新型トヨタ カムリ新車情報・購入ガイド 超低燃費33.4㎞/LとTNGAによる走行性能の大幅向上、カッコいいデザインで、脱売れないセダンへ!【ニュース・トピックス:トヨタ】
CORISM / 2017年8月16日 20時45分
トヨタ カムリ新車情報の目次
- 世界中で売れているグローバルセダンがカムリだ
- 日本では扱いにくい? 国産セダン復権となるか?
- デザインテーマは、Sensual-Smart CONFIDENCE
- TNGAで低重心化! リヤサスは、新開発ダブルウィッシュボーン式
- 33.4㎞/Lという超低燃費を実現したハイブリッドシステム
- やや物足りない安全装備
- 劇的進化した走行性能
- トヨタ カムリのグレード選び
- トヨタ カムリ価格
- トヨタ カムリ燃費、価格、スペックなど
- トヨタ カムリCM動画
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■世界中で売れているグローバルセダンがカムリだ
トヨタは、ミッドサイズのセダンである「カムリ」をフルモデルチェンジし発売を開始した。
トヨタ カムリは、1980年に初代が登場。新型トヨタ カムリは、これで10代目となる。10代目ということからも分かる通り、カムリは歴史あるモデルなのだが、日本での存在感はない。カムリは、基本的に北米マーケットをターゲットに開発されている。そのため、どうも日本マーケットのニーズにあっていない傾向があった。
トヨタもカムリが、ほぼ北米マーケット用という認識。日本では売れないと判断していたようで、販売面でもあまり力を入れていない現状がある。9代目カムリは、全幅が1,825㎜とやや大きく、最小回転半径も5.5mと5ナンバーミニバン並み。それに対して、クラウンは、立体駐車場を使う顧客を考慮して全幅は1,800㎜、最小回転半径も5.2mとCセグメントのコンパクトカー並みの使い勝手の良さをアピールしている。微妙な数値だが、こうした日々の使い勝手面も重要だ。
もちろん、日本のセダンマーケットはかなり縮小していることも影響している。そんなこともあり、トヨタは日本マーケット国内専用車ともいえるクラウンに対しては、徹底的に力を入れている。そのかいもあり、クラウンは他の国産セダンの売れない中、堅調な販売台数を維持している。
日本ではあまり存在感のないカムリだが、北米を含め現在ではトヨタを支える基幹モデルになっている。米国15年連続乗用車販売台数No.1を獲得し、100カ国以上の国や地域で販売し、累計で1,800万台を超えた。まさに、日本以外では売れまくっている。
■日本では扱いにくい? 国産セダン復権となるか?
10代目となった新型トヨタ カムリは、「前例のない変革」をスローガンに開発された。まず、重要なプラットフォーム(車台)がTNGA(トヨタ ニュー グローバル アーキテクチャー)となり刷新された。これをベースに、パワートレーンユニット、電子系などすべての部品を ゼロから開発・刷新。「理屈抜きのかっこよさ」、「意のままの走り・上質な乗り味」を目指した。
カムリの発表会では「カムリでセダン復権を目指す」 と、トヨタは強くアピールする。だが、日本マーケットは、かなり特殊だ。日本では、日本専用車である5ナンバーミニバンや軽自動車が売れる。グローバルモデルのコンパクトカーも、ハイブリッド車が中心。日産ノートe-POWERなども、ほぼ日本専用車になっている。
グローバルモデルは、良くも悪くも北米や中国をメインとしたで開発される。つまり、売れる地域に合わせたクルマだ。販売台数が少ない日本のニーズは、あまり採用されない傾向にある。そうしたモデルを日本に持ち込んでも売れるかどうか、というのは少々微妙だ。
例えば、最小回転半径。狭い道や狭い駐車場などでの、クルマのと使い勝手を判断する指標になる。新型カムリの最小回転半径は、なんと5.7m! 18インチホイールを装備したグレードは、5.9m! と、もはや大型ミニバンのアルファード/ヴェルファイア以上に小回りが効かない状態だ。幅広の道で、駐車は前向き駐車が当たり前の北米では、なんら問題にならないかもしれない。だが、この最小回転半径では、日本のショッピングモールなどでは、何度も切り返しをしなくてはならない。
それに対して、国内専用車クラウンの最小回転半径は5.2m。この数値は、プリウス並みだ。
また、全幅も9代目カムリより、さらにワイドになり1,840㎜。日本の都市部に多い立体駐車場には入らないサイズだ。こうした駐車場を使う顧客は、車庫証明が取れないので、購入することすらできない。クラウンは、そうしたことを考慮し1,800㎜を死守。BMW3シリーズも、日本用にドアハンドルを変更するなどして、全幅を1,800㎜にしているくらいだ。
前述のように、日本マーケットのニーズに合わない新型カムリでセダンの復権というのも・・・。と、思うのだが、そもそもセダンはそれほど売れていないわけではない。端的に言えば、国産セダンがクラウン以外売れていないのだ。
9代目カムリは、年間1万台の販売も厳しい状況だった。しかし、2016年の輸入車でメルセデス・ベンツCクラスは、17,760台。BMW3シリーズは11,947台を売っている。店舗数による営業力は、当然圧倒的にトヨタ上回る。価格もカムリの方が安価だ。つまり、セダンが売れないのではなく、国産セダンがクラウン以外売れないと理解した方がよいかもしれない。
これは、やはりトヨタだけでなく、国産メーカーは売れなくなると、すぐに撤退、もしくはモデルチェンジの超長期化、そして安易なグローバルセダンの導入などが原因で、顧客不在のプロダクトを送り続けてきたことが理由だろう。顧客は国産セダンに魅力を感じなくなり、輸入車を選択したということになる。
■デザインテーマは、Sensual-Smart CONFIDENCE
そこで、10代目新型トヨタ カムリは、国内セダンの復権させるための武器は、大きく分けると3つ。まず、直感的に感じるカッコいいデザイン。そして、ハイブリッドによる超低燃費。TNGAによる、気持ちのよい走行性能だ。
新型カムリのボディサイズは、全長4,885×全幅1,840×全高1,445㎜。先代の9代目カムリが全長4,850×全幅1,825×全高1,470mmなので、よりワイド&ローなフォルムになっていることが分かる。
新型カムリのデザインコンセプトは、「Sensual-Smart CONFIDENCE(センシュアルスマートコンフィデンス)」。内外装とも同じコンセプトとした。エクステリアデザインでは、セダンの実用性を維持しながら、 クーペにも匹敵する「官能的な動感」を追求したという。
フロントフェイスは、知的で明晰な印象を与えるトヨタ独自のフロントの表情である進化したキーンルックを採用。そこに、厚みのある台形ロアグリルが組み合わされ、低いボンネットフードとともにワイド&ローなシルエットを強調。グリルは横基調のスリットが入れられていて、アメリカンカスタマイズのビレッドグリルを連想させる。
そして、細く睨みの効いたヘッドライトは、LEDが駆使され高級感をアピール。Bi-Beam LEDヘッドランプ(オートレベリング機能付)+ LEDクリアランスランプ + LEDデイライトを組み合わせた。クリアランスランプは、3層のレンズ一つ一つが、透明無垢な分厚いレンズで構成。立体感と点灯時には、クリスタルのようなキラキラとした上質な輝きで高級感を主張している。
最近のセダンデザインのトレンドは、流麗なクーペ形状のルーフライン。新型カムリは、こうしたデザイントレンドを採用しながら、後端部分の高さを確保しながら、後席の頭上クリアランスを確保。実用性とデザイン性を兼ね備えたシルエットにまとめている。
また、フロントとリヤのフェンダーまわりのデザインは、なかなか秀逸。張りのある面とシャープなエッジが見事に融合されている。力強さとスポーティさを両立したエモーショナルデザインだ。
新型カムリのインテリアは、スポーティな空間に広がり感を持たせるとともに、隅々にまで質感を追求した。
コクピットは、ステアリング、メーターを中心に据え、ドライバーを囲みながら横方向の広がり感を表現した。 左右非対称となるセンターコンソールには、大きく湾曲する金属調加飾が加えられている。この加飾は、造形も複雑なのに継目のなさが特徴で、優雅さと高級感を上手く表現している。
ファブリックシート生地は、やや安っぽさがあるものの、フロントシートは大型でゆったりとしたものが採用されている。シートカラーは、ベージュ系とブラック系の2色と、高級車の割にはありがちなカラーで設定色も少なめだ。
■TNGAで低重心化! リヤサスは、新開発ダブルウィッシュボーン式
新型カムリのプラットフォームは、TNGAにより刷新されている。クルマの運動性能を向上させる低重心パッケージとなった。
低重心のプラットフォームのパフォーマンスをさらに向上させているのが、ハイブリッドシステムの存在だ。ハイブリッド用の大きく重いバッテリーを新型カムリでは、フロントシート下に設置。先代モデル、トランクの奥だった。この搭載位置によって、更なる低重心化が図られている。
この重量物であるバッテリーは、後の車軸より前に設置されている。カムリはFF車なので、ややフロントが重い。リヤに重量物を設置されたことで、前後の重量バランスも良くなっている。
こうした配置により、新型カムリの重心はより低く、クルマの中心に近くなり、クルマの基本的な運動性能を高めている。
この低重心化されたプラットフォームに組み合わされるサスペンションは、フロントがストラット式、リヤは新開発のダブルウィッシュボーン式となった。先代の9代目カムリのリヤサスペンションは、ストラット式だったので、グレードアップされたサスペンション形式になっている。
グレードアップされたサスペンションに、低重心パッケージングの組み合わせは、新型カムリの爽快な走行性能を期待させてくれる。
■33.4㎞/Lという超低燃費を実現したハイブリッドシステム
新型トヨタ カムリの燃費は、先代の23.4㎞/Lから一気に向上し33.4㎞/Lへと進化した。この燃費値は、もはや驚愕ともえいるも。1.5Lハイブリッドのアクアの燃費が38.0㎞/Lなのに対して、2.5Lハイブリッドで車重も重い新型カムリが33.4㎞/Lというのは、凄まじい技術の進化だ。ただ、この燃費はエントリーグレードのXでのもの。上級グレードのGでは28.4㎞/Lとなる。それでも、進化の幅は大きい。こうなると、クラウンハイブリッドやレクサスIS、サイ、レクサスHSなど2.5Lハイブリッドを搭載するモデルは、立場が無いような状況と言える。
新型カムリに搭載される2.5Lハイブリッドシステムには、燃焼技術を進化させ、世界トップレベルの最大熱効率41%を実現したた新開発2.5Lダイナミックフォースエンジンが採用されている。高速燃焼技術や、マルチホール直噴インジェクターなどの技術により、優れた熱効率を達成している。
エンジン以外の部分では、ハイブリッドトランスアクスル、高回転モーター、パワーコントロールユニット、ハイブリットバッテリーなどにより、33.4㎞/Lという超低燃費を達成している。
新型カムリのシステム最高出力は、211psとなった。先代カムリが205psだったので、わずかにパワーアップさせながら、大幅に低燃費化が図られている。
■やや物足りない安全装備
安全装備面では、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防装備である「トヨタセーフティセンスP」が標準装備化された。新型カムリは、サイドエアバッグ&カーテンエアバッグも標準装備化されているので、一定の安全性能を誇る。
ただし、後側方から接近する車両を検知し警告を発するブラインドスポットモニターや、後退時に接近する車両を検知し警告するリヤクロストラフィックアラート、前後に障害物がある場合、自動ブレーキで衝突を回避するインテリジェントクリアランスソナーはオプション設定となった。
こうした装備は、日常的に役に立つ装備。とくに、アクセルとブレーキの踏み間違え防止機能も兼ねた装備なので、高齢者顧客が多いセダンにはもはや標準装備化すべき装備。欧州系セダンでは、こうした装備がほぼ標準装備化されている。欧州車に奪われたマーケットを奪取し、セダン復権を望むのであれば、これくらいの装備は標準装備化すべきだ。トヨタは、こうした安全装備の標準装備化に腰が引けている状態だ。
■劇的進化した走行性能
新型トヨタ カムリは、日本マーケットでの使い勝手がやや悪かったり、安全装備が物足りない部分もあるが、走行性能は大幅に向上している。
新型カムリに試乗すると、まず驚くのがハイブリッドシステムの変化だ。従来のハイブリッドシステムは、ラバーバンドフィールと呼ばれ、ダイレクト感に欠けた部分があった。フィーリングの問題なので、気にならない人にとっては問題が無かったが、従来のATやMTのようなフィーリングを好む傾向が強い北米や欧州では、マイナス要因になっていたのだ。
このラバーバンドフィールが、かなり解消されていた。アクセルを踏むと先にエンジンの回転が高まり、速度が後からついてくる感覚が薄まり、かなりダイレクト感が出ている。
そして、ハンドリング性能では、低重心パッケージの恩恵を十分に感じることができた。ステアリング操作対して、素直にクルマが応答し旋回に入る。クルマの傾きも抑えられていて、不安感も少ない。シャープさとは無縁だが、かなり高いスピードで旋回していても、さらにステアリングを切り増した状態でもクルマがそれなりに反応する。従来のモデルにはなかった反応だ。
リヤサスペンションをダブルウィッシュボーン式に変更したことは大きく、こうしたハイスピードでの旋回中も後輪の路面追従性が高く、しっかりとリヤサスが踏ん張ってくれる感じがあり安心感がある。
個人的には、もう少しサスペンションをハードにしたスポーティグレードがあっても良いと感じる。日本マーケットは、エアロパーツなどを装備したスポーティグレードの人気が高い。欧州車もAMGパッケージやMスポーツなどのグレードばかりが売れている。
■トヨタ カムリのグレード選び
新型トヨタ カムリのグレード選び。新型カムリは、3グレードしかないので基本的に選びやすい。まず、どうしてもレザーシートでなければダメ、という人以外は、Gレザーパッケージ車は選択肢から外したい。このグレードは、18インチホイールを装着しているのだが、なんと最小回転半径は5.9m! と、非常に小回りが苦手だ。クラウンが5.2m。大型ミニバンのアルファード/ヴェルファイアが5.7m程度であることからも、使い勝手面ではお勧めしにくい。せめて、レザーシートを17インチのXグレードでオプション選択できればよかったのだが・・・。
そして、Xグレードも選択肢から外すべきだろう。日常的に使える安全装備であるブラインドスポットモニターや、リヤクロストラフィックアラート、インテリジェントクリアランスソナーが、オプションでも選ぶことができないからだ。
こうなると、おすすめグレードはGのみとなる。Gグレードを選択したら、ブラインドスポットモニターや、リヤクロストラフィックアラート、インテリジェントクリアランスソナーをオプション選択。アクセサリーコンセント(AC100V・1500W/コンセント2/非常時給電システム付)を選択するといいだろう。外部への給電も可能で、アウトドアなどで家電製品が使えるなど便利な機能だ。
トヨタ カムリのリセールバリューは、あまり期待できないといったところ。トヨタ車なので、一定のレベルは維持しているものの、先代カムリベースでみると、短期の乗り換えではリスクが大きい。新型はかなりデザイン性に優れているので人気が出るように感じるが、どこまでリセールバリューがアップするかは不透明だ。
■トヨタ カムリ価格
■トヨタ カムリ価格
・X 3,294,000円
・G 3,499,200円/G“レザーパッケージ”4,195,800円
■トヨタ カムリ燃費、価格、スペックなど
代表グレード | トヨタ カムリ X |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4885×1840×1445mm |
ホイールベース[mm] | 2825mm |
車両重量[kg] | 1570kg |
エンジン総排気量[cc] | 2487cc |
システム全体最高出力[kw(ps)/rpm] | 155kW( 211PS) |
トランスミッション | 電気式無段変速機 |
JC08モード燃費[km/L] | 28.4km/L |
定員[人] | 5人 |
消費税込価格[円] | 3,499,200円 |
発売日 | 2017/07/10 |
レポート | 編集部 |
写真 | トヨタ |
■トヨタ カムリCM動画
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