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マツダCX-8試乗記・評価 際立つ運転のしやすさ! こだわりの「躍度」を雪上でチェック! [CORISM]

CORISM / 2018年3月2日 0時0分

■日本に導入されていないCX-9をベースとしながら、3列シート化した新型マツダCX-8

 世界中で人気の高いクロスオーバーSUV市場に、マツダは新感覚のプレミアムSUVを送り込んできた。すでに発売されているCX-5の上級に位置し、3列シートを装備するSUVが新型マツダCX-8だ。

 マツダのフラッグシップはCX-9だが、日本では発売していない。だから、CX-8が、日本では頂点のSUVになる。設計の古いプレマシーとビアンテに代わるマルチパーパスカーとしての役割も担う。そのために6人乗りと7人乗りを設定した。

 新型マツダCX-8のエクステリアは、CX-5のとよく似ている。CX-5のロングホイールベース仕様だと思っている人も多いだろう。が、ベースは北米やオーストラリアを主要マーケットとするCX-9だ。ホイールベースはどちらも2930㎜で、CX-5より230㎜も長い。ただし、日本の道路事情を考えて、全幅はCX-5と同じ1840㎜にとどめている。全高は40㎜高いが、乗り降りに苦労することはないだろう。

 新型マツダCX-8のインテリアもCX-5に準じたデザインだ。だが、質感を高めるとともにセンターコンソールの位置も高くして高級ムードを演出している。見下ろし感覚で座るから前方の視界はいいし、大ぶりのシートもフィット感がいい。

 セカンドシートは120㎜スライドし、後方にセットするとミニバン並みの足元スペースが得られる。アームレスト付きコンソールボックスを装備する最上級のXD Lパッケージは二人がけだからリムジン感覚の快適さだ。

 サードシートのアクセスは思いのほかよかった。だが、広さと快適性は今一歩である。セカンドシートを後方にセットすると足元と膝元はミニマムな空間だ。シート下への足入れ性は悪くないが、シート座面とフロアの高さがミニバンなどより低い。だから膝を上げた姿勢で座ることになる。3列目に人が乗ると、ラゲッジルームは広くない。だが、サブトランクもあるし、4、5名での乗車なら十分な容量がある。

■力強さと低燃費を両立した2.2Lディーゼルエンジンのみと割り切った設定

 新型マツダCX-8のエンジンは、SH-VPTS型と呼ばれる2.2Lの直列4気筒DOHC直噴ディーゼルターボだけと割り切った。CX-5と基本的に同じ心臓だが、最高出力は190ps(140kW)と15ps高められている。最大トルクも3.1kg-m分厚い45.9kg-m(450Nm)だ。これに6速ATを組み合わせた。CX-8は、燃費も良好でFF車が17.6㎞/Lとなっている。

 ディーゼルターボは滑らかにパワーとトルクが盛り上がり、レスポンスもシャープだ。実用域のトルクが豊かだから、CX-5より200kgほど重い車重をものともしない、冴えた加速を披露する。追い越しも力強くこなした。クルージング時の静粛性も高く、快適だ。

 遮音材を追加したこともあり、加速時も静粛性は高い。6速ATもキレのいい変速を見せる。が、欲を言えば、さらに多段化したATが欲しかった。不満はアイドリングストップの洗練度だ。ブレーキを強く踏まないとエンジンが停止しない。

■「躍度」って何だ? CX-8は雪上でも安定した走りを披露

躍度と加速度の関係を表したグラフ。加速度が短い時間に大きく変化すると、躍度も大きく変動。加速度が一定だと、躍度の変化はない。躍度の変化が少ないと、クルマの動きがスムースで安定しているように感じる。
 新型CX-8のハンドリングは、CX-5ほどスポーティではなく、少しスローなステアリングの味付けとした。だが、操舵フィールがよく、クルマの動きもいいから狙ったラインに無理なく乗せることができる。

 G-ベクタリングコントロールの効果は大きく、切った分だけ気持ちよくクルマが向きを変える。これは滑りやすい雪道でも変わらない。とくに4WDは路面をしっかりと踏みしめ、グリップしていることがよく分かる。滑ったときの修正舵も小さくて済んだ。また、ホイールベースを延ばしたことによって、直進安定性も高いレベルにある。

 滑りやすい雪道走行で、マツダのエンジニアが力説したのは「躍度」という言葉だ。加速度と似たものだが、よく耳にする加速度は、速度が変化していくときの時間あたりの勢いのことである。これに対し「躍度」は、加速度が変化していく勢いのことを指す。ある加速度に達するまでの時間によって「躍度」は異なる。2秒と4秒とでは受ける印象は大きく違う。加速度が一定だと「躍度」はゼロだが、急な動きで挙動が乱れたりすると「躍度」が高くなる。

■基本性能が高く滑らかに走るCX-8

躍度にこだわった開発は、CX-8だけでなく他のモデルにも生かされている。
 マツダは、意のままに操ることができ、滑らかに動かすことによって「躍度」を低くするクルマづくりを行うようになった。この「躍度」が分かりやすいのは低ミューで、滑りやすい雪道だ。

 CX-8もアクセル、ブレーキ、ステアリングの操作を連携させ、コントロールしやすいように最適チューニングしている。雪道でも、走る、曲がる、止まるといった基本性能が高く、一体感のある走りを見せた。

 滑りやすい路面やうねりのある路面、ワダチなどを駆け抜けても狙ったラインに無理なく乗せることができる。身体の揺れが少ない滑らかなコーナリングと優れた接地フィールが好印象だ。CX-8は乗り心地も上質である。荒れた路面でも足がしなやかに動いた。

 新型マツダCX-8の価格はCX-5より40万円近く高いが、上質なプレミアムSUVを期待する人には魅力的なクルマだ。また、CX-8には750kg以下のボートなどを牽引できるトレーラーヒッチもオプションで用意された。これもアウトドア派にはうれしい配慮である。

■マツダCX-8価格

■マツダCX-8価格
・XD(6人乗り/7人乗り)(6EC-AT) 2WD(FF) 3,196,800円/AWD 3,429,000円
・XD PROACTIVE (6人乗り/7人乗り) 2WD(FF) 3,537,000円/AWD 3,769,200円
・XD L Package(6人乗り) 2WD(FF) 3,958,200円/AWD 4,190,400円

■マツダCX-8燃費、スペックなど

代表グレード マツダCX-8 XD PROACTIVE FF 6人乗り
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,900×1,840×1,730mm
ホイールベース[㎜] 2,930㎜
車両重量[kg] 1,810kg
総排気量[cc] 2,188cc
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 140〈190〉/4,500
エンジン最大トルク[N・m(㎏-m)/rpm] 450〈45.9〉/2,000
ミッション 6速AT
JC08燃料消費率[km/L] 17.6km/L
定員[人] 6人
価格 3,537,000円
レポート 片岡英明
写真 マツダ

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(レポート:片岡 英明

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