだろうが、不自然な感じはしない。横Gだけが強烈に身体を襲い、コーナーを抜ければ今度は縦Gでシートに身体が押さえ付けられる。車重は1,780kgと重いが操作系が軽く、ヒラリとコーナーを抜けていくので車体が軽く感じられる。

 一方タックインは少々過敏で、制御の味付けであろうが、好みが分かれる部分かもしれない。ブレーキ性能は十分であるが、もう少しコントロールの幅があれば良い。この回頭性の良さは運転しながら、残念ながら私は手に入れる事が出来なかった初代NSXタイプRのオマージュを感じた。

■アメリカのホンダファンのためのスーパーカー!?

 初代NSXと同様に新型NSXは、スーパーカーの世界に新しいスーパーカーの概念を提案してきたのだろうが私の心はあまり揺さぶられなかった。車両価格が約2400万円と非現実的な価格は勿論であるが、良い意味でも悪い意味でもホンダ車の香りがする。実用性が高く、誰でも運転できて誰が乗っても速く、その点でもホンダ車である。しかし、インテリアデザイン、材質などもホンダ車の上級車、レジェンド・クーペのように感じ、ホンダの最高級車のイメージから抜け出せない。

 非現実的な夢を見せてくれるのがスーパーカーであると私は思っているので、新型NSXは少し違う。ホンダ車と言ってもアメリカ、オハイオ州の専用工場で生産される輸入車である。しかも、熟練した約100人の従業員がボディ製造から最終組み立てをしていることもあり、アメリカ人によるアメリカ人の為のスポーツカーなのかもしれない。

 未来からやってきたようなNSXを希望したのは、私だけであろうか?今後の熟成、そしてタイプRが発売されるのを期待したい。

■ホンダNSX価格、燃費、スペックなど

ホンダNSX価格

■ホンダNSX 23,700,000円

ホンダNSX価格、燃費、スペックなど

■ホンダNSX価格:23,700,000円

代表グレード ホンダNSX
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,490×1,940×1,215mm
トレッド前:後[mm] 1,655:1,615mm
車両重量[kg] 1,780kg
総排気量[cc] 3,492cc V6ツインターボ
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 373(507)/6,500-7,500rpm
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 550(56.1)/2,000-6,000rpm
モーター最高出力前後[kw(ps)/rpm] 前:27(37)/4,000 後:35(48)/3,000
モーター最大トルク前後[N・m(kg-m)/rpm] 前:73(7.4)/0-2,000 後:148(15.1)/500-2,000
ミッション 9速DCT
タイヤ前後 前:245/35ZR19 後:305/30ZR20
JC08燃料消費率[km/l] 12.4km/l
バッテリー リチウムイオン
定員[人] 2人
価格 23,700,000円
写真/レポート 編集部/丸山和敏

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